Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第7話「あたしたち絶対怒られる」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第7話「あたしたち絶対怒られる」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第7話「あたしたち絶対怒られる」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」の他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第7話「あたしたち絶対怒られる」レビュー
日常へ戻るための大人の奮闘と、子どもの憂鬱
子どもたちがオニックス・シンダーに乗り込んだことではじまった冒険は、ついに彼らの家があるアト・アティンへの帰還に至ることに。
第7話「あたしたち絶対怒られる」は、子どもたちとジョッド・ナ・ナウッドのお互いの目的地であるアト・アティンを前にして、この惑星へ行き着くために必要な秘密の謎解きと、そのカギを巡っての攻防、そして行方不明となった子どもたちを思う大人たちの愛あるメッセージを描いていく。
アト・アティンの森では、ウィムの父であるウェンドル、管理局次官のファラ、KBの両親のガリー、マリー、ニールの母のヌーマがバリア外と交信出来る通信装置を準備していた。
しかし、違法な通信装置を検知したセーフティ・ドロイドたちに発見され、彼らは次々とスタンされてしまう。
スタンされても、他の親が通信装置を引き継いでいく様子は、子どもを案ずる親の切実な希望をリレーしているようで、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』での反乱軍兵員たちがデス・スター設計図を死守するシーンも思い起こさせる。
最後に残ったファラは通信装置を起動させることに成功。通信装置は、アト・アティンの上空へと舞い上がっていく。
ラニューパのタック・レノッド船長の隠れ家で見つけた座標から、ジョッド・ナ・ナウッドとSM-33はブルータスの海賊たちを、座標を記憶したKBによってウィム、ニール、ファーンもアト・アティンへと向かう。
しかし、ウィムは冒険が終わって日常へと戻ることに気分が落ち込んでしまう。戻れば、将来のための適正テストも待っている。これまで口論ばかりだったファーンは、ウィムを元気づけるのだった。
ウィムにとっては、母を亡くした過去、理解のない父や日常の学校生活という現在、そして適正テストの先にある将来から逃避するような冒険だ。アト・アティンが封鎖された惑星であるという点も、住んでいる場所、所属している組織、一緒に暮らしている家族といった環境を、自分の力で変えることが難しい子どもや10代の若者を取り巻く状況を表しているようにも感じる。
ここで旅の終始において、意見が対立していがみ合っていたファーンが優しい言葉をかけるのも微笑ましい。前話である第6話「また友達がいなくなる」で素直に反省したこともあり、ファーンの成長を感じる一幕だ。
アト・アティンへのカギ
ジョッドによって、ブルータスの海賊たちはアト・アティンの近くへ到着するも、そこは毒ガスが渦巻いていた。ブルータスは処刑の準備をさせるが、ジョッドはこの渦の奥にアト・アティンは隠されているという。
志願したグレーブが海賊のスナブ・ファイターに乗って渦の中へと突入するも、破壊されてしまう。
これを見たブルータスはジョッドを処刑しようとするが、そこにオニックス・シンダーが到着。ジョッドはオニックス・シンダーこそがアト・アティンに入るためのカギだと気付き、トラクター・ビームで拿捕。
拿捕したオニックス・シンダーに近付いたブルータスは、子どもたちによって貨物積載クローに捕らえられる。KBは、合成音声で牽引ビームを解けばブルータスを解放すると要求するも、自らの拘束を解いたジョッドはブルータスを射殺。
海賊たちの指揮を取り戻し、オニックス・シンダー内の制圧と子どもたちの捕縛をコナとパックスに指示。
ジョッドは、無傷でアト・アティンへ行ける機構をオニックス・シンダーから外して、襲撃には火力が必要であるため自船に取り付けるようSM-33に命じる。
