スピンオフ小説「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」が、KADOKAWAより発売されました。
『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』でパルパティーンに言及されていたシスの暗黒卿のダース・プレイガス。パルパティーンによれば、フォースを使ってミディ=クロリアンを操り、生命を作り出して死を遠ざけることすら出来たと言いますが、最終的に弟子(ダース・シディアス=パルパティーン)によって滅ぼされます。
この「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」は、映画で言及されただけにも関わらず、強い印象を残したダース・プレイガスの知られざるストーリーとともに、その弟子であり後に銀河帝国の皇帝となる若き日のパルパティーンがいかにしてシスの道へと踏み出し、銀河を支配するお膳立てをしてきたのかが描かれるスピンオフ小説です。
2018年の今、この「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」が邦訳出版されることは、スピンオフのファンにとって「事件」と言えます。
正史ではないレジェンズ作品が今、邦訳出版される衝撃
「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」の原書が発売されたのは、2012年。今から実に6年前のことであり、2014年にそれまでに発表されてきたスピンオフ(エクスパンデッド・ユニバース、EU)はすべてレジェンズとして、正史(カノン)と区分けをすることになる前に発表された作品です。
つまり、「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」はレジェンズ作品なのです。
正史ではなかったことになっているレジェンズ作品を2018年の今、邦訳出版しても現行シリーズとの連続性はないため、オーソドックスに考えるとなかなか実行しにくいはずです。2014年以降の現行シリーズとは関連性がないのであれば、手が出しにくいと考えられても不思議ではありません。
しかし、「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」はスピンオフ小説ファンにとってはかなりの重要作品であり、邦訳出版が待望され続けていました。
『スター・ウォーズ』プリクエル・トリロジーは基本的には、アナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーとなったのかが主題となっていますが、それと同時に共和国が帝国に変貌するまでを描いています。いわば、パルパティーンが裏の顔を隠しながら天下を取るまでの成り上がり列伝でもあり、この「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」は、プリクエル・トリロジー全体に渡るパルパティーンの陰謀の物語の多くを補足するものになっているため、重要な一冊となっているのです。
パルパティーンがいかにしてシスとなったのか、ダース・プレイガスの表の顔、ドゥークーとサイフォ=ディアス、そしてミディ=クロリアンの実験…これらに惹かれるものを感じるのであれば、手に取ってみると良いでしょう。
正史ではない作品を、翻訳をはじめとした書籍制作の手間やリスクを発生させつつ、邦訳出版することはかなりの英断と言えます。これは大手出版社のKADOKAWAだからこそ出来たことかも知れませんが、日本の『スター・ウォーズ』スピンオフファンの長年の夢に応えてくれました。
「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」は正史ではないため、ここで描かれた設定は今後、覆されるかも知れません。それでも、レジェンズが創出される前夜である2012年の時点で、プリクエル・トリロジーをどのように総括しようとしていたのかが記されていることは、今後資料的な価値を持つことでしょう。
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