Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」のレビュー(感想・考察・批評)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:アソーカ」の他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。
「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」レビュー
アソーカがアナキンとの対話を経てたどり着く、再生のドラマ
はざまの世界にて、アナキン・スカイウォーカーがアソーカ・タノの前に現れるという、前話である第4話「パート4:堕ちたジェダイ」の次回への期待が高まるエンディングに続く第5話「パート5:影武者」。
これまでに様々なものを失い、傷付いてきたアソーカ・タノが心の旅を通して、師であるアナキン・スカイウォーカーとの関係や、彼に影響を受けてきた自分の人生に対して、心の中で折り合いを付け、弟子であるサビーヌ・レンのため、新たに生まれ変わり希望を見出すというエピソードだ。
このドラマシリーズのタイトルは「アソーカ」であり、当然ながらアソーカ・タノ本人のドラマが主題となる。ここに至るまでのアソーカの過去はミステリアスな部分もあり、シリーズも後半に入ってついに本題に入ってきた。
エピソード監督は、「スター・ウォーズ クローン・ウォーズ」、「スター・ウォーズ 反乱者たち」を製作してきたデイヴ・フィローニ自身が執っており、アソーカを生み出した者が直々にターニングポイントとなるドラマを描いた。
「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」ストーリー
ヘラ・シンドゥーラはシートスのナイトシスターの遺跡付近を調べるが、アソーカ・タノやサビーヌ・レンの姿は見当たらない。
が、ふと気配を感じたヘラはサビーヌのヘルメットを抱えてたたずむヒュイヤンを発見する。
アソーカ・タノは、かつてマラコアでダース・ベイダーと交戦中にエズラ・ブリッジャーが引き上げ、救ってくれたはざまの世界にて、アナキン・スカイウォーカーと対面していた。
ベイラン・スコールと戦って負けたのだということを思い出させたアナキンは、アソーカに最後の訓練をつけるという。その教えとは、生きるか、死ぬか。ライトセーバーを起動したアナキンは、アソーカに斬りかかる。
ヘラ・シンドゥーラはスキャナーを使用して捜索を続けるが、反応はない。星図は壊されており、修復は不可能だ。ヒュイヤンは、アソーカとサビーヌが敵艦に乗り込んだ可能性を示唆する。
カーソン・テヴァは本部との連絡により、オーガナ議員がそう長くはかばえないと言っていることをヘラに伝えるが、ヘラは事態を把握するまでは動かないという。
その時、ジェイセンは目の前の海の異変に気付く。チョッパーのスキャンには探知出来ないが、波間にライトセーバーの音が聞こえるというのだ。確信したヘラは、カーソン・テヴァのXウィング中隊とともに再度海面を捜索することに。
事態がつかめないカーソン・テヴァに、ヒュイヤンはジェイセン・シンドゥーラの父はジェダイのケイナン・ジャラスであり、能力があることを教える。
はざまの世界でのアソーカとアナキンの戦いは続く。はざまの世界の床をアナキンが斬ったことで、アソーカは落下。
気付くとそこは、クローン戦争初期の任務での戦場だった。フェイズⅠのアーマーを着たクローン・トルーパーたちとアナキン・スカイウォーカー。自身はあの頃のジェダイ・パダワンの少女の姿となっていた。
わけがわからず戦うアソーカは、傷つき、倒れたクローン・トルーパーたちに寄り添い、指揮する自身のミスによって大勢の命が失われたことを嘆く。こんなことのためにこれまでジェダイの訓練をしてきたわけではない。
アナキンは時代に順応しなければならないと諭し、戦争に勝てるようにアソーカを兵士に育てているのだと言う。アソーカは、それでは自分の弟子には戦い方しか教えられないのかと疑問を持つ。アナキンは導き方と生き残り方を教えており、そのためにはまず戦えと言う。もし戦うのをやめたら?というアソーカの問いに、アナキンは死ぬだろうとだけ告げ、さらなる戦いの中へと消えていく。燃え上がる戦火が、後のダース・ベイダーのような姿を映し出す。
