Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」の他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」レビュー
ジョッド・ナ・ナウッドと名乗る海賊、登場
ジョッド・ナ・ナウッドと子どもたちのアト・アティンを目指す旅は、そのはじまりから危機の連続!
広大な銀河に迷い込んだ4人の少年少女たちが、フォースを操る謎の男と出会って危険な冒険に巻き込まれていく、という「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」のあらすじは、第2話「バリアを越えてはるか遠くへ」までで役者がそろい、舞台設定がセットアップされ、この第3話「航行に問題のあるとても面白い星」から本格的にストーリーが始まっていくことになる。
シルヴォ船長に代わり、今やブルータスが率いる海賊たちにポート・ボーゴで捕らえられたウィム、ニール、ファーン、KBは、牢の中でジュード・ロウが演じるジョッド・ナ・ナウッドと名乗る男と出会い、彼とともに脱獄。
海賊がたむろする中、あっさりとオニックス・シンダーにたどり着くものの、子どもたちは自分たちを助けてくれたSM-33の回収を主張する。仕方なく、ジョッド・ナ・ナウッドは再びポート・ボーゴに戻ってSM-33を助けに行くことに。
子どもたちの間でも、ジェダイに憧れるウィムはジョッド・ナ・ナウッドがジェダイだと信じて信用しようとするが、ファーンは自分たちが住むアト・アティンが、外の世界では伝説上の宝が尽きない惑星であるとされていることを知ったことで、財宝を狙っている者として信用しないなど、その見方は分かれる。
要するに、男子と女子で異なる意見となるのだ!日々、成長する中でも少年の夢を忘れない男子と、現実的な女子の対立はジュブナイル作品でのこの年代の子供たちの描き方として普遍的なものがある。
ただ第2話「バリアを越えてはるか遠くへ」レビュー記事で指摘した通り、第3話「航行に問題のあるとても面白い星」を見た視聴者には、捜索している海賊たちが脱獄者をシルヴォだとしていることから、ジョッド・ナ・ナウッドとは第1話「ホントの冒険ができるかも」の冒頭に登場していたシルヴォ船長のことであることだとわかる。
また第3話「航行に問題のあるとても面白い星」の後半に登場するキムにはクリムゾン・ジャックと認識されているなど、いくつもの名前を使い分ける人物であることが明かされたわけだ。
海賊の元船長であり、第1話「ホントの冒険ができるかも」冒頭では貨物船を襲撃する残忍さがあり、ただその貨物船には目当てのクレジットは積んでいなかったという、計画性に欠ける面が見られる。いろいろな意味で信用ならない。
それでも部下のベンジャー・プラニックからは慕われている様子が見られ、大胆な行動で事態を打開していくジョッド・ナ・ナウッドは、新たな『スター・ウォーズ』ギャラクシーの魅力的なならず者と言えるだろう。
オニックス・シンダーで脱出しようとした時に燃料ホースがつながったままであるなど、抜けているところがあり、それがピンチを招くも結果的にブルータスに大損害を与えるなど、ハン・ソロのような痛快さがあるし、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウも彷彿とさせるようだ。
did you catch this @DisneyParks homage while watching #SkeletonCrew?
Watch the first 3 episodes now, streaming only on @DisneyPlus. pic.twitter.com/vDPNhIBHjX
— Star Wars (@starwars) December 13, 2024
実際に、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」のサウンドデザイナーのデヴィッド・W・コリンズは、ポート・ボーゴは『パイレーツ・オブ・カリビアン』のトルトゥーガが連想されたと語っており、ジャック・スパロウのような自身の欲望に忠実で、つかみどころのない海賊というキャラクターは意識されているのかも知れない。
演じるジュード・ロウは、「東京コミコン2024」でその洗練された立ち居振る舞いを目の当たりにしたばかりだが、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」で小汚く、あやしい雰囲気満点のジョッド・ナ・ナウッドを見事に表現していることを実感した…
シリーズが配信開始したばかりでの来日で生で目にすることができ、その記憶が新しい中で新エピソードが見られるという絶好のタイミングならではの感覚かも知れない。この時期での来日に感謝だ。
キムと月の天文台
回収したSM-33も載せ、一行を乗せたオニックス・シンダーは、ジョッド・ナ・ナウッドの古い友人であるというキムがいる月の天文台へと向かう。
月の天文台へ向かうジョッド・ナ・ナウッドと子どもたちのシルエットが、ガス巨星を背景に写し出されるショットは1980年代のアメリカ映画の数々、『スタンド・バイ・ミー』や『E.T.』をも思わせ美しい。
そして、月の天文台のシーンの音楽は『スター・ウォーズ』以前のSF映画でおなじみのテルミンが用いられている。
それまでのSF映画では多様されていた電子音楽を用いず、オーケストラサウンドにしたことが革新的だった『スター・ウォーズ』が、何周も回ってついにテルミンをオーケストラサウンドと融合させるという新奇性のある演出となるが、ミステリアスで、どこかレトロさを感じさせる月の天文台という舞台にこれが意外と合っている。
