Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第5話「お前たちは海賊を分かっていない」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第5話「お前たちは海賊を分かっていない」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第5話「お前たちは海賊を分かっていない」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」の他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第5話「お前たちは海賊を分かっていない」レビュー
アト・アティンの保護者たちの行動
アト・アティンの子どもたちは、帰るべき故郷=宝のありかを記す地図を求めて、ついに伝説の海賊の隠れ家へ!
各話ごとに、新たに提示される手掛かりによってストーリーを運んで行き、旅の舞台が変わっていくことが「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」のシリーズにおける大きな特徴だが、第5話「お前たちは海賊を分かっていない」では、追っ手が迫る中でアト・アティンの座標という、いわば宝の地図を巡ってかつての海賊の隠れ家を探検していくという、まさに『グーニーズ』な展開となるエンタテイメント性に富んだエピソードだ!
アト・アティンでは、ウィムの父であるウェンドルがニールの母のヌーマからシステムに侵入する装置を職場で受け取る。ヌーマによると、バリア外に交信するためにはアクセスコードが必要であるという。
しかし、ヌーマの装置を使ったウェンドルの試みはセーフティ・ドロイドに見つかってしまい、管理局次官のファラの知るところとなる。セーフティ・ドロイドを停止させ、記録を消去したファラは、正規ルートで対処しているとウェンドルに言うが成果はない。管理官は助けてくれる気はなく、自分たちで何かをするしかないというウェンドルの考えを、ファラは聞こうとする。
子どもたちと離れ離れになってしまった保護者たちのアト・アティンでの模様も、少しずつその動向が描かれてきたが、第1話「ホントの冒険ができるかも」に登場した管理局次官のファラとウェンドルが接触。大人たちにとっては、アト・アティンの所在を知られることを避けるのは常識であるようだが、ファラの言う正規ルート、ウェンドルの計画のそれぞれが気になるところだ。
保護者たちも大切な存在を守るため「冒険」をすることになり、それが子どもたちの危機を脱することにつながる展開となるだろうが、その組み立て方が楽しみである。また、アト・アティンの住人にとっての「世界」の仕組みが明かされるであろう、終盤への助走が始まっていることも感じさせる。
母を失ったウィム、執着を捨てたジョッド
一方、オニックス・シンダーではアト・アクランにて襲いかかってきたSM-33を、メモリーチップを迂回させコア・プロセッサーに過負荷がかからないようにして、拘束した上で起動させようとしていた。
起動したSM-33は、宝を嗅ぎ回る者はバラバラにしろという命令は前の船長であるタック・レノッドによるものだという。ジョッド・ナ・ナウッドによると、タック・レノッド船長は銀河で最も悪名高い海賊で、このオニックス・シンダーでアト・アティンの財宝を追うため出航したが、そのまま姿を消したのだという。
SM-33もアト・アティンの座標は覚えていないが、タック・レノッド船長はスカル・リッジ山の隠れ家に座標を隠したと明かし、一行はその隠れ家に向けてハイパースペースへ。
ジョッド・ナ・ナウッドは、タック・レノッド船長はお宝に目がくらんだ一等航海士が船長に挑戦する中、妾に裏切られて己の短剣で刺されるも、宇宙船の制御をロックしてアト・アティンに墜落させたのだと子どもたちに話す。
想像と違った本当の宇宙の恐ろしさに圧倒され、父や母が恋しくなったウィムに、ジョッドはすぐに会えると励ますが、母にはもう会えないのだとウィムは言う。
ジョッドは、恐れや不安、両親も忘れろと助言。それらは執着であり、必要ないものであるという。ジョッド自身も忘れたといい、ウィムの強い想像力があれば、腐った銀河でも壮大な冒険を夢見られると励ます。また、何に集中力を注ぐかで真実が決まり、自身が持つビジョンを大事にすること、生きたい人生を作るのは自分自身だと言う。
やはりウィムにとって、母はもう会えない存在だった。
これは第1話「ホントの冒険ができるかも」レビューでも言及したが、母親がおらず、父親との関係が上手くいっていない主人公であるウィムは、父親が不在である少年が主人公の『E.T』や、その『E.T』を製作したアンブリン・エンターテインメントのスティーヴン・スピルバーグ作品へのオマージュである『SUPER8/スーパーエイト』の母親を失った主人公を思い起こさせる。
特に、『SUPER8/スーパーエイト』は日常の中に現れた宇宙からの存在を巡る冒険を経て、主人公が母との離別を受け入れることがドラマとなっており、ウィムにとっても故郷へ帰るための冒険で、心を成長させることになりそうだ。
ここでウィムに影響を与える存在となるのがジョッド・ナ・ナウッドとなるが、ジョッドのアドバイスは上記のように執着や不安、家族をも捨てることだと、ジェダイの教えを思わせるようなものだった。さらに、後述するが集中して真実を見出すということは、クワイ=ガン・ジンがアナキン・スカイウォーカーに教えたことと同じだ!