カーソン・テヴァのXウィング中隊とともにゴーストで海面を捜索していたヘラとヒュイヤンは、チョッパーが何かを見つけたというジェイセンからの通信を受け、その方位へと向かう。チョッパーの指示は、超低空飛行をするようにということだった。
ビジョンの中でアソーカは、今度はマンダロア包囲戦の最中にいた。これがビジョンであるということを理解しているアソーカは、本来この場にいなかったアナキンにマンダロア包囲戦を説明する。アナキンは代々、師から受け継がれた知識、そして自分のすべてはお前に宿っており、それを残せと言う。アソーカは、自分は戦争と死しか残せず、強くて危険なアナキンと同じ資質があることを危惧していた。
アナキンは再び、生きるか死ぬかの選択肢を突き付けた。そのライトセーバーは赤く、目は黄色く輝き、ダース・ベイダーの影がちらつく。
とどめを刺そうとするアナキンの一撃をかわし、逆にそのライトセーバーをアナキンに突き付けたアソーカは、生きることを選んだ。アナキンの姿はもとに戻り、まだ望みはあると告げるとアソーカの前から消えた。
アソーカは海中を漂っていたところを、新共和国のパイロットのジェンスーやランダーに救助される。
1日経ち、起き上がったアソーカ。ジェイセンは、ライトセーバーで戦う音が聞こえていたという。
ヘラがサビーヌの行方を尋ねると、アソーカはフォースを使ったサイコメトリー能力で星図の残骸からこの場所で何が起きたかを感じ取る。
サビーヌがベイラン・スコールらに連れ去られたことを理解したアソーカは、追いかけることが困難であることを悟る。カーソン・テヴァからは、新共和国の艦隊がここに迫っていることが告げられる。ヘラ・シンドゥーラ将軍の独断を止めに来たのだ。
サビーヌを追う方法を思案するアソーカの上空を飛んでいたのは、パーギルの群れだった…
ビジョンで描かれる心の葛藤
アナキンとはざまの世界で対面するという、次回に対して様々な予想を巡らせることが出来た「パート4:堕ちたジェダイ」のエンディング。
劇中の描写からは、アソーカ・タノがアナキン・スカイウォーカーと再会し、過去を振り返って苦悩に立ち向かったはざまの世界は、ロザルで封印されたはずのはざまの世界そのものではなく、ベイラン・スコールとの戦いで海へと落下し、臨死体験をした際に見たアソーカの心情風景、ビジョンであったと解釈出来る。
『スカイウォーカーの夜明け』で、ベン・ソロが自身の記憶の中のハン・ソロと対話して、自分で自分を許してあげることで折り合いを付け、ライトサイドに帰還するという描写に近いように感じる。
しかし、ジェイセンはライトセーバーがぶつかり合う音を聞き、何かを感じていたので、アソーカの精神世界の話であるとは断言出来ず、何らかのフォースを通じての事象であると考えられる。
このように、ビジョンを見るという超自然的な現象として心の葛藤が描かれるシーンは『スター・ウォーズ』シリーズではよく見られる。
代表例としては『エピソード5/帝国の逆襲』でのダゴバのダークサイドの洞窟にて、ルーク・スカイウォーカーがダース・ベイダーの幻影と対決し、その首を落とすとヘルメットの中から自らの顔が出てきたというシーンだ。
自身が一歩間違えればダース・ベイダーのようになってしまうことを暗示したこのシーンのほか、『最後のジェダイ』ではレイがオクトーの鏡の洞窟によって両親はおらず、ひとりぼっちであるというビジョンを見せられ、「スター・ウォーズ 反乱者たち」のロザルのジェダイ聖堂では、ビジョンという形で様々な試練が現れている。幻想的な表現が可能な、『スター・ウォーズ』らしい演出だ。
アナキンから受け継いだ、生き延びる術をどう活かすか
クローン戦争の勃発とともにジェダイ・パダワンとなって以降、戦いの中に生きたジェダイであるアソーカ・タノ。結局、ジェダイとして戦った末に破壊と死をもたらしただけではないのかと自問する。
さらに、アナキン・スカイウォーカーのビジョンは、代々師から受け継がれた知識、また自分のすべてはお前に宿っていると言う。
