スピンオフ小説「スター・ウォーズ 帝国の後継者」が、講談社より4月16日(火)に発売されます。
原書は1991年6月に発売され、邦訳版は1992年1月に竹書房から発売されていた、『スター・ウォーズ』スピンオフ小説の中興の祖とも言える作品が、最初の邦訳版から27年(!)もの時を経て、まさかの復刊!
2014年に、それまでに発表されてきたエクスパンデッド・ユニバース(拡張世界)はすべてレジェンズとなり、正史(カノン)と区分けをすることになったので、スローン大提督に代表される一部の要素は正史作品にも登場しているものの、「帝国の後継者」はレジェンズ作品です。
昨年2018年には同じくレジェンズの小説である「スター・ウォーズ ダース・プレイガス」の邦訳出版を「事件」と評しましたが、「帝国の後継者」の復刊にも驚きです…
「スター・ウォーズ 帝国の後継者」がなぜ重要な作品であるか、その理由を挙げていきます。
映画のない90年代の冬の時代を越え、 魅力ある拡張世界を作り出した
『スター・ウォーズ』のエクスパンデッド・ユニバース(拡張世界)は、1977年の映画公開直後のマーベルコミックや小説「侵略の惑星」から始まり、『ジェダイの帰還』公開後の1980年代後半もウェストエンドゲームズの「スター・ウォーズ ロールプレイングゲーム」がその世界観を大きく拡げていきました。
そして1990年代に入り、映画の公開がない『スター・ウォーズ』冬の時代の中で、ついに『ジェダイの帰還』以降のルークたちの活躍が初めて解禁されたスピンオフがこの「スター・ウォーズ 帝国の後継者」なのです。
この直後には、ダークホースコミックによる「ダークエンパイア」も刊行されるなど、スピンオフ作品は続々と発表。
まだ見ぬ銀河で、おなじみの面々と新たなキャラクターが繰り広げる物語の数々は、新作映画がない中で、ファンに『スター・ウォーズ』を忘れさせないばかりか、映画とは異なる魅力も作り出しました。
こうしたエクスパンデッド・ユニバースの拡がりは、1995年からのハズブローのアクションフィギュアに代表される新たな商品化の波、そして『エピソード1/ファントム・メナス』の制作決定、1997年の『スター・ウォーズ 特別篇』公開に至るまでの間、『スター・ウォーズ』ファンをつなぎ留める役割を果たしました。
そのはじまりとなった作品が、「スター・ウォーズ 帝国の後継者」なのです。
スピンオフ独自の人気キャラクターを創出
「スター・ウォーズ 帝国の後継者」から始まる『ジェダイの帰還』以降の時代を描いたスピンオフは、映画公開がない時期をつないだだけではなく、新たなキャラクター、ストーリーによって固有のファンも生み出しました。
中でも、その礎となった「帝国の後継者」は、「スター・ウォーズ 反乱者たち」にて正史の作品にも登場したスローン大提督、後にルーク・スカイウォーカーの妻となるマラ・ジェイドといった人気キャラクターを生み出します。このほかにも、シボースやペレオン、タロン・カードといったオリジナルキャラクターが本作で登場し、スピンオフの魅力を拡げていきました。
また、首都惑星コルサントも「帝国の後継者」で初登場し、1997年公開の『スター・ウォーズ ジェダイの復讐 特別篇』から映画本編に設定が反映されました(もともと、『ジェダイの帰還』制作中には首都惑星はハド・アバドンという名前で構想されていたものの、完成作品には登場しませんでした)。
2016年にスローン大提督が「スター・ウォーズ 反乱者たち」シーズン3に登場することが発表された時には、大きな興奮をもって迎えられました。
正史に反映されるキャラクターや設定があることは、「帝国の後継者」から始まる小説シリーズ「スローン三部作」の重要性を物語っているでしょう。
新たなファンが、より手軽に読める意義
邦訳版から27年が経ち、突然の復刊となった「帝国の後継者」。
スローンが登場した「反乱者たち」も終了しましたし、その唐突さに驚きはしますが、各地の古本屋や図書館などで比較的読みやすい本とはいえ、上記のようにスピンオフ史の中で重要な一冊のため、復刊して新たなファンがより簡単に触れられるようになることは、意義があると思います。
「帝国の後継者」は、原書では2011年に短編「Crisis of Faith」が収録された20周年記念版が発売されていますが、今回の邦訳本に含まれているかは現状不明です。ちなみに訳者名は和気永富から富永和子に変更されているので、もしかしたら新訳になっているかも知れませんね。
また、「スローン三部作」の残る2作「暗黒の艦隊」、「最後の指令」も、「帝国の後継者」を刊行するのであれば復刊して欲しいところです。
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