ジョッド自身も執着は捨てたと言っており、ジョッド・ナ・ナウッドがジェダイ・オーダーの教えに触れていたことは濃厚となってきた。この第5話「お前たちは海賊を分かっていない」で、ジョッドは様々なシーンでフォースによるテレキネシスを見せており、もはやファーンが疑っていたようなトリックの域ではなさそうである。ジョッドはジェダイから離れ、自分自身が生きたい人生を作るということで自由な海賊となったのだろうか?
ジェダイの教えとともに、ウィムの想像力の力を見出して励ますジョッドは、数あるジョッドの顔のひとつである。もうひとつの顔は終盤で明らかになるわけだが、ジョッド・ナ・ナウッドと名乗る男の多面性が見られるのも、「お前たちは海賊を分かっていない」というタイトルが付けられたこの第5話の大きな要素だ。
海賊の船長の隠れ家を探すアドベンチャー!
SM-33によってスカル・リッジ山の隠れ家に近付くが、そこは今やリゾート地となっている惑星ラニューパだった。スカル・リッジ山ホテル&スパは、成人向けで子どもは入れない場所だ。ジョッドはSM-33と座標を探すことを主張するが、SM-33は船長であるファーンに付き従うという。ジョッドは隠し持っているクレジットを全部出すように言い、子どもたちをブラトリック星系の至高なる長老として同行させる。
ホテリエに旧共和国のクレジットで賄賂を払いながら受付をしている最中、ジョッドは過去に因縁のあった賞金稼ぎのポキットに見つかってしまう。
ポキットによって海賊の追っ手がやって来ることを予測したジョッドは、SM-33にタック・レノッド船長の隠れ家の入口にある印章について聞き、はしゃぐ子どもたちを急かして二手に分かれてその印象を探す。
捜索の途中でジョッド、ニール、KBは警備員に見つかって逃走。一方、ウィム、ファーン、SM-33は、スパの客であるクタロプスにこれまでの冒険譚を聞かせて楽しませることで協力をしてもらい、その巨大な触手で下部への穴へと合流したジョッド、ニール、KBとともに導いてもらう。
スカル・リッジ山ホテル&スパには、ポキットが通報したことでブルータス率いる海賊たちも到着。
追っ手が迫る中、ジョッドと子どもたち、SM-33は首をはねるレーザーや酸性の液体で覆われた入口など、様々なトラップが待ち受けるタック・レノッド船長の隠れ家へと足を踏み入れる…
子どもたちのこの年頃ならではのセリフで彩りながら、スカル・リッジ山ホテル&スパの警備やブルータスら海賊たちとのチェイスと、罠だらけの洞窟の探検、そしてその先にある宝が積まれた船長の隠れ家の発見は、前述した『グーニーズ』、そして『インディ・ジョーンズ』シリーズのようなアドベンチャー映画の痛快さ、ワクワク感でいっぱいだ。
宝の真相と、ジョッドのもうひとつの顔
隠れ家で見つけ出したデータポートからは、アト・アティンの星図に加えて、タック・レノッド船長のログが閲覧出来た。これにより、アト・アティンがなぜ宝の尽きない星と呼ばれているのか、その理由が旧共和国の最後の造幣局であるためだと明かされる。
スカル・リッジ山での冒険がゴールを迎えるとともに、前述したジョッド・ナ・ナウッドのもうひとつの顔が現れる。アト・アティンの所在とその宝の真相を確認し、追っ手を無惨に退け、子どもたちをも窮地に立たせるのだ。
数々の偽名を使い、その過去を知る者からは口々に信用ならないと言われているジョッドの本性が出てくることでエピソードの終盤は俄然、スリリングな展開に!