それはアソーカにとって、ダークサイドに堕ちて暴虐を尽くしたダース・ベイダーとなった人物のすべてを受け継いだのであれば、自身も同じ過ちに陥る資質があるという呪縛を抱え続けてきたことの現れに思える。
師であるアナキン・スカイウォーカーからの学びが戦うこと、生き延びることなのであれば、弟子のサビーヌ・レンにも戦いの方法や、その結果として人々を不幸にすることしか教えられないのではないか。
サビーヌ・レンを弟子にし、結果として離れてしまったことは、アソーカ・タノにとっても心の傷となっているだろう。
「マンダロリアン」シーズン2 第5話「チャプター13:ジェダイ」では、ディン・ジャリンに乞われても恐怖や怒りの感情があるため、グローグーを訓練出来ないとアソーカは断っている。その態度は、ディン・ジャリンがモーガン・エルズベス討伐の約束を果たしたにも関わらず、変わることはなかった。よほど弟子を取りたくなくなっていたのだろう。
また、グローグーを弟子にしなかった理由はジェダイ・オーダーの基準と同じものだ。自身はジェダイではないと言いながら、ジェダイの規範にはいまだにしばられている部分がある。
アソーカ・タノの葛藤は深い。
アナキンのビジョンは、最後の訓練と称して「生きるか」、「死ぬか」の選択をアソーカに突きつける。
ベイラン・スコールとの戦いで海へと落下し、アソーカが死に瀕していたとするならば、これはここで生をあきらめるか否かという選択に思える。
アナキンがアソーカに教えてくれた生き延びる方法は、死と戦争を残した。
しかし、今もまだアソーカが生きて善を成せるのは生き残り方を教えてくれた師、アナキンのおかげだ。「テイルズ・オブ・ジェダイ」第5話「継続は力なり」で描かれたアナキンの訓練に鍛えられたおかげで、ジェダイの大多数が倒されたオーダー66も切り抜けることが出来た。
アソーカ自身の弟子、サビーヌ・レンとはアナキンと同様に離れてしまったことが「スター・ウォーズ:アソーカ」劇中で語られている。「パート4:堕ちたジェダイ」でベイラン・スコールが語るところによると、アソーカがサビーヌのことを信じなかったことにより、サビーヌの家族はマンダロアで死ぬことになったという。
ジェダイ・オーダーを離れる際に、他のジェダイが疑いをかけていた中で、唯一アナキンだけはアソーカを信じてくれた。マンダロアでアソーカとサビーヌの間に何があったのかは明かされていないが、アナキンは信じてくれたにも関わらず、自身の弟子であるサビーヌを信じられなかったことは、新たな後悔のひとつなのかも知れない。
アナキンへの親愛と信頼、ダークサイドへ堕ちてしまったことへの悲しみや絶望、後悔、そしてそんなアナキンに育てられた自身に対する恐怖と、アソーカはアナキンに対して言葉で言い尽くせない複雑な思いがあるはずだ。
アソーカとの戦いの終盤には、アナキンは赤いライトセーバーでダース・ベイダーの影をまとい、シスの目をして襲い掛かってくる。これはアソーカが苛まれてきた負の感情の象徴だろう。
生きるか、死ぬか。
アナキンを失ってしまった過去は変えられないが、サビーヌはまだ間に合うかも知れない。
ここでアソーカは、アナキンが教えてくれた生き延びる方法を用いて、もう戻らない過去ではなく、未来でまだ出来ることをしようと、生きることを選んだように思える。
アナキンへの思いに折り合いを付け、生まれ変わるアソーカ
アソーカは、これまでにアナキンとの別れは3度経験していることになる。
ジェダイ・オーダーを離れ(「クローン・ウォーズ」シーズン5 20話「ジェダイの過ち」)、その後、クローン戦争中にまだジェダイだったアナキンと再会するも(「クローン・ウォーズ」ファイナル・シーズン 9話「忘れがたき旧友」)、アソーカはマンダロアへ、アナキンはコルサントへと分かれ、その後ダークサイドに堕ちた本人と対面(「反乱者たち」シーズン2最終話「シスの秘密」)し、上記のように決闘。はざまの世界のポータルを通り抜けた時が、アソーカにとってダース・ベイダーの生前最後の時ということになる。
これでアソーカは、アナキン・スカイウォーカーが残してくれたものに心の中で折り合いをつけ、最後の訓練を終えることで、きちんとお別れが出来たように思える。
