Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」のレビュー(感想・考察・批評)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:アソーカ」の他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:アソーカ」のレビュー(感想・考察・批評)、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。
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「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」レビュー
エピソードを貫く「物語の力」
遠い昔、はるかかなたの銀河系で…
このサイトをご覧のみなさんは、このフレーズから始まる物語に魅了された方々だろう(いつもご覧頂き、ありがとうございます)。銀河の星々を旅する心躍る冒険譚や、数々の試練や、身を引き裂かれるような悲劇、そして現実の世界を生きる上でも勇気が得られ、心の支えになるような教えの数々…
「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」は、そんな「物語の力」を自己言及的に語りつつ、ストーリー上でもひとつのゴールに到達するエピソードだ。
ついに別銀河にある地の全貌と、そこに流されたスローン大提督、エズラ・ブリッジャーの姿が明らかに!探し求めていた両陣営とともに、我々視聴者も実写版という新たな表現方法にて彼らと再会を果たす!
特に「スター・ウォーズ 反乱者たち」から見てきたファンは、あの結末の先、シリーズが完結してもう見られないのではと思っていたシーンが実現したという感慨深さがあるだろう(「反乱者たち」シーズン4のエンディングが発表されてから、まだ5年ほどだというのは信じがたい)。
シリーズ後半まで引っ張ってきた、ベールに包まれていたものが明かされる快感はこのエピソードならでは。
「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」ストーリー
アソーカ・タノとヒュイヤンが乗るT-6シャトルは、パーギルの口内に入り込んでハイパースペースを航行していた。
アソーカ・タノは、ジェダイ・テンプルにいたヤングリングの頃にヒュイヤンから聞いた物語「銀河の歴史」を思い出しつつ、サビーヌ・レンは自ら望んで敵の元へ行ったことをフォースを通じて見たのだと、ヒュイヤンに伝える。サビーヌは、スローンの帰還とそれに伴う新たな戦争を止められたにも関わらず、エズラ・ブリッジャーのためにそうしなかったのだ。
アソーカは、サビーヌは正しい決断を下すための準備に十分な時間がなく、その選択をするしかなかったのだとするが、ヒュイヤンはフォースは見通す力を与えるが、すべての答えを与えるわけではなく、サビーヌにとってはその決断が唯一の選択肢だったという。
サビーヌは自分のために選択し、アソーカはそれを恐れていた。
アソーカは「銀河の歴史」を読み聞かせを頼むと、ヒュイヤンは語り出した。「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」
サビーヌ・レンはシオンの目の独房に囚われていた。サビーヌにとって、エズラ・ブリッジャーを見つけることが彼女の目を曇らせているため、まだ有用であるとベイラン・スコールはモーガン・エルズベスに説明する。
シオンの目はハイパースペースを抜けて、目的地であるぺリディアに到着。モーガン・エルズベスの先祖、ダソミリの古代の故郷である。祖先たちは、太古の昔からパーギルを乗りこなしていた。ベイラン・スコールによると、ぺリディアはジェダイ・アーカイブにも記されており、宇宙クジラが集団で別銀河へと移動する際の終着点であり、ここで宇宙クジラは死んでいく。ぺリディアは、パーギルの墓場なのだ。