そこへ子どもたちの家族とファラからのメッセージが通信ブイから送信されてきた。子どもたちを案じ、愛されていることが伝わるようなメッセージと共に、保安上の理由から座標は送信出来ないが、帰る方法として星の位置とバリアの通過手段を知っている共和国の密使を探すようにとファラとウェンドルから伝えられる。
このホロメッセージを見たウィムは、海賊たちに立ち向かうがもちろん止められてしまう。ウィムは自分たちが先に見つけたということで、オニックス・シンダーは俺たちのものだと主張。ジョッドは今は俺のものだと言うが、SM-33はジョッドは海賊のフリゲートの船長であり、海賊の掟では船長が所有を主張出来るのは1隻のみであるため、この船の所有権はないと指摘。
ファーンは、この船は子どもたちだけのものだとしてSM-33に海賊たちの排除を命じると、SM-33はジョッドを殴打したのを手始めに、海賊たちを倒していく。
海賊のフリゲートから飛び立ったオニックス・シンダーは、アト・アティンを取り巻くバリアの渦の中へ。追ってくる海賊のスナブ・ファイターは、バリアによって破壊されていく。SM-33によると防衛網は機能しており、レノッド船長は造幣局の船を盗んでバリア突破に使ったため、この船は安全だという。オニックス・シンダーは、元は造幣局の宇宙船だったのだ。
リアルな悪役を演じたジュード・ロウと、子どもたちの熱演
バリアを抜けると惑星アト・アティンが見えるとともに、アト・アクランと同様に、オニックス・シンダーはロックされて自動着陸モードになった。
すると突然、コックピットの背後にジョッドが現れ、SM-33の頭部をライトセーバーではねてしまう。ジョッドは海賊たちに通信しようとするが、バリアの影響で通じない。
ジョッドは子どもたちに、口を開かず言うことに従うよう要求し、逆らうようなそぶりを見せただけでも、ホログラム通信で見た親たちを切り刻むと脅す。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」は、4人の子どもたちとジョッド・ナ・ナウッドの冒険を描いてきた。
子どもたちの言動に振り回されたり、逆にジョッドの行いによって窮地に陥ったりする一方で、ジョッドによって子どもたちがオニックス・シンダーの操作を覚えて一緒に乗り切ったり、ジョッドが危機を収めたりと、この1人の大人と4人の子どもたちというキャラクター配置や、そこから織りなされたコミカルな展開が大きな魅力であった。
しかし、このシリーズの終盤においてジョッドの海賊としての本性は剥き出しに!これまでのエピソードでの子どもたちに対するジョッドの態度との落差は激しい。シリーズを通した描写の積み重ねにより、子どもに対して恫喝するジョッドの凶悪さが際立つというわけだ。
特にウィムに対してはジェダイ・オーダーの教えを思い起こさせるアドバイスや、想像力の力を褒めていただけに、ジョッドがウィムを罵倒する様子はショッキング。
『スター・ウォーズ』における悪役は、銀河を支配しようとするシスの暗黒卿が代表的なところだ。シスは恐ろしい存在だが、金のために逆らえば親を切り刻むと脅して子どもを泣かせる悪役は、非常にリアルで嫌悪感のある「悪」が感じられる。
様々な顔と名前を持つジョッド・ナ・ナウッドを演じるジュード・ロウの表情やセリフ回しの表現と、対する子どもたちの恐怖と怒り、悔しさの入り混じる演技が光るシーンだ。
冒険の終着点で待つ「宝」とは
アト・アティンの保安規則に違反したと言うことで、通信ブイをバリア外に打ち上げた理由をセーフティ・ドロイドに問われていたファラと保護者たちは、管理官からの放送で密使が輸送のために到着したことを聞き、またガリーはKBの存在を検知する。
アト・アティンの地表からせり出したプラットフォームにオニックス・シンダーが着陸し、ジョッドは共和国の密使を名乗る。アト・アティンの規則により、密使は任務に際して造幣局へ直行することになっているということで、ジョッドと子どもたちはセーフティ・ドロイドとともに地下へ移動。
僚船との通信を早く取りたいと言うジョッドだが、セーフティ・ドロイドはバリア外との交信は違法であり、バリアについては管理官と話すように返答する。
到着した大金庫には、旧共和国クレジットが高い天井まで山積みになっていた。セーフティ・ドロイドによれば、大金庫は全部で1139もあるという…
流れ落ちるクレジットを手にして、高笑いするジョッドの姿はまさに宝の山で金貨を手にした海賊そのものだ!