SM-33も、ジョッド・ナ・ナウッドがファーンに挑戦権を行使して降参させたことで、その配下となってしまう。ともに旅をしてきたジョッド・ナ・ナウッドとSM-33の宝を前にした裏切りは、まさに「お前たちは海賊を分かっていない」だったのだ。
そのエピソードタイトルが付けられたこの第5話は、アドベンチャーと連続活劇(シリアル)らしい終盤の急展開により、シリーズの中でも屈指の娯楽作といえるだろう。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第5話「お前たちは海賊を分かっていない」トリビアチェックポイント
レノッド
SM-33は、宝を嗅ぎ回る者はバラバラにしろという命令は、前に仕えていたタック・レノッド船長によるものだと話す。
このタック・レノッドの名前は、前話である第4話「アト・アティンは記憶にねえ」にて、アト・アティンに着いたと思ったジョッド・ナ・ナウッドが言う「Rennod’s ghost(レノッドの幽霊)」という感嘆の言葉にてすでに登場していたのだ。「Rennod」は、後ろから読むと「Donner」となり、『グーニーズ』を監督したリチャード・ドナーを連想させる。
クワイ=ガンと同じ教えを説くジョッド
ジョッド・ナ・ナウッドは、ウィムに対して「何に集中力を注ぐかで真実が決まるんだ(Remember, your focus determines your reality)」と言う。
これは『ファントム・メナス(エピソード1)』でクワイ=ガン・ジンがアナキン・スカイウォーカーに言う「忘れるな、集中力が真実を見抜く(Always remember, your focus determines your reality)」というセリフと同じだ。
このシーンでは他にも、恐怖や不安、親といったものは執着であり、必要ないものであるから忘れるようにジョッド・ナ・ナウッドはウィムにアドバイスしている。あらゆる執着を捨て去ることも、ジェダイの教えの通りである。自身もそうしたというように、ジョッドがジェダイの教えを受けていたのかも知れないと思わせる描写だ。
クラウド・カーへオマージュしたようなサウンド
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」のサウンドデザイナーのデヴィッド・W・コリンズによると、ラニューパの上空でオニックス・シンダーをエスコートする2機のビークルの航行音は、『帝国の逆襲(エピソード5)』でミレニアム・ファルコンがべスピンのクラウド・シティに到着した際にエスコートした2機のクラウド・カーのオマージュのようにしたかったという。
確かに、これまでいた場所とは雰囲気が大きく異なるラグジュアリーな施設へやって来るというシチュエーションは同様だ。
行動規制ボルト
ラニューパのスカル・リッジ山ホテル&スパに到着したSM-33が、警備員にドロイドの暴力行為を制限するものだと取り付けられたのは行動規制ボルトだ。
行動規制ボルトは、取り付けられたドロイドの行動を制限するもので、『新たなる希望(エピソード4)』にてC-3POとR2-D2がタトゥイーンでジャワに回収された後に取り付けられ、逃走することが出来なくなっていた。「オビ=ワン・ケノービ」では、L0-LA59(ローラ)が行動規制ボルトを取り付けられ、操られて破壊工作を行っていた。
インターギャラクティック銀行グループ
ジュリー・アン・エメリーが演じるホテリエは、銀行グループが経済サミットとともに慰労で来ていることを、警備が厳重である点を尋ねたジョッドに説明している。
この銀行グループとは、インターギャラクティック銀行グループのこと。インターギャラクティック銀行グループは、『クローンの攻撃(エピソード2)』にて独立星系連合を支援していた商業ギルドで、当時はサン・ヒルが会長を務めていた。
サン・ヒルをはじめとしてインターギャラクティック銀行グループは多くのムウンによって運営されており、スカル・リッジ山ホテル&スパの泥風呂にて多くのムウンの姿が見えることは、ホテリエのセリフを裏付けている。
ポキット役はケリー・マクドナルド
ダッシュ・ゼンティンと称していたジョッドと、過去に賞金を奪われたという因縁を持つ賞金稼ぎのポキットを演じているのは、『メリダとおそろしの森』でメリダの声を演じたほか、ユアン・マクレガーが出演した『トレインスポッティング』でダイアンを演じていたケリー・マクドナルドだ!
