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『エピソード1/ファントム・メナス』に熱狂した、あの夏を振り返る【日本公開25周年記念】

スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス

 今年2024年で、1999年7月10日に『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が日本で公開されてから25周年を迎えました!

 この『エピソード1/ファントム・メナス』日本公開25周年という節目に、本作を今か今かと待ちわびて公開されるまでの期間、そして一大センセーションを起こしながら公開されてからも、スクリーンの外の当時の生活の中で大きな影響を受けた日々を、あの頃の日本で過ごしたファンの目線から振り返ります。

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『スター・ウォーズ 特別篇』から『エピソード1』へ

膨らむ『エピソード1』への期待感

 1999年7月。

 ノストラダムスの大予言は解釈違いだったようで、人類が滅亡することはなかったそんな夏、日本で『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』は公開された。

 前作『ジェダイの復讐』(1999年当時の表記)から16年ぶりの『スター・ウォーズ』は、日本でも大きなセンセーションを巻き起こした。

 今年2024年は、あれから25年目の夏。

 当時のことを、『エピソード1/ファントム・メナス』の公開前から振り返ってみようと思う。

 1997年の『スター・ウォーズ 特別篇』公開時から、今度はアナキンがいかにしてダース・ベイダーとなったのかを描く『エピソード1』からの三部作が制作され、いよいよ『スター・ウォーズ』シリーズが本格的に再始動することが発表されていた。

 当時のフィギュアブームもあり、各種関連商品は1998年に入っても勢いは衰えない印象で、店頭で多く見かけることが出来た(『スター・ウォーズ 特別篇』の時の在庫をまだ売っていたというのが実態に近いかも知れない)。

 ハズブロージャパン(当時の社名表記)が取り扱い店で配布していた「ジェダイ・ホロクロン」には、ハズブローの『スター・ウォーズ』グッズの情報が掲載されており、インターネットがない時代に心躍らせるチラシだった。

 『エピソード1』への期待感を持ちつつ、オリジナル・トリロジーの商品のコレクションを楽しむことが出来たのが、この時期だったかも知れない。

『エピソード1』の予告編を映画館へ見に行く!

Mr.Children 「終わりなき旅」 MUSIC VIDEO

 Mr.Childrenが活動再開し、「終わりなき旅」が流れていた頃。

 1998年11月にアメリカの映画館でティーザー予告編が上映され、公式サイトでも公開されたものの、当時私はインターネット環境がなかった。

 今、『スター・ウォーズ』の新作の予告編を最初に見る場はWEBが最も多くなっている。Youtubeはテレビモニターでも見ることも出来るし、全世界同時に公開されるので、世界中のファンが一体となる興奮と、ライブ感がたまらない。

 日本では、1998年12月に公開された『X-ファイル ザ・ムービー』で『エピソード1』の予告編が上映されるということで、もともと「X-ファイル」を見ており本作も楽しみではあったのだが、本編前から俄然期待感を高めながら劇場に行った。

Star Wars Episode I: The Phantom Menace – Trailer

 黒澤明の『蜘蛛巣城』を意識したような、霧の中から向かってくる騎乗生物…若きオビ=ワンとアナキンの出会い。ヨーダも若い!そしてハンドルの双方から光刃が現れるライトセーバー !

 まだまだテレビがメディアの中心だった時代なので、予告編が放映された番組をVHSに録画して、予告編の音楽の流れを覚えるほど繰り返し見たのだった。

書籍で情報を得る時代

 インターネットといえば、今はあらゆる『スター・ウォーズ』情報がネットを介して流通していて、海外の最新情報も瞬時に日本にも伝わってくるが、1998年〜99年当時は、大きな話題は前述のようにテレビが中心、コアなファンには雑誌などの書籍がまだまだ一般的だったと思う(私自身がネット環境になかったことという主観も含む)。

 雑誌では、模型雑誌の「モデルグラフィックス」で「帝国通信の逆襲」と題して武田英明さん、Dukeさんによる連載コーナーがあった。

 作品に関する公式発表前の情報が、ファンによってインターネット上にてやり取りされることは今では普通だが、当時はこうした雑誌にて『エピソード1』についての様々な情報が公開されていた。