さらに奇跡の再会を果たした子どもたちとその両親の前で、ライトセーバーを起動するジョッドは、子どもたちに言い放ったようにアト・アティンの大人たちも手にかけようとするのか?
ついにその声を聞くことが出来たアト・アティンの管理官は、その姿を表すのか?「旧共和国の宝石」と呼ばれ、保護のため隠された惑星であるアト・アティン。旧共和国の造幣局であるという秘密の一端は明らかになったが、子どもたちを取り巻く世界の仕組みはどこまで明かされるのだろうか?
アト・アティンで行われている造幣局でのクレジット造幣は、「大いなる事業」という言葉から、スカイウォーカー・サーガの200年前の時代であるハイ・リパブリック時代から続いており、またアト・アティンはその頃から隔絶された世界であることが考えられる。
そしてフォース感知者であるジョッドのバックグラウンドはどの程度明らかになるのか。1話ごとにエンタテイメント性に高いエピソードを展開してきた「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」だが、視聴者の興味を引っ張る縦のストーリーラインも優れたものがある。
冒険の終着点となる最終話で、誰がどのような「宝」を手にするか注目だ。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第7話「あたしたち絶対怒られる」トリビアチェックポイント
イヤな予感がする
ニールの母親のヌーマは、アト・アティンの森で通信装置の準備をしている際に「イヤな予感が…(I have a bad…)」と言いかける。
これは『スター・ウォーズ』シリーズに毎作登場するおなじみのセリフである「イヤな予感がする(I have a bad feeling about this)」を言いかけた形だ!
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、K-2SOが「イヤな予感がする(I ‘ve got a bad feeling about …)」 と同じく言いかけている。
スラップ・ボール
第4話「アト・アティンは記憶にねえ」で、ニールはアト・アクランのヘイナにスラップ・ボールの名選手のひとりだと話していたが、第7話「あたしたち絶対怒られる」ではオニックス・シンダーの船内でニールとファーンがそのスラップ・ボールで遊んでいる。
マットペイント
バリアに覆われたアト・アティンの背景は、メゾナイトボードにマットペイントで描かれている!
マットペイントを手掛けたのは、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』、『イウォーク・アドベンチャー』や『グーニーズ』などでマットアーティストを務め、また『ファントム・メナス(エピソード1)』、『クローンの攻撃(エピソード2)』でデジタルマットアーティストを務めたキャロリーン・“ジェット”・グリーン。
海賊のスナブ・ファイター
アト・アティン周辺を取り巻く渦の中へと送り込まれる宇宙船は、「マンダロリアン」シーズン3でゴリアン・シャード率いる海賊たちが搭乗していた海賊のスナブ・ファイターだ!
1138
アト・アティンの大金庫にて、ジョッド・ナ・ナウッドはセキュリティ・ドロイドに、こうした大金庫の数を尋ねると、全部で1139あるという。
つまり、ジョッド・ナ・ナウッドが入った大金庫のほかに1138の大金庫があるというわけだ。
この「1138」は、もちろんジョージ・ルーカスの長編商業映画監督第1作の『THX-1138』に由来する、『スター・ウォーズ』シリーズ恒例の数字だ。
『新たなる希望(エピソード4)』でのレイア救出のシーンでのルークの「監房ブロック1138から護送してきました」というセリフや、『ファントム・メナス(エピソード1)』でのバトル・ドロイドの番号、『フォースの覚醒』のジャクーでの戦闘シーンでファースト・オーダー ストームトルーパーのコールサインなど、『スター・ウォーズ』シリーズの随所に散りばめられている。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
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