賞金稼ぎギルド
ポキットはもう安いギルドの仕事はせず、個人の仕事を請け負っているという。
このギルドとは、「マンダロリアン」でグリーフ・カルガがネヴァロにおいてエージェントを務めていた賞金稼ぎギルドのことだろう。賞金稼ぎギルドは、メンバーへ賞金稼ぎの仕事の斡旋やその管理を行う組織だ。
賞金パック
ポキットは、パックの確認すらしていないと、ラニューパのスカル・リッジ山ホテル&スパへの滞在はあくまで保養であるとジョッドに言う。
このパックとは、賞金稼ぎギルドのメンバーが賞金首の情報を確認する際に使用している、「マンダロリアン」などに登場したホロパックの賞金パックのことだろう。
バクタ
ポキットは、ジョッドとの去り際に「熱いバクタにつかってくる」と言う。
バクタは、様々なケガの治療に用いられる万能薬で、『帝国の逆襲(エピソード5)』ではホスでワンパに襲われて遭難したルーク・スカイウォーカーがエコー基地に帰還した後、バクタで満たされたバクタ・タンクに収容されていた。
バクタ・タンクのほか、「クローン・ウォーズ」などでは患部に付けるバクタ・パッチが、「マンダロリアン」ではIG-11がディン・ジャリンの治療にバクタ・スプレーを噴霧し、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」ではボバ・フェットが患者が横たわるタイプのバクタ・ポッドを使用するなど、バクタは様々な用法がある。
スリーモ
ポキットはジョッドのことを指し、子どもたちに「このスリーモ(sleemo)を信じるな」と言っている。
「スリーモ」は、『ファントム・メナス(エピソード1)』でセブルバが用いていたハット語での侮辱の言葉だ。また、『クローンの攻撃(エピソード2)』ではザム・ウェセルが命を落とす間際に言っている。
トログロフ
スカル・リッジ山ホテル&スパの泥風呂につかるハットにトレイを持って行ったトログロフは、『最後のジェダイ(エピソード8)』にて、カント・バイトのカジノでディーラーをしていた種族だ。
Star Wars.comのインタビュー記事では、このトログロフの声は「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」の共同クリエーターであるクリス・フォードが演じたと明かされている。
ちなみに、このハットは「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」に登場した双子のハットの男の個体のように、口の下にタトゥーが入っている。このハットの声を演じたのは、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」のサウンドデザイナーのデヴィッド・W・コリンズだ。
ウル=キッタート
ニールは、泥風呂の付近の刻印を観察しているとウィムに連絡する。ここでニールとジョッド、KBが見ているのは、シスの古代言語であるウル=キッタートのようだ。
ウル=キッタートは、『スカイウォーカーの夜明け(エピソード9)』でのオーチの短剣に刻まれていたほか、「クローン・ウォーズ」や「反乱者たち」、「スター・ウォーズ:アソーカ」などに登場した太古のシスの言語だ。
なぜシスの言語がスカル・リッジ山に刻まれているのか?今や観光地となってしまった場所にシスの言語があることにも不気味さを感じる…
スキピオ
警備員は、ジョッドにスピキオのウミアム・ゴーロックス教授かと確認する。
スキピオは、「クローン・ウォーズ」シーズン6 第5話の「古い友達」にて言及され、「クローヴィスの台頭」で登場したインターギャラクティック銀行グループの本部がある氷の惑星だ。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
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