またアソーカは、これまで死に瀕したことがわかっているだけで2度ある。
モーティスでサンの計略によりダークサイドに堕とされた上に殺されたアソーカは、命と引き換えにしてドーターに救ってもらい、その後ドーターと精神的なつながりがあるというコンヴォアのモライがアソーカを見守る存在となった。そしてマラコアでのダース・ベイダーの決闘により命を落としかけたところを、はざまの世界からエズラ・ブリッジャーにより救い出された。
死に瀕する体験をした上に、かつての師との対話を通して心の整理をつけたアソーカ・タノは生まれ変わり、別銀河へと去ってしまったサビーヌ・レンを取り戻す解決方法も思い付く。その白い衣装をまとった姿は、「反乱者たち」シーズン4最終話「家族の再会 – そして別れ」のエンディングを彷彿とさせる。
パーギルに飲まれて別銀河へとハイパースペース・ジャンプするというアナキンが考えたような無謀な方法で、弟子であるサビーヌとやり直すため、アナキンと同様に自身を生かしてくれたエズラのため、旅立つのだ。
ファンが見たかったシーンを実現!心躍るエンタテイメント
「パート5:影武者」が出色なのは、ただ小難しいドラマなのではなく、「クローン・ウォーズ」実写版の実現や、アナキンとアソーカのライトセーバーといった「これが見たかった!」、「これが見られるとは!」といった心躍るシーンに彩られ、エンタテイメントとともに描かれていることだ。
中でも、「クローン・ウォーズ」で描かれたクローン戦争の最中のアナキン・スカイウォーカーをヘイデン・クリステンセンが演じたのは大きなポイントだ。
後ろで腕を組む仕草など、「クローン・ウォーズ」でのアソーカのマスターとしてのアナキンの姿が実写になったという実感の沸く演技をしており、「オビ=ワン・ケノービ」でのアナキンともまた違った印象を作り出している。
実写映画を元にしたアニメーションから、そのアニメーションを元に実写にし直すというのは、ビジュアルの不思議な行き来があるが、実写映画ではCGキャラクターだったクローン・トルーパーがコスチュームとなりプロポーションが異なる印象となった点を除けば、良い形で翻訳されていると思う。
アナキンのライトセーバーの殺陣は、『エピソード3/シスの復讐』での印象に近く、一目見てアナキンだとわかるアクションである上に、赤いライトセーバーを持った姿というファンが夢想したかのようなビジュアルも見せてくれる!
別銀河への道が絶たれた中で、どのようにしてモーガン・エルズベス一派やサビーヌ、ひいてはエズラの元へ向かうのか、その方法の糸口を見つけ出したアソーカ。
後半3エピソードに向けてはずみをつけ、ついに「スター・ウォーズ:アソーカ」は別銀河へと突入する。
「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」トリビアチェックポイント
「私は戦わない」
はざまの世界のビジョンの中で、ライトセーバーを起動したアナキン・スカイウォーカーに対して、アソーカ・タノは「私は戦わない(I won’t fight you)」と言う。
『エピソード6/ジェダイの帰還』では、ルーク・スカイウォーカーは父であるダース・ベイダーに「あなたと戦いたくない(I will not fight you)」と言い、同じように戦いを避ける姿勢を見せていた。
ロザリオ・ドーソンとヘイデン・クリステンセンの久しぶりの共演
ロザリオ・ドーソン演じるアソーカ・タノと、ヘイデン・クリステンセンが演じるアナキン・スカイウォーカーが並ぶのは、「スター・ウォーズ:アソーカ」が初の作品であるが、ヘイデン・クリステンセンの主演作『ニュースの天才』にはロザリオ・ドーソンも出演しており、「スター・ウォーズ:アソーカ」は久しぶりの共演作となった。
エンハンスキャン汎用スキャナー
ヘラ・シンドゥーラがアソーカやサビーヌを探す際に使用しているのは、『エピソード5/帝国の逆襲』でホスにてハン・ソロがルーク・スカイウォーカーを捜索する際に使っていた、エンハンスキャン汎用スキャナーだ。
オーガナ議員
カーソン・テヴァは新共和国との連絡を取り、オーガナ議員がそう長くはかばえないと言っていることをヘラ・シンドゥーラに伝える。