シオンの目は、ペリディア地表からのビーコン信号を受信。モーガン・エルズベス、ベイラン・スコール、シン・ハティはサビーヌを連れて、シャトルでペリディアに向かう。
シートスの遺跡とよく似た、ペリディアの遺跡に降り立った一行を待っていたのは、グレート・マザーと呼ばれる3人のナイトシスターたちだった。スローンはまもなく来る、と言うグレート・マザーたちは、サビーヌを見咎めると危険を感じ、エネルギーを放つ3つの球体によって拘束、独房へと連行した。
ペリディアは、夢と混沌に満ちており、おとぎ話の具現化だというベイラン・スコール。ジェダイ・テンプルで育っていないシン・ハティは、そんな話は知らない。この銀河の物語は民話だと思われ、過ぎ去った古代の話だとして長く忘れられていた。
その物語がただの作り話ならば無理もないのではというシン・ハティ。
ベイラン・スコールは今のシン・ハティと同じ年の頃、ジェダイ・テンプルも含めたすべてが燃えるのを見ており、当時は理解出来なかったが、年を取って歴史を見るとすべて必然だったとわかった。ジェダイの滅亡、帝国の台頭、何度も何度も、歴史は繰り返し続ける。
シン・ハティは、スローンとの同盟によってついに我々に力がもたらされると言うが、ベイラン・スコールはそのような力はすぐ衰え、求めているのは繰り返されるこの「環」を終わらせられる「はじまり」なのだと言う。もしおとぎ話が本当なら、ここがそのはじまりの地なのだ。
独房に閉じ込められ、アソーカへと自らの行為を悔いていたサビーヌ。突如起きた振動は、サビーヌのフォースによるものではなく、上空からやって来たインペリアル級スター・デストロイヤー、キメラによるものだった。
遺跡の上へと覆いかぶさるように降下したキメラのドッキング・ベイには、汚れや破損を修復した跡のほか、赤い帯を巻かれたストームトルーパーであるナイトトルーパーが整列。そして、スローン大提督がその姿を現した。
グレート・マザーたちとの取り決めによる貨物の積み込みを指揮するのは、イノック隊長だ。モーガン・エルズベスによると、その積み込み作業は地下墓地があるため3日(ローテーション)はかかるという。
グレート・マザーたちは捕虜がおり、予期出来なかったことだとスローン大提督に釈明する。ベイラン・スコールが何かの役に立つと説明すると、スローン大提督は彼をジェダイ・オーダーのベイラン・スコール将軍であるとその過去を見抜く。捕虜がサビーヌ・レンだと知ると、スローン大提督はその有用さを認識した。
スローン大提督らの元へ連行されたサビーヌ。スローンは、サビーヌとベイラン・スコールとの取り決めを尊重して食料や移動手段、そしてエズラ・ブリッジャーの居場所に関する最新情報を提供。スローンは、ペリディアからの脱出を手助けすることになったサビーヌに対してのお返しをするというのだ。そして、宇宙船が飛び立てば永遠にここからは出られないだろうということ、おそらくエズラはもう死んでいると告げる。
サビーヌに与えられた移動手段は、現住生物のハウラーだった。イノック隊長は、この荒野には流浪の民がうろついて生存競争をしていると警告し、武器を返却する。
スローン大提督は、ベイラン・スコールとシン・ハティにサビーヌの追跡と、もしサビーヌがエズラ・ブリッジャーを発見した際には2人を始末するよう指示。
荒野を探索するサビーヌは突如として野盗の集団の襲撃に遭うも、これを撃退。しかし、スキャナーは壊されてしまった。
イノック隊長によるベイラン・スコール、シン・ハティ出発の報告を受け、スローン大提督は2個部隊を準備してベイラン卿の合図を待つよう指示。モーガン・エルズベスはもっと兵を送った方が良いのではと指摘するが、ここにいる間に兵の数は減っており、2個部隊で十分だとスローンは言う。
スローンの第一の目的はこの銀河からの脱出であり、サビーヌやエズラ、さらにはベイラン・スコールやシン・ハティが死のうが残ろうが関係はないのだ。