ドラマシリーズが多く作られ、そのエピソード数も増えていくことで、『スター・ウォーズ』の様々な表現の幅が広がっていることを感じる。
その新登場のキムは、名称が明らかになっていない初めて登場した種族のキャラクターだ。フクロウのようであり、猫のような口元を持ち、星図や失われた惑星に詳しいという博識さを持ち、アト・アティンの捜索のカギを握っている。
1980年代のファンタジー映画で、パペットやストップモーションアニメで表現されそうなキャラクターだが、2020年代の技術によってフクロウのように飛び回り、コンピューターも操作する。これまでの『スター・ウォーズ』キャラクターの中では、銀河の歴史に通じ、キャラクターたちを導くマズ・カナタに近い要素が感じられるが、また様々なグッズが展開されそうな新キャラクターだ。
ここでアト・アティンの謎のさらなる情報の断片が明かされる。アト・アティンは、「旧共和国の宝石」と呼ばれる保護のため隠された惑星や秘境のうち、最後のひとつであり、銀河から意図的に隠されているという。
また、バリアの外に出ないようにとされているのは、「大いなる事業」の一環なのだという。
さらに、アト・アティンの子どもたちは、帝国軍と反乱軍による銀河内戦のことを知らない。これは推測だが、おそらくクローン戦争についても知らないのだろう。
コルサントやオルデランのことは学校で習っていても、オルデランの厄災については知らないのだ。
争いが起こるほど貴重な、旧共和国のクレジットがランチ代となっているほど流通しており、戦争を知らない子どもたち。アト・アティンは本当に、旧共和国のハイ・リパブリック時代の「大いなる事業」に関する事柄を未だに惑星を挙げて行っている、何らかの理由で隔離された旧共和国時代のまま、隔絶された社会なのではないだろうか。
光るKBの聡明さ
ウィムは、追跡してくる新共和国のセクター・パトロールのXウイングに対して、オニックス・シンダーの砲台で射撃することになり、シューティングゲームのようにノリノリで撃ちまくる!フォースが使えると思ってジョッド・ナ・ナウッドを信用する描写と並び、「スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」でのウィムの少年らしさが表れたシーンだ。
『新たなる希望(エピソード4)』でルーク・スカイウォーカーがミレニアム・ファルコンの砲塔でタイ・ファイターを射撃するワクワク感を抽出したようである。
このシーンでは、普段は子どもっぽいウィムに反発することが多いファーンも競って射撃している。仕切り屋で、ウィムとは別の面での子どもらしさのある(「疲れていない」と言った次のカットで寝ている編集も子どもらしい)ファーンに対して、冷静な判断をしているのがKBだ。
第3話「航行に問題のあるとても面白い星」では、ジョッド・ナ・ナウッドの信用についても子どもたちだけでは帰れないと意見し、一方でジョッド・ナ・ナウッドがクリムゾン・ジャックとも名乗っており、本当のことを言うようにと子どもたちに問い詰められる場面では、パートナーではなく自分たちのために働いてもらうよう同意させている。
ジョッド・ナ・ナウッドからは時には勘が頼りになると言われ、キムからは困った時には連絡を取れるようになったKBは、今後の「スケルトン・クルー」のストーリー展開のカギとなりそうだ。
キムが算出した座標には、アト・アティンそのものではないにしても帰り道への手がかりとなるものがあるのだろうか。ブルータスが雇った賞金稼ぎたちも追ってくるだろう。オニックス・シンダーに集まったクルーたちがジャンプした先が気になる、連続活劇(シリアル)らしいエピソードの締めくくりだ。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」トリビアチェックポイント
フォースで見張りの注意を逸らす
ジョッド・ナ・ナウッドは、ウィム、ニール、ファーン、KBを連れて牢を脱出する際に、手をかざして物音を立てて見張りの注意を逸らす付けて隙を作る。
これは『新たなる希望(エピソード4)』にて、オビ=ワン・ケノービがデス・スター内部を進む際にフォースでストームトルーパーたちの注意を逸らしたことを彷彿とさせる。
IT-O
ジョッド・ナ・ナウッドと子どもたちは、尋問ドロイドのIT-Oが通りがかって咄嗟に隠れる。
IT-Oは、『新たなる希望(エピソード4)』でデス・スターに囚われたレイア・オーガナの尋問にやって来たドロイドだ。
修理場のドロイドたち
SM-33を回収する際に、ドロイド修理場には様々なドロイドの姿が見える。
CZ-D2-9000と名乗っているのは、『新たなる希望(エピソード4)』に最初に登場し、ジャワのサンドクローラー内やモス・アイズリーの街中にいたCZシリーズ秘書/ビジネス・コミュニケーション・ドロイド。
起動時に王子を助けに行こうとしているのは、同じく『新たなる希望(エピソード4)』に 最初に登場し、ジャワのサンドクローラー内や デス・スター内で見られたRA-7プロトコル・ドロイド。
そして「俺たち勝った?」と言っているのは、B1バトル・ドロイドだ!このバトル・ドロイドは、クローン戦争から約28年もの間、戦争の終結を知らなかったことになる…
アルフレッド・モリーナ
イシ・ティブの海賊、ベンジャー・プラニックの声を演じているのは、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』の冒頭に登場するサティポ役や、『スパイダーマン2』でドクター・オクトパスを演じたアルフレッド・モリーナだ!