このオーガナ議員とは、レイア・オーガナのことだ。
レイア・オーガナは、「反乱者たち」シーズン2 第12話「ロザルに来た姫」でゴースト・チームと会っており、ヘラ・シンドゥーラやサビーヌ・レン、エズラ・ブリッジャーとは面識がある。また、「スター・ウォーズ/フォース・オブ・デスティニー」シーズン1 第8話「トラブルの報酬」でサビーヌとのエピソードもあった。
新共和国の議員であるレイアも、ヘラやサビーヌがエズラのために行っている行動を、自分が出来るところでサポートしていることがわかるセリフだ。
アソーカ・タノの少女時代を演じるのはアリアナ・グリーンブラット
アソーカが見るビジョンは、はざまの世界からクローン戦争初期の任務での戦場へと移行する。そこでは、アナキン・スカイウォーカーやに戦ったクローン・トルーパーたちだけではなく、自身の姿も当時の少女だった頃の姿となっていた。
この実写版アソーカ・タノの少女時代を演じたのは、アリアナ・グリーンブラット。アリアナ・グリーンブラットは、「クローン・ウォーズ」スタートの前年である2007年生まれで「スター・ウォーズ:アソーカ」配信開始時で16歳。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ではガモーラの少女時代を演じ、『65/シックスティ・ファイブ』ではアダム・ドライバーと共演。さらに『バービー』にも出演するなど、近年活躍が目立つ俳優だ。
AT-TE
アソーカが見るクローン戦争のビジョンでは、戦場をAT-TEが闊歩している。
AT-TEは全地形対応戦術攻撃兵器(All Terrain Tactical Enforcer)の略で、共和国軍の地上戦力として『エピソード2/クローンの攻撃』に登場。帝国軍の4本脚のAT-AT、2本脚のAT-STに対して、AT-TEは6本の脚を持ち、車高も低く安定性があるビークルとなっていた。
壁面を登ったり、宇宙空間で活動するなど運用方法も多彩だ。
リパブリック・ガンシップ
AT-TEともに、アソーカのビジョンでのクローン戦争の戦場では、LAAT/iと略される低空強襲トランスポート/兵員用(Low Altitude Assault Transport/infantry)が舞い降り、クローン・トルーパーを降ろしている様子が見える。
LAAT/i、リパブリック・ガンシップは『エピソード2/クローンの攻撃』のジオノーシスの戦いで登場し、「クローン・ウォーズ」にも多数のエピソードで共和国軍の地上戦にて活躍した。
フェーズⅠ クローン・トルーパー・アーマー
アソーカのビジョンでのクローン戦争に登場するクローン・トルーパーたちは、『エピソード2/クローンの攻撃』でクローン戦争の開戦となったジオノーシスの戦いと同じく、フェーズⅠ クローン・トルーパー・アーマーを着用している。
『エピソード3/シスの復讐』では、クローン・トルーパーの装備はフェーズⅡ クローン・トルーパー・アーマーへと移行しており、クローン戦争が長期化するとともにフェーズⅠからフェーズⅡへ切り替わっていった。
「クローン・ウォーズ」シーズン2 第15話「議員暗殺」の冒頭では、カミーノのハリー・バトーニ議員がクローン・トルーパー フェーズⅡアーマーのホログラムを発表しているカットもあり、この出来事以降に正式導入となったのだろう。
クローン・トルーパーがフェーズⅠのアーマーを着用している点から、このビジョンがクローン戦争初期の頃だということがわかる。
『エピソード2/クローンの攻撃』では、クローン・トルーパーはフルCGキャラクターであったが「スター・ウォーズ:アソーカ」ではコスチュームで表現されており、クローン・トルーパーのプロポーションは『エピソード2/クローンの攻撃』とは異なる印象だ。
マンダロア包囲戦
アソーカのビジョンはクローン戦争の終盤、マンダロア包囲戦へと移っていく。二刀流となったアソーカ・タノは、モールを模したデザインのアーマーを着用したデス・ウォッチのマンダロリアン・スーパー・コマンドーを次々と倒していく。