野盗の襲撃時に逃げ出したハウラーをなじりながら、サビーヌは荒野をさまよう。サビーヌがハウラーにもう1度チャンスを与えた直後、ハウラーは何かを嗅ぎつけた。岩のようなものをハウラーが舐めると、それは岩のような甲羅を持つ知的生物(ノティ)だった。
ノティとコミュニケーションを試みるサビーヌは、ノティが反乱軍のシンボルマークに反応していることに気付く。ノティも反乱軍のシンボルマークを掘ったネックレスをしていた。周囲に潜んでいたノティたちも姿を現し、サビーヌの言うエズラ・ブリッジャーという言葉をノティも発する。
サビーヌは、ノティたちの案内についていくことに…
スローン大提督、エズラ・ブリッジャーとの再会!物語はひとつのゴールに
エズラ・ブリッジャーは、「スター・ウォーズ:アソーカ」第1話「パート1:師と弟子」でロザルでの戦い当時のホログラムが登場していたが、それから約10年が経ち、別銀河のペリディアで生きてきた姿で本格的に登場。『ドリームプラン』などに出演のエマン・エスファンディによる実写版エズラ・ブリッジャーは、「反乱者たち」での快活な性格や笑顔の印象をそのままに演じられており、違和感なくサビーヌとの再会に入り込むことが出来る。
残り2話で、より多くのエズラの出番に期待したい。
エズラ・ブリッジャーと並び、「スター・ウォーズ:アソーカ」の「マクガフィン」(ストーリーを進める上でキャラクターの動機付けをする作劇上の概念)となっているスローン大提督も、ついにその姿を現す。その発言やキャラクター性は「反乱者たち」でのスローンに忠実で、それは「反乱者たち」で声優を担当したラース・ミケルセン(『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でゲイレン・アーソを演じたマッツ・ミケルセンの兄)が実写版でもスローンを演じている点が大きいだろう。
ビジュアルについては「オビ=ワン・ケノービ」での大尋問官のように、エイリアンのキャラクターをアニメーションから実写に翻訳する際に生じるイメージの差異が見受けられる。「反乱者たち」の完全再現という方向性ではないと思われるが、キャラクターのビジュアライゼーションの過程は気になるところだ。
特にスローン大提督は、元を正せば1991年のスピンオフ小説「スター・ウォーズ 帝国の後継者」でデビューした30年以上に渡って親しまれているキャラクターであり、ファンにはそれぞれの強固なイメージがあるはずだ(これは本当に余談だが、「スター・ウォーズ:コレクションカードゲーム(カスタマイザブルカードゲーム)」の2000年に発売されたエクスパンションセット「ReflectionsⅡ」にて実写ルックのスローン大提督がカードとして収録された際に、ある日本のプレーヤーは自身のホームページ上にて「俺のスローン大提督はこんなじゃない」という主旨のことを書いてゲームからの引退を宣言していた。この例はごくごく一部での反応を取り上げたものではあるが、そのくらい頭の中でイメージを膨らませられる小説のキャラクターには、ファンそれぞれが印象を持っている)。
スローンの衣装は細部にほつれがあるなど、トルーパーたちと同じく補給を一切受けられない別銀河であるペリディアでの歳月を感じさせるものとなっている。
魔女の起源である「おとぎ話」の地、別銀河の惑星ペリディア
その別銀河の惑星ペリディアは、ダソミアの魔女であるナイトシスターの始祖の地であることが明かされたように、映画版の『ロード・オブ・ザ・リング』でも知られる「指輪物語」や、ルーカスフィルム作品ではそこからインスピレーションを得た『ウイロー』のようなファンタジーの色合いが強い、薄暗い曇天の下に荒野と山々が広がる情景だ。
ダソミアの魔女、ナイトシスターの起源はこれまで劇中でも所説ある状態だった。一般的な説では、ダソミアの魔女の始祖はジェダイ・オーダーからダソミアに流刑にされたアリヤがフォースを教えたことによるものとされているが、ジェダイ評議会にはそのような記録は残っておらず、またナイトシスターたちも別の説を持っているという設定だ。