 新しい悪役の名前はダース・モール。「ダース」と付くからベイダーのような風貌をどうしても想像してしまうが、その容姿は赤鬼のようであるらしい…アナキンは、ポッドと呼ばれるもののレースで自由を得る…

 テキストだけの情報なので頭の中では、今から考えると実際の映画とは全然違うけれども、一体どんなものだろうと思いを馳せ、そのビジュアルの想像が広がっていく。

 小さな誌面上から『エピソード1』の事前情報が得られ、受け手はそこからまだ見ぬ映画の内容を想像したのである。

 書籍の方でも、マサチューセッツ“スターウォーズ”ラボラトリーなる著者による「スター・ウォーズ解体新書」にて、『エピソード1』からの新三部作のストーリー予想が掲載されていた。

 1998年に刊行された書籍だが、『エピソード1』のストーリー予想はシナリオかのようにボリュームがあり、またその内容は大筋で合っている。当時の時点で、『エピソード1』の内容はだいぶ漏れていたようだ(もっとも、プリクエル・トリロジーは描かなければならないことがある程度決まっているので、突飛な予想以外は着地点は一緒なのだが)。

 ただ、「ジャー・ジャー・ビンクスはヨーダよりも難解な言葉遣いをする」というインタビューの内容を受けて、ジャー・ジャーを哲学者みたいな言い回しをするジェダイとしていたのは振り返ると爆笑モノ!

 また、アナキンのダークサイドへ至る一端として、アナキンには妹がいてダース・モールに殺される、というものもあった(実際には、ジェイク・ロイドの妹のマディソン・ロイドがナブーの子ども役で出演しており、このことが置き換わってしまったのではないかと思われる)。

 他にも「スター・ウォーズ解体新書」には、オビ=ワンはライトセーバーを作る際にアルミニウムを吸い過ぎてアルツハイマーになってしまったから、R2-D2のことを覚えていないのではないかとするようなトンデモ説など、当時のファンが『エピソード1』に向けてあれこれ予想していた空気が残されているので、そういうものだと思って今読むと面白いと思う。

メイス・ウィンドゥのフィギュアを先行入手!

 ティーザー予告編などが公開されていくとともに、ハズブローのアクションフィギュアでも、『エピソード1』の新キャラクターであるメイス・ウィンドゥのフィギュアが一足早くゲット出来る、「スター・ウォーズ エピソードⅠ COMING SOON キャンペーン」が行われた。

 あのサミュエル・L・ジャクソンが演じるとあって、メイス・ウィンドゥには高い注目が集まっていた。そのフィギュアが先行でゲット出来る!

 キャンペーン内容は、ベーシックフィギュアのバーコードを集めて郵送するというもので、折しもここ最近に安く入手出来たフィギュアのバーコードを使用出来ることもあり、2口応募した。

 このメイス・ウィンドゥのライトセーバーは青い光刃だ。今から見ると違和感を感じる方も多いと思うが、『エピソード1』公開当時の設定ではメイスのライトセーバーの色は青だったのだ。

『エピソード1』チラシ登場!

 年が明けて、1999年になると『エピソード1』の足音はいよいよ迫ってくる。

宇多田ヒカル – Automatic

 前年から発売されていた宇多田ヒカルの「Automatic」がいよいよ幅広く聴かれていき、話題を起こしていた頃。

スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス

 1月に公開された『リング2/死国』を友達と立ち見で見た新宿の劇場で、『エピソード1』のB5チラシを始めて手に入れた。

 まだ少年のアナキンの背後に、ダース・ベイダーの影が伸びる『エピソード1』のティーザーポスターのデザインは、これだけで『エピソード1』の内容を、ひいてはプリクエル・トリロジーそのものを表していると言えるほどの秀逸さ。

 当時私は、映画のポスターをそのままにミニサイズにしたチラシの魅力にハマっており、映画館のチラシラックに『エピソード1』のチラシを見つけた時のことを今も覚えている。

「東京おもちゃショー1999」で『スター・ウォーズ』商品公開!