マンダロア包囲戦は、クローン戦争の末期にマンダロアで起きた戦いで「クローン・ウォーズ ファイナル・シーズン」第9話~第12話「パートⅠ 忘れがたき旧友」、「パートⅡ 幻影の弟子」、「パートⅢ 崩壊」、「パートⅣ 勝利と死」で描かれた戦いだ。
再びマンダロアに戻ってきたモールとデス・ウォッチをはじめとした犯罪組織の同盟、シャドウ・コレクティブに対して、ボ=カターン・クライズに呼ばれたアソーカ・タノと、コマンダー・レックスが率いる共和国軍が戦闘。
このマンダロア包囲戦は共和国軍がモールを捕えて終結するが、コルサントに向かう途中でオーダー66が発動されてしまう。レックスも影響下に置かれてしまうが、アソーカの尽力により行動抑制バイオチップの解除に成功。襲い掛かるクローン・トルーパーたちの攻撃と、乗船していたスター・デストロイヤーの墜落から、アソーカ・タノとレックスは生還することが出来た。
レックス
マンダロア包囲戦でアソーカ・タノに声をかけたクローン・トルーパーは、CT-7567のレックスだ(マンダロア包囲戦の時点では、コマンダー・レックスとなる)。
レックスは、クローン・キャプテンとして「クローン・ウォーズ」のシリーズを通してアナキン・スカイウォーカーやアソーカ・タノらとともに戦い活躍。「ファイナル・シーズン」ではコマンダーに昇進してマンダロア包囲戦にアソーカ・タノととも参戦した。
「スター・ウォーズ:アソーカ」でレックスを演じたのは、クローンのオリジナルであるジャンゴ・フェットや『エピソード2/クローンの攻撃』、『エピソード3/シスの復讐』でクローン・トルーパーを演じたテムエラ・モリソン。
クレジットにはパフォーマンス・アーティストとしてライアン・リュウサキの名前が記載されているため、コスチュームを着用してレックスを演じたのはライアン・リュウサキであり、テムエラ・モリソンは声の出演のようだ。
レックスの声は、「クローン・ウォーズ」でのクローン・トルーパー役のディー・ブラッドリー・ベイカーがこれまで演じてきており、テムエラ・モリソンがレックスを演じるのは初。日本語吹き替え版は、もちろん金田明夫だ。
第332師団
マンダロア包囲戦では、ヘルメットにアソーカ・タノの顔の模様をペイントしたクローン・トルーパーたちの姿が見られる。
このクローン・トルーパーたちは「ファイナル・シーズン」に登場した第332師団の兵たちで、アソーカ・タノと再びともに戦えることに歓迎の意を表してヘルメットにペイントを施している。
この第332師団は、マンダロア包囲戦に際して501部隊から分かれたもの。共和国の軍人ではないアソーカを戦いを指揮させるにあたり、レックスをキャプテンからコマンダーに昇格させて指揮を執らせ、アソーカをその顧問として付かせる形と取った。
アソーカ・タノのライトセーバー
「スター・ウォーズ:アソーカ」第5話「パート5:影武者」では、アソーカ・タノのライトセーバーの変遷も実写で見ることが出来る。
クローン戦争初期の任務のビジョンでのアソーカ・タノは緑色のライトセーバーを1本、持っている。
このアソーカ・タノの最初のライトセーバーの上部は、アナキン・スカイウォーカーのライトセーバーを鏡合わせにしたようで、下部の球形のオビ=ワン・ケノービが『エピソード1/ファントム・メナス』、『エピソード2/クローンの攻撃』で使用していたライトセーバーに似たデザインとなっている。
デイヴ・フィローニは、アソーカ・タノがこうしたデザインのライトセーバーを持つことで、アナキンとオビ=ワンの第子であることを示そうとしたという(書籍「STAR WARS スター・ウォーズ ライトセーバー大図鑑」に記載)。
劇中の時間が経過してアソーカ・タノが成長した姿となった「クローン・ウォーズ」シーズン3 第10話「分離主義者の友」以降は、ショートー・ライトセーバーも加えて使用しており、二刀流の剣術、ジャーカイの使い手として描かれている。
アソーカ・タノがジェダイ・オーダーを離れる時、この2本のライトセーバーを持ち出しはしなかったので、「クローン・ウォーズ」ファイナル・シーズン 第9話「忘れがたき旧友」でアソーカが再び共和国軍と行動を共にする際に、アナキンはこれを返却する。この間にアナキンが手入れをしたことで、2本のライトセーバーはいずれも青色に変化していた。