それが「スター・ウォーズ:アソーカ」にて、ナイトシスターの起源はペリディアにあるダソミリの魔女王国から、パーギルを操って別銀河からダソミアへと渡ったことが明らかになった。
小さく、守りたくなるような存在が登場するのもファンタジーの定番かと思うが(『スター・ウォーズ』で言えばイウォークがそれにあたるだろう)、「パート6:はるかかなたで」では岩のような甲羅を持つノティたちが登場する。流れ者の英雄であるエズラが彼らの文化に溶け込んで親しくしていることや、過酷な荒野の中でも思わず顔がほころんでくるような仕草、また登場の際の心がなごむようなユーモラスさを感じさせる音楽も相まって、1980年代以降のファンタジー映画のような雰囲気が出ている。
ただそんなペリディアは、別銀河といえど『スター・ウォーズ』の舞台の銀河系とまったく異なる生態系が広がっていたり、物理法則が違っているといったことはなく、そこまでの異世界感はない。ビジュアルだけを見て既知の銀河系の中の惑星と言われたら納得してしまうので、ひっくり返るような価値観や、未知の場所ならではの危険とスリルを期待した向きには、いつもの『スター・ウォーズ』と大きな変わりはなかったという肩透かし感もあるだろう。
物語の力を信じる者たち
それでも「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」を初見で見ると、まったく新しい物語、新しい場所を訪れる高揚感が味わえる。それはまるで長い間公開を待った映画を、初回上映で初めて見る時のような感覚だ。
続きがどうなるかわからない、新たな物語を楽しむことは、例えばストーリーやキャラクターの大きな運命は周知の上で、映画作品の間に起きた出来事を描くシリーズにはない大きな魅力だ(もちろん映画作品の間に起きた出来事の物語には、結論へと至るまでの道筋や過程、つながり、登場人物の心情をより深く楽しむという別の魅力がある)。
それは、物語の根源的な面白さである。
「パート6:はるかかなたで(Far, Far Away)」というタイトルは、このエピソードでの主な舞台が既知の銀河系から遠く離れた惑星であること、またその惑星は劇中のおとぎ話の舞台であったこと、そして『スター・ウォーズ』が「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…(A long time ago in a galaxy far, far away….)」というおとぎ話の語り口を用いたファンタジー要素が強いストーリーであるという点に、自己言及したエピソードであることを示している。
前述したように、ペリディアは魔術を用いる魔女であるナイトシスターの始祖の地であり、その情景もファンタジーの色合いが強い。
ベイラン・スコールも、このペリディアを「夢と混沌に満ちたおとぎ話の具現化」だとしている。宇宙クジラが行き着く別銀河の物語が、ジェダイ・テンプルでヒュイヤンをはじめとした者たちから子どもたちへと語り継がれてきたのであれば、ペリディアはまさにおとぎ話の世界を訪れたことと同義だといえる。
ベイランによると、この別銀河の物語は大昔の忘れられた物語、民話だと思われているという。こうした物語に触れてこなかったシン・ハティは、ただの作り話ならそれも当然だと現実的な見方をするが、おとぎ話の通りに別銀河へと行く宇宙クジラも、その果てにあるペリディアも存在した。
一方、「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…(A long time ago in a galaxy far, far away….)」という語り口に言及しているのは、ヒュイヤンだ。
『スター・ウォーズ』のオープニングでおなじみのフレーズが、『スター・ウォーズ』の劇中でも存在するものだったとは!