GLAY / Winter, again

 春が近くなっても、まだまだGLAYの「winter, again」が流れていた3月になると、よりそのストーリーに迫る内容となっていた『エピソード1』の第2弾予告編が公開。

"Star Wars: Episode I – The Phantom Menace (1999)" Theatrical Trailer

確か初めて第2弾予告編を見たのは、フジテレビ系の平日昼のワイドショー「ビッグトゥデイ」内で全編放映した時だったと思う。

 さらに3月には、東京ビッグサイトで開催された「東京おもちゃショー1999」でハズブロー商品を販売するトミーが『スター・ウォーズ』商品をブースにて大々的に紹介。

 僕はタカラから発売されていた「スター・ウォーズ コレクションカードゲーム」のシールドデッキ大会(新品の商品を開封して、その場で作ったデッキで遊ぶ大会)に参加することもあり、「東京おもちゃショー」へ足を運んだ。

 トミーブースでは、「スター・ウォーズ シアター」と銘打った場内で『エピソード1』の予告編を上映し、MCの女性がライトセーバーのデモンストレーションを行っていた。ライトセーバーを振ったり、セーバー同士がぶつかるたびに効果音が鳴ることに結構驚いた。

 来場者には『エピソード1』の下敷きが配布されていた。

 4月24日には有楽町の東京国際フォーラムで「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」が開催されていたが、残念ながらイベント情報を得られていなかった。

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』日本公開20周年を記念して、当時開催された「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」や試写会、先々行上映、公開初日といったイベントでの日本のファンの熱狂を振り返ります。

『エピソード1』フィギュアをゲット!

L'Arc~en~Ciel「HEAVEN'S DRIVE」-Music Clip-

 その後、玩具関連は5月に世界同時で日本でも発売。日本では、L’Arc〜en〜Cielの「HEAVEN’S DRIVE」がテレビや街中で流れていた頃だった。

スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス

 早速、ダイエーでオビ=ワン・ケノービとクワイ=ガン・ジン、そしてダース・モールと、文字通り鳴り物入りで登場したコムテックリーダーとともに購入!

 各フィギュアに付いているコムテックチップをリーダーにかざすと、キャラクターのセリフが再生されるもので、ついにフィギュアがしゃべる時代に!という先進感があった。

 こうしたベーシックフィギュアの中でも、一番人気は新悪役のダース・モール。しばらくすると品薄状態となり、店によっては定価よりも高値で売っているところもあったほど!

 フィギュアは開けてしまうが、やはりブリスターに付いていたカードも取っておきたい。ブリスターを開けても、ジャスコや、旅行した時に買った地方の玩具店の値札シールを25年間そのままにした絶妙な自分の采配を誉めたい。

ノベライズとサウンドトラックCDでわかるストーリー

 5月19日、アメリカで『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』がついに公開。海外での熱狂が伝えられるが、当時中学生である身にはただそれを聞き、日本公開を待つことしか出来ないわけで…

 ただ、この海外での公開とともにノベライズとサウンドトラックCDが日本でも発売。つまり、日本でも映画公開前からそのストーリーを知ることは出来たのだ。

 今であれば、「世界公開から2ヶ月も遅れるなんて!」とSNSがとんでもないことになっただろうが、プリクエル・トリロジーの頃は超大作は日本特有の夏休みシーズンに合わせて公開することが一般的で(今でも一部そうだが)、洋画の日本公開が海外での公開から間を空けることは、割と普通だったし受け入れられていた。

 それでも、ノベライズをペラペラめくれば結末が載っているし、サントラには「Qui-Gon’s Noble End」というクワイ=ガンがラストでどうなるのか想像がつくような曲名が付いているわで、インターネット環境がなかったとしてもいわゆる「ネタバレ」はすぐ側にあった。

 当時はネタバレという言葉はなかったと思うが、全体的におおらかだったのかなと思う。リークなども多いので、『スター・ウォーズ』はある程度許容される向きもあると思うし、映像体験が売りの映画なので、多少物語がわかったところで映画館に行くことは変わらないし、楽しみが減ずるということもなかったのだろう。

日本公開よりも早く、『エピソード1』を鑑賞する幸運!