「クローン・ウォーズ」ファイナル・シーズン 第12話「勝利と死」で、オーダー66を生き延びたアソーカは自身の死を装うためにライトセーバーを破棄。そのライトセーバーは、後にダース・ベイダーが拾い上げていった。
「反乱者たち」や、それ以降の時代を描いた「スター・ウォーズ:アソーカ」をはじめとした実写ドラマシリーズでは、白い2本のライトセーバーを使用している。利き腕に長いライトセーバーを、片方の手には引き続き光刃の長さが短いショートー・ライトセーバーを持つ。
いずれのライトセーバーも柄の部分がカーブしており、ダイヤモンド状の模様が刻まれている。このデザインは、デイヴ・フィローニが日本の刀にヒントを得たものだ。
このアソーカ・タノの白いライトセーバーは、倒した尋問官のライトセーバーからカイバー・クリスタルを回収して作られている(これは小説「スター・ウォーズ アソーカ」にて、シックス・ブラザーとの対決の結果とされているが、「テイルズ・オブ・ジェダイ」第6話「決意」では同様のシチュエーションでシックス・ブラザーとは異なる尋問官との対決が描かれている。「決意」が小説「スター・ウォーズ アソーカ」のための概要を元にしたこと、最新作は「決意」であることを考えると、「決意」の方が描き直しをしたと思えるため、ここでは単に尋問官としておく)。
ダークサイドの持ち主によって支配されて血を流して赤く染まったカイバー・クリスタルを癒して浄化することで、純白のライトセーバーとなったのだ。
これがアソーカのライトセーバーが白いことの劇中での理由で、作劇の面ではアソーカ・タノがジェダイでもシスでもないことを示す上で、何の色もついていない白いライトセーバーを持たせることで、アソーカが一匹狼として他の者とは違う道を歩んでいると思わせる、デイヴ・フィローニの考えによるものである。
サイコメトリー
アソーカ・タノは、ナイトシスターの遺跡に残された星図の残骸を持ち、フォースのサイコメトリーの能力によってこの場所で何が起きたかを知る。
サイコメトリーは、物体に触れてその物の周囲で起きた出来事や感情を読み取るフォースを使用した能力のひとつだ。
「スター・ウォーズ:アソーカ」第2話「パート2:苦悩と苦労」でも、アソーカはサビーヌ・レンがHK-87暗殺ドロイドやシン・ハティらに襲撃された現場を調べている際にサイコメトリーを使用していたが、「パート5:影武者」ではより長い時間使っている。
サイコメトリーは、クインラン・ヴォスが用いていたほか、ゲーム「Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー」の主人公、カル・ケスティスも使用。未邦訳小説「Force Collector」は、各地でサイコメトリーを使用して銀河史の重要な場面を垣間見ていくカー・ナク・シンが主人公のストーリーだ。
書籍「THE STAR WARS BOOK はるかなる銀河のサーガ」には、レイのプロフィールにサイコメトリーを使用出来る旨が記載されており、レイも使えるようだ。
フォースでの動物との感応
アソーカはフォースを通してパーギルと感応し、その口を開かせてT-6シャトルを中に入れさせる。ハイパースペースを通って別銀河へと渡ることが出来るという、パーギルに乗るために。
フォースで動物と精神的につながり、交感する方法は『エピソード2/クローンの攻撃』でアナキンがリークをおとなしくさせ、飛び乗る際に使用していた。
エズラ・ブリッジャーはフォースによって動物と感応することが多く、アソーカと同様にパーギルと交感したこともある。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」「チャプター7:名誉のために」では、グローグーがフォースでモス・エスパで暴れ回るボバ・フェットのランコアをおとなしくさせることに成功した。
「スター・ウォーズ:アソーカ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
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