「パート6:はるかかなたで」で、このフレーズは第一部から第三部までで構成されている「銀河の歴史(History of the Galaxy)」のものであることが明らかになる。アソーカとヒュイヤンの会話から、「銀河の歴史」には少なくとも宇宙クジラが別銀河へと旅する話が含まれており、またベイランが言及しているおとぎ話が別銀河での出来事だとすれば、「銀河の歴史」は『スター・ウォーズ』の舞台となっている銀河系から見て、遠い昔のはるかかなたの別銀河で起きた出来事が民話の形で収められていることになる。
では、同じフレーズがオープニングに登場する映画『スター・ウォーズ』は、「銀河の歴史」なのか(「銀河の歴史」には、『スター・ウォーズ』シリーズの物語が収められているのか)というと、必ずしもそうとは言い切れない。「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」と記されているにも関わらず、自分たちが住む銀河系の物語が展開されているということは矛盾するので、引き続き映画を見ている我々にとっての「はるかかなたの銀河系(『スター・ウォーズ』の舞台となる銀河系)」で遠い昔に起きたこと、と解釈するべきだろう。
ベイラン・スコールは、ジェダイの滅亡、帝国の台頭と、何度も何度も繰り返し続ける歴史の「環」を終わらせる「はじまり」を求めており、おとぎ話が本当なら、このペリディアが「はじまり」なのだと言う。
シン・ハティは、その物語の次の章に登場せんとばかりに「次は我々の番ですよね?」と言うが、ベイランは力そのものの掌握というより、善と悪の興隆の繰り返しを止めようとしているようだ。スカイウォーカー・サーガは歴史の繰り返しや、異なる時代・主人公においても似たシチュエーションが登場し、そこでなされる選択の違いによる運命の分岐も魅力のひとつ。「スター・ウォーズ:アソーカ」の出来事の後には、ファースト・オーダーが勃興して再び同じことが繰り返される。
これはつまり、ベイラン・スコールの目論みは崩れてしまうことの表れなのだろうか?
ベイラン・スコールについては、「パート6:はるかかなたで」で多くのことがわかってきた。
若き日のベイラン・スコールは、シン・ハティと同じ年頃でベイラン・スコール将軍としてジェダイ・オーダーの外にも名を馳せ、オーダー66を生き延びた。シン・ハティにはジェダイ以上のものを教えているといい、単純なダークサイドのフォースの使い手の傭兵というだけではなく、何らかの理想を持って行動しているようだ。スローン大提督を帰還させるようとするモーガン・エルズベスに与する本当の目的は、「はじまり」を求めてペリディアへと降り立つことにあったようである。
ベイランは、ジェダイ・オーダーの理念は惜しんでいるが未来はなかったと語る。ダスミリの魔女王国があったこのぺリディアには人を駆り立てる何かがあり、ベイランは呼びかけられているという。ベイランは、おとぎ話を頼りにここまでやって来たのだ。
前話「パート5:影武者」とはうって変わって、アソーカ・タノの出番はオープニングのみだが、銀河の命運よりもエズラを助け出すという個人の願いを優先させたサビーヌ・レンの選択に頭を悩ませる。
そんな彼女が頼ったのは、「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」から始まる物語だ。
ベイランもアソーカも、物語の力を信じて支えにしている。「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」から始まる『スター・ウォーズ』の物語を楽しみ、様々な思いを感じながら現実を生きている我々も同じだ。
グレート・マザーによって察知されたジェダイの来訪。それがアソーカ・タノのことだと気付き、油断することなく万全の体制で迎え撃とうとするスローン大提督は、グレート・マザーとの取り決めにより地下墓地から棺状の貨物をナイトトルーパーたちに運搬させた上、闇の魔術の力を借りようとする。
兵力が乏しくなったスローン大提督は、レジェンズのスピンオフ小説シリーズであるスローン三部作にてクローンで製造した兵を用いていたように、ナイトシスターの魔術でよみがえった死者たちを戦力にするのだろう。サビーヌ、エズラ、そしてアソーカ・タノはどう立ち向かうのか?そしてベイラン・スコールはどう動くのか?
我々は、「次はどうなるの?早くお話して!」とヒュイヤンにおとぎ話をせがむ、ジェダイ・テンプルの子どもたちのようなものなのである。
「スター・ウォーズ:アソーカ」は、Disney+ (ディズニープラス)
にて独占配信中
「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」トリビアチェックポイント
A long time ago in a galaxy far, far away….