KinKi Kids「フラワー」Music Video

 そんな感じで、『エピソード1/ファントム・メナス』の日本公開をただ待つのみだと思われた6月。Kinki Kidsの「フラワー」が起用された航空会社のCMが流れていた頃、実は私は『エピソード1/ファントム・メナス』を日本公開よりも早く見ることが出来た。しかもハワイで!

 中学生の身でなんでそんなことが出来たのかというと、この年の6月には通っている中学でのハワイでの研修旅行があり、学校の系列の施設での修学旅行のようなものがあったのだ。

 とはいえ、映画を見る時間なんてないはずなので、全然期待していなかったのだけど、オタク気質の数学の先生が英語の勉強にとプッシュしたらしく、急遽ハワイの映画館で学年全員で『エピソード1/ファントム・メナス』を鑑賞することに!

 まさに晴天の霹靂…!『スター・ウォーズ』が好きな友人とともに、劇場の真ん中でその時を迎えた…

 とはいえ、ハワイでは公開から1ヶ月が経っているので観客は日本の中学生のみで、また大体の生徒は字幕なしで洋画を見るということもあり、そんなにテンション高いわけではないので、拍手喝采の中でというわけにはいかなかった。

 それでも、僕は覚えている。

 20世紀フォックスのファンファーレからの静けさと、その静寂を破るメインテーマ。そして、これまでのどの『スター・ウォーズ』よりも目新しく、待ち望んでいた「EPISODE Ⅰ THE PHANTOM MENACE」の黄色い文字が、スクリーンの下から宇宙空間に現れてきた時のことを。

 映画館の暗闇の中、横にいる友達と静かに狂喜したことを!

 映画が終わり、ついに見た…という満足感がありつつ、とはいっても中学生が字幕なしで見たので、内容を100%理解したとは言いがたく、早く日本でも見たいな!という日本公開への期待感はあまり変わらなかった。

 一方、『スター・ウォーズ』に対してさほど強い興味がない大多数の生徒の反応は、「字幕がないからよくわからないし眠くなった」、「お姫様がかわいかった」みたいな感じ。まぁ、そんなもんだろう。お姫様じゃないけどな!

 当時のハワイでは、ペプシやマウンテンデューを飲めば缶は『スター・ウォーズ』デザインだったし、Lay’sのポテトチップスを買えば『スター・ウォーズ』のカードが付いてくるし、まさに『スター・ウォーズ』天国だった。

 映画館にパンフレットはないが、書店には「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス スーベニアマガジン」が販売されていた。

ペプシ『スター・ウォーズ』ボトルキャップキャンペーンスタート!

 そんな6月も終わりに差し掛かる、夏の夕立のにおいがするような頃、日本に帰国してしばらくすると、その『スター・ウォーズ』天国はアメリカから日本まで追いかけてきた。

 立ち寄ったスーパーに並ぶ、ボトルキャップの袋をネックに掛けた500mlのペプシ。

 新聞の全面広告に踊る、「GET!STAR WARS」の文字。そう、サントリーによるペプシ『スター・ウォーズ』ボトルキャップキャンペーンの始まりである…

 前年の1998年に、サントリーがペプシを扱うようになってから「2001年宇宙の旅」キャンペーン(本当に宇宙旅行への招待が景品だったが、結局実現されなかった)やペプシマンの缶バッジのベタ付けなどに触れていたが、今回はなんといっても『スター・ウォーズ』だ。全部集めたい。

 しかし、種類は全40種!しかも、当たりが出るともらえるスペシャルボトルキャップが12種!

 さらに、コレクションステージも抽選賞品!