「Well, that’s the real trick」
ベンジャー・プラニックは、ジョッド・ナ・ナウッドから自身を見たことは誰にも言うなと言われ、「Well, that’s the real trick, then, innit?(いや〜、それは困りやしたねぇ)」と言う。
『新たなる希望(エピソード4)』では、オビ=ワン・ケノービからミレニアム・ファルコンのチャーターに際して質問はなし、帝国と揉めたくない旨を伝えられたハン・ソロは、「Well, that’s the real trick, isn’t it?(ほお、それは厄介だな?)」と言っている。
スタースピーダー1000
ポート・ボーゴから脱出しようとするジョッド・ナ・ナウッドが、オニックス・シンダーに付いた燃料ホースを外そうと停泊している他の宇宙船にぶつかるシーンの背景に、ディズニーランドのアトラクション「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」に登場するスタースピーダー1000が見られる!
スタースピーダー1000は、ポート・ボーゴに停泊しているようだ。スター・ツアーズには、海賊の巣窟であるポート・ボーゴへの就航便もあるのか…
今後、「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」で、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」のポート・ボーゴが追加の行き先になったら面白い!
ゲートキーパー・ドロイド
ジョッド・ナ・ナウッドがキムの月の天文台のドアの前に立つと、3機のゲートキーパー・ドロイドが現れる。
ゲートキーパー・ドロイドは、『ジェダイの帰還(エピソード6)』でジャバの宮殿の扉に設置されていたほか、「マンダロリアン」シーズン1「チャプター1:マンダロリアン」での帝国軍残党のアジトの建物のドアや、「スター・ウォーズ:アコライト」「復讐/正義」ではオレガのジェダイ・テンプルの入口を警備していた。
クリムゾン・ジャック
ジョッド・ナ・ナウッドは、キムからクリムゾン・ジャックと呼ばれている。
クリムゾン・ジャックは、レジェンズとなっている1977年からマーベルより刊行された『スター・ウォーズ』コミックに登場。ハン・ソロとチューバッカから、レイア・オーガナを救出して反乱軍から受け取った報酬を盗もうとした海賊だ。
正史(カノン)においては、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートにかつて存在したリゾートホテル「スター・ウォーズ:ギャラクティック・スタークルーザー」の舞台であるスタークルーザー、ハルシオンを題材にしたコミック「Star Wars: Halcyon Legacy」に登場。
「Star Wars: Halcyon Legacy」は『フォースの覚醒(エピソード7)』や『最後のジェダイ(エピソード8)』の時期であるため、その25年前からジョッド・ナ・ナウッドは、クリムゾン・ジャックを名乗る時があったということになる。
ともかく、ジョッド・ナ・ナウッドは他人を騙る時があるということがわかる。
イオン砲搭載のXウィング
キムの通報に応じて駆けつけた新共和国のセクター・パトロールのXウイングは、下翼の先端にイオン砲を装備した機体となっている。
「Almost there」
Xウィングに追跡される中、オニックス・シンダーのハイパースペース・ジャンプのタイミングを待つ際に、KBは「Almost there, Almost there(もうすぐ もうすぐ)」と言う。
これは『新たなる希望(エピソード4)』でのヤヴィンの戦いにて、デス・スターの排熱孔へ狙いをつけるレッド・リーダーことガーヴェン・ドレイスの「Almost there」というセリフが、効果音も含めて想起させる。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
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