ハイパースペースを飛ぶパーギルの体内に入り込んで、T-6シャトルで移動するアソーカ・タノとヒュイヤン。銀河間を宇宙クジラとともに旅しているこの状況は、ヤングリングの頃のアソーカ・タノがジェダイ聖堂でヒュイヤンから聞いた物語にあったという。
三部構成となる「銀河の歴史(History of the Galaxy)」のうち、アソーカは当然第1部が最高なのだそうだ(このあたり、全体的には3つの三部作からなるスカイウォーカー・サーガのうち、最初のプリクエル・トリロジーを元にした「クローン・ウォーズ」で活躍するアソーカのファンの中に多いであろうプリクエル・トリロジー世代への目配せのような感じもする!)。
サビーヌ・レンが自ら望んで敵に同行した件について話すと、アソーカはヒュイヤンに「銀河の歴史」の中からいずれかの物語を聞かせて欲しいと言う。ヒュイヤンの語り出しは、「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…(A long time ago in a galaxy far, far away….」だった!
「遠い昔、はるかかなたの銀河系で…」は、もちろんスカイウォーカー・サーガ(と、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』)のオープニングでおなじみの一節だ!
『スター・ウォーズ』の舞台になっている銀河系にて語られている「はるかかなたの銀河系」の物語だから、遠い別銀河での出来事がつづられているのだろう。そして、アソーカたちのこの冒険も、『スター・ウォーズ』の物語を見ている我々にとって「遠い昔、はるかかなたの銀河系」での出来事なのだ。
アクトゥロボー、クロソー、ラキーシス
ぺリディアに到着したモーガン・エルズベス、ベイラン・スコール、シン・ハティ、サビーヌ・レンを出迎えたのは、グレート・マザーと呼ばれるダソミリアンの魔女だった。
劇中でその名前を呼ばれることはないが、エンドクレジットの表記ではアクトゥロボー、クロソー、ラキーシスという。
ギリシア神話には、モイラと呼ばれる運命の女神がいる。モイラはクロト、ラケシス、アトロポスの3姉妹で、グレート・マザーの個人名と似ている。
ギリシア神話でのこの運命の女神たちは、人々の運命の糸をそれぞれ役割を持って扱っている。クロトが運命を紡ぎ出し
、ラケシスが運命を割り当てて運命の糸の長さを決め、アトロポスは運命の糸を裁断するという。
モーガン・エルズベスやスローンとの会話から考えると、グレート・マザーたちは夢を通じてメッセージやヴィジョンを見せるほか、予知も出来るようだ(捕虜であるサビーヌの存在は見えなかったと言っている)。
様々な特殊な能力があるようであるグレート・マザーたちは、これから「スター・ウォーズ:アソーカ」の劇中で誰の運命を扱うのだろうか…
キメラ
モーガン・エルズベス、ベイラン・スコール、シン・ハティ、サビーヌ・レン、そしてグレート・マザーたちの前に現れたスター・デストロイヤーの艦底には、三つ首を持つ生物であるキメラが大きく描かれている。このスター・デストロイヤーは、帝国軍第7艦隊においてスローン大提督の旗艦であったキメラだ。
スター・デストロイヤー、キメラはスローン大提督とともにゴースト・チームや反乱軍を苦しめていくが、ロザルでの戦いでエズラ・ブリッジャーが呼び出したパーギルによって強制的にハイパースペースへ突入。「スター・ウォーズ:アソーカ」第6話「パート6:はるかかなたで」にて、その行きついた先はぺリディアであったことがわかった。
もともとキメラは、レジェンズとなったスピンオフ小説「スター・ウォーズ 帝国の後継者」、「暗黒の艦隊」、「最後の指令」のスローン三部作にて登場。艦長は、ギラッド・ペレオンだった。
「反乱者たち」でのキメラは、ブリッジ・タワーの上部がクロスした構造物となっているインペリアルI級スター・デストロイヤーであったことに対し、「パート6:はるかかなたで」に登場したキメラはブリッジ・タワーの支柱が垂直に立っているインペリアルⅡ級スター・デストロイヤーの形状となっている。
レジェンズでは、キメラはエンドアの戦いにも参加していたという設定となっていたためインペリアルⅡ級スター・デストロイヤーであったが、こちらに合わせたということなのだろうか?ぺリディアでインペリアルⅡ級に改装したというのは、資材やインペリアルⅡ級の情報も別銀河では得られないと思うので、さすがに難しいのではないかと思うが…