 最初に当たったボトルキャップは、パルパティーン議員。買い進めていくとすぐにダブった…

 当時、古本・ゲームショップがこうしたグッズ類の買取を行うことも増え始めていて、ボトルキャップの売買も盛んなようだった。

 同じ時期に別の場所でペプシ『スター・ウォーズ』キャンペーンに参加し、今やコレクターとなったPaipuさんのエピソードは、以下のエントリーよりご参照を!

ペプシ『スター・ウォーズ』キャンペーングッズのコレクターが、ボトルキャップを集めた当時のエピソードを振り返ります。

日劇での『エピソード1/ファントム・メナス』日本公開初日!

 そして、1999年7月10日。

 ついに『エピソード1/ファントム・メナス』の日本公開日を迎えた。

 この初日は、日本劇場の初回上映へ。『スター・ウォーズ』好きな友達と、その他そこまでファンではないけど、普段から遊んでいる友達と、有楽町マリオンに集合だ。

 普段、学校に行く朝は早起きなんてしないのに、この日は興奮とともに自分で目覚めた。今日の朝は、いつもと違う。夏のすずしい朝の空気と相まって、ドキドキする高鳴る興奮が頭と体をはっきりさせる。

 有楽町マリオンには多くの『スター・ウォーズ』ファンが集まっていて、日本劇場へと続く非常階段に行列を作っていて、ここに並ぶことに。

 行列の中には、コスプレをしたファンもいてオリジナル・トリロジーのC−3PO(『エピソード1』版は難しいからね)や、少年アナキンに扮した女性がいたり、『エピソード1』大注目キャラクターのダース・モールもいた。ハズブローのダブル=ブレード・ライトセーバーを構えたダース・モールに扮したファンと一緒に、みんなで写真を撮ってもらった。友達が持っていた、「写ルンです」のような使い捨てカメラで。この写真が今、どこにあるのかはわからない。写真を共有するには、少し手間のかかる時代だった。

 僕のその日の格好は、水色のアロハシャツを羽織って「スター・ウォーズ コレクションカードゲーム」の大会で2位になった時の賞品であるC-3POのカードのTシャツを着ていた。中学生が出来る限りのカード資産で、大人に混じってなんとかがんばってようやく入賞して手に入れたのだ。当時、『スター・ウォーズ』のアパレルはあまり持っていなかったので、この自分にとっての栄光のTシャツが、晴れの日である本日の「正装」だった。

 いよいよ日本劇場の場内の照明が落ち、暗転。20世紀フォックスのロゴがスクリーンに映されると、場内のファンからは一気に歓声が!

 …しかし、これは『ザ・ビーチ』の予告編だった!歓声の空振りに、場内は笑いが起きる。浮き足立つ感じまで、そこには一体感があった。場内のファンが考えていることは、ただひとつ。早く『エピソード1』が見たい!

 ようやく、その時は来た。

 今度は間違いない、20世紀フォックスのロゴとそのテーマ。

 テーマが鳴り響く中、スクリーンで輝くルーカスフィルムのロゴ。

 そして「A long time a go in the GALAXY, far far, away…」。

 その静寂は、おなじみのテーマと場内の大歓声によって破られた。みんなすごい歓声だったし、僕も負けじと歓声を上げた。

 その後も、ローブのフードを降ろしてオビ=ワンとクワイ=ガンが現れた時に拍手するなど、キャラクターの登場ごとに盛り上がるアメリカンな鑑賞スタイル。ハワイでの鑑賞では、日本の中学生で埋め尽くされた劇場だったので盛り上がりには欠けていたし、1997年の『特別篇』もこうした公開初日などのタイミングに行ったわけではないので、この後のプリクエル・トリロジーからシークエル・トリロジーまでに至る『スター・ウォーズ』ファンの熱気を感じる環境での鑑賞体験は、この時が初めてだった。

 これだ…

 広がる宇宙に浮かぶ、明るい青い文字。あの音楽とともに現れたおなじみのスタイルのエンドクレジットを見て、会場は拍手に沸いた。

 これなんだ!

 1999年当時の日本劇場は、自由席がほとんど(日劇は指定席はあるものの中央部分の一部の座席で、朝1回目の回は全席自由席となるのでよく朝一の回に行った記憶がある)。この頃の映画館は今のように指定席制ではなく、自由席が一般的だった。

 そのため、人気の映画は良い席で見るために長蛇の列が出来たし、上映終了後も座席で次の回まで待っていれば、そのまま次の上映も見ることが出来た(上映開始に少し遅れてしまったら、次の上映で見落とした箇所を見るということも出来た)。

 そのため、初回上映に続いてそのまま2回目の上映も見た。さすがに2回目は初回と比べて観客のリアクションはヒートダウンした印象だったが、2回連続で見るくらい僕たちは『エピソード1』に熱狂していた。

『エピソード1』が日本を席巻した夏

 この1999年の春から夏にかけては、テレビや新聞、雑誌といったマスメディアが『スター・ウォーズ』の話題を扱うことが多かった。

 インターネットが今ほど一般化していない時代、ここまでマスメディアが『スター・ウォーズ』一色になれば、シリーズを見たことがない人にまで「話題の映画」という印象を与えたはずだ。

 さらにスーパーやコンビニの店頭では、前述したペプシのようにタイアップキャンペーンや商品が並んだ。

 サントリーのペプシ、永谷園のふりかけとレトルトカレー、明治製菓のお菓子、シックのカミソリ、ファストフードのケンタッキー・フライドチキン、宅配ピザのピザハット…

「STAR WARS Marunouchi Bright Christmas 2019」FAN’S GALLERYにて撮影

 永谷園は、ふりかけという日本ならではの商品で取り組んだのが出色だった。レトルトカレーには、メンコのような丸い形状のカードが付いてきた。

 明治製菓からは、シールやカード付きのチョコスナックとポテトスナックが発売。

 カミソリのシックは、ジェダイローブが抽選で当たるキャンペーンを実施。まだカミソリを使う年齢ではなかったが、CMで見てジェダイローブが欲しいと思ったものだ。

 2年前の『特別篇』でも『スター・ウォーズ』とタイアップしたケンタッキー・フライドチキンは、『エピソード1』では4種類のドリンクカップを発売。海外よりも種類が絞られてしまっているが、出してくれるだけでもありがたかったし、遠方まで買いにいった(家の近くにKFCはあったのだが、たぶん最寄りの店舗で売っていなかったのだと思う)。

 ドリンクカップといえば、当時少しずつ増え始めていたシネコン形式の劇場チェーンの、ワーナー・マイカル・シネマでも『エピソード1/ファントム・メナス』ドリンクカップが販売されていた。

 ピザハットは、ジグソーパズルが付いたセットを販売。ダース・モールのデザインのピザボックスも登場した。

 キャンペーン当時、ペプシのボトルキャップはあっという間に店頭から姿を消してしまっていたが、実はピザハットにはまだボトルキャップ付きの在庫が残っていて、このセットを買うとボトルキャップ付きペプシが手に入るのもお得感があった。スーパーやコンビニと、宅配ピザ店のペプシコーラの1日あたりの販売数は違うため、店頭から売り切れてもピザハットにはある程度残っていたものと思われる。

ペプシ『スター・ウォーズ』ボトルキャップキャンペーン、再び!

浜崎あゆみ / Boys & Girls

 浜崎あゆみの「Boys & Girls」が流れていた8月になると、なんとペプシ『スター・ウォーズ』ボトルキャップキャンペーンが 1.5Lペットボトルを対象商品としてアンコールで実施!

 当初の対象商品である500ml ペットボトルよりも3倍のペプシコーラを飲むことになるが、あきらめかけていたボトルキャップコレクションの夢がよみがえるという喜びはひとしおだった!

 8月の炎天下の中、自転車を走らせて、スーパー、コンビニで1.5Lペットボトルを買い集めた夏。

 ピカピカに輝くC-3POはこの8月のアンコールキャンペーンの際に手に入れた。最後に残されたボトルキャップはアナキン・スカイウォーカー(HEAD)で、これは友達と交換で入手出来た。

 夏の日差しがやわらいだ秋の頃、コレクションステージが届けられてきた時にはうれしかった!