ナイトトルーパー
スター・デストロイヤー、キメラにてスローン大提督は、無数のストームトルーパーたちが整列している中を通り抜けてくる。そのアーマーは薄汚れ、破損やそれを修復した跡も目立ち、赤い帯で巻かれている。
その姿は、元は帝国軍の第7艦隊のスター・デストロイヤー、キメラに配属されてロザルを侵攻していたが、パーギルとともにハイパースペースを通り抜けてベリディアに連れて来られて10年間が経過したストームトルーパーたちのなれの果てである。
英語字幕の状況説明テキストからは、これらのストームトルーパーはナイトトルーパーと呼称することがわかる。
ぺリディアは古代にダソミリの魔女王国があり、ダソミアの魔女たち、ナイトシスターの祖先の母星であることから、この地で長年暮らしていくうちに魔女たちの影響を受け、ナイトトルーパーと呼ばれるようになったのだろうか…
ナイトトルーパーたちのアーマーの補修された跡は、金色や銀色のもので補われているが、これは『スカイウォーカーの夜明け』でカイロ・レンのヘルメットが補修されていたことと同様に、陶磁器の割れやヒビを漆で接着する日本の伝統技法、金継ぎを彷彿とさせる。
中でもイノック隊長のヘルメットは、従来のストームトルーパーの顔が人間の目、鼻、口を象った黄金の彫像のような造形に差し代わっており、数あるトルーパーの中でもひときわ異様なデザインだ。
クジェット
ベイラン・スコールとシン・ハティがサビーヌ・レンを追跡するため出発するカットにて、砦の門の上部にはシスの古代言語であるウル=キッタートが記されている。このウル=キッタートは上下が逆さになっており、これを解読すると「すべての支配者クジェットを讃えよ 彼の統治がすべての者にもたらせるように」という意味の文が書かれている。
このクジェットとは、ゲーム「Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー」にて言及された古代のダソミアのフォースのダークサイドに覆われた冷酷な支配者だ。
クジェットは、フォース感応者が多い古代の種族であるゼフォである。埋葬された場所の「クジェットの霊廟」は、「Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー」で訪れる場所のひとつだ。
古代のダソミアを支配していたというクジェットが、ナイトシスターの起源の地であるぺリディアにその名を残しているということは不思議ではなく、ぺリディアとダソミアの間を古代から行き来していたことの表れなのだろう。
木剣ジェダイ
ベイラン・スコールは、シン・ハティにエズラ・ブリッジャーを知っているかと問われ、ジェダイ・テンプルが陥落後に野で訓練された木剣ジェダイなのだと言う。
日本語の木剣(ぼっけん)は、「スター・ウォーズ:アソーカ」第3話「パート3:飛び立つ時」でもアソーカ・タノとサビーヌ・レンが木剣セーバー(英語字幕にて「Bokken saber」と表記)として用いられている。
ジェダイ・テンプル以外で訓練された者のことを木剣ジェダイと呼ぶことは、訓練するにあたりライトセーバーを用いていては帝国軍に狩り出されてしまうため、木剣を使ってトレーニングしたことから来ているのだろうか?
ノティ
ぺリディアでエズラ・ブリッジャーとともに暮らす、飛び出た目を持ち、岩のような甲羅を持つ種族は、英語字幕にてノティ(Noti)という名称であることがわかる。
アソーカ・タノの師について聞くスローン
スローン大提督は、グレート・マザーが察知したジェダイの来訪をアソーカ・タノのことだと判断し、モーガン・エルズベスにアソーカ・タノの背景、経歴、故郷、師といったすべてを知りたいと言う。
スピンオフ小説「Thrawn: Alliances」では、スローンはアナキン・スカイウォーカーと会っており、パドメ・アミダラからアソーカ・タノの師がアナキンであることを聞いている。
これは師であるアナキンのより詳細な情報を知りたかったのか、または小説の描写を上書きしているのか…
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