 当時、スペシャルボトルキャップは当たらなかったが、ノーマルボトルキャップとコレクションステージが揃ったことでひと段落した…と思いきや!

モーニング娘。 『LOVEマシーン』 (MV)

 結局、この夏以降もモーニング娘。の「LOVEマシーン」が大ヒットした9月からはR2-D2缶ホルダーキャンペーンが!

 11月からはC-3PO サウンドビッグボトルキャップキャンペーンが実施され、いずれも当たりが出なくてもシールを50枚集めれば賞品がもらえるということで、秋も冬もペプシを飲み続けた。

 1999年が終わり、ミレニアムとして騒がれた2000年になっても『エピソード1/ファントム・メナス』のVHS発売とタイアップしてバトルドロイド缶ホルダー、バトルドロイド缶クーラーBOX(MTT)、さらに1.5Lペットボトルでの3−Dホログラム・マグネットキャンペーンが行われ、1年近く『エピソード1』のタイアップでペプシを愛飲することになったのだ。

あの夏から25年、「すべての世代に伝説がある」

 1999年から25年、四半世紀の月日が流れた。

 それは当時、『エピソード1/ファントム・メナス』の前作であった『ジェダイの復讐』公開から経過していた16年よりも長い時間で、様々なものが変わっていったが、『スター・ウォーズ』は紆余曲折ありながら今も新たな作品が公開され、『エピソード1/ファントム・メナス』が見せた新しい『スター・ウォーズ』の銀河系はさらなる拡張を遂げているし、あの頃に日本で流れていた音楽は今もカバーされたり、リミックスされたりしながら聴き続けられており、そのアーティストたちもまだまだ歌い続けている。四半世紀経っても続けられること。これはすごいことだ。

 20周年だった2019年にはなかったことだが、25周年である2024年5月には『エピソード1/ファントム・メナス』が4Kとなって映画館で特別上映された。イオンシネマみなとみらいで『スター・ウォーズ』仲間と4DX版を鑑賞し、4K版の上映は子どもと一緒に見た。

 2012年には『エピソード1/ファントム・メナス 3D』も公開されていたが、僕にとって今回の上映は子どもと一緒に『エピソード1/ファントム・メナス』を見たことも特別なものになったのだ。

 子どもは『スター・ウォーズ』シリーズの中で、『エピソード1/ファントム・メナス』が一番好きだという。25年前も子どもが熱狂し、25年後の子どもの心も沸かせるというのはあの1999年のブームがブームで終らず、普遍的な作品となったということの表れだろう。世代を超えて、同じものが好きだと言えることは素晴らしいことだ。

 きっとあと10年経っても、1999年の『エピソード1/ファントム・メナス』公開時のことは振り返られると思う。

 それに、「すべての世代に伝説がある」ように、大きなムーブメントを起こした作品が公開された時の子どもたちが成長すれば、きっと当時の思い出を振り返るはずだ。

 例えば11年後の『フォースの覚醒』公開20周年となる2035年には、2015年に多感な時期を過ごしていたファンたちが、当時の熱狂について自分の思い出を語っていると思う。

 最近は様々なもののサイクルが早いし、以前よりもアニバーサリーも重要なものとなっている上に、SNSによって語る手段が身近なものとなっているから、早ければ来年2025年末には10周年ということで、語られているかも知れない。

 1978年の夏、1999年の夏、2015年の冬と、インパクトを残した『スター・ウォーズ』との思い出は、同じ時を過ごしたファンの共感で増幅されながら、その時に大きな影響を受けたファンたちによって次の世代へと語り継がれていく。

 世紀末だった1999年から25年経った。それでも世界はまだまだ終わらないし、僕は『スター・ウォーズ』とともに生き続けている。

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コメント

  1. 匿名 より:

    ファン視点での当時の空気感を知ることは中々無いのでとても面白かったです!