Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン1、シーズン2、またファイナル・シーズンの他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
目次
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」レビュー
オメガを探すハンターとレッカーは、クローン候補生の生き残りと出会う
「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」で、捕らえられたオメガとクロスヘアーのその後を描く一方、第2話「未知の道」ではバッド・バッチことクローン・フォース99の残存メンバーであるハンターとレッカーがオメガの行方を捜索し続け、その糸口をつかむまでが描かれる。
バッド・バッチの残存メンバーへと視点が戻ってきたことにより、未知なる場所に足を踏み入れて、そこで出会った脅威と戦う「バッド・バッチ」シリーズらしい反面、不在のメンバーやクローンという存在そのものへの悲哀も感じさせられるエピソードだ。
デヴァロンのギャング、イサ・デュランドとその息子であるローランド・デュランドの元へ、彼らと因縁のあるパイクを捕らえてきたハンターとレッカー。
その見返りとして、ドクター・ヘムロックの研究所と関連のある場所の座標を手に入れ、セトロンに到着した2人はヘムロックの研究所が軌道爆撃によって破壊し尽されたことを知る。
さらに、ハンターとレッカーはセトロンのジャングルでクローン候補生の生き残りと遭遇。クローン候補生たちは、カミーノからセトロンの帝国軍施設へと移ってきたものの、収監されて血液サンプルを採られており、爆撃が始まる前に逃げ延びてきたというのだ。
ジャングルで一行は、動く蔓に攻撃される。この動く蔓は帝国軍の実験兵器の一種であったものの、制御不能になったためにベース・デルタ・ゼロが指令され、帝国軍基地ごと破壊されたようだ。
オメガの手がかりを求めて、クローン候補生の仲間であるモックスの元を訪れると、コントロールルームのパネルは無傷であったものの動力が切れていたという情報を得る。
ハンターとレッカーは、クローン候補生の中でただひとり同行を申し出たディークとともに、帝国軍基地の廃墟へと向かうことに。
廃墟となった帝国軍基地は、動く蔓の巣窟となっていた。ハンターとレッカーは、帝国軍基地の廃墟からオメガにつながる情報を得ることが出来るのか…
意識させられるバッド・バッチ メンバーの不在
帝国軍の生物兵器が暴走して手に負えなくなり、実験施設ごと爆撃したものの周辺環境には動く蔓が蔓延ってしまったという、「バイオハザード」かのようなセトロンでのハンターとレッカーの冒険は、頻繁に薄暗い場所を探索してクリーチャーと戦ってきた「バッド・バッチ」らしいストーリーだが、これまでのエピソードと比べて個性豊かなメンバーの不在が目立ち、全体的にハードで悲壮感が漂う。
クロスヘアーが帝国軍につき、エコーがレックスの方へ向かい、テクとオメガを失い、ついにバッド・バッチは2人だけとなってしまった。
危機また危機の連続の中でも、バッド・バッチのメンバー同士のウィットのある掛け合いが、メンバーの組み合わせによって様々なリアクションのバリエーションを生み出していたが、ハンターとレッカーのみとなるとそれは限られる。
マローダー船内で、テクのゴーグルと、トゥーカ=キャットのぬいぐるみのルーラが残されているショットが物悲しい。どうしても、かつていたメンバーの不在を意識せざるを得ないのだ。
存在理由をなくしたクローン候補生たちの悲哀
また、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」は、エピソードのほとんどが茶色がかって薄暗い日中のセトロンのジャングルか、日が落ちたナイトシーンとなっており、色彩に乏しく常に暗い。
そのため、暗いシーンでも見やすい視聴環境で鑑賞した方が良い。空気中の埃など、暗所でも細部のディテールが作り込まれていることがよくわかるはずだ。
この画作りも、本エピソードのムードを大きく印象付けている。
さらに、少年のクローン候補生たちの生き残りの登場は、クローンという存在そのものへの悲哀を改めて打ち出している。
クローン・トルーパーたちの生産と訓練が進められていた最中、クローン戦争が突如として終戦したことで、当然ながら様々な成育段階のクローンたちがいることになる。
クローン戦争の終戦後のクローンたちの動向を描いてきた「バッド・バッチ」は、ここで戦争へ行くことがなかったクローン候補生の少年たちを取り上げる。
戦争の道具という目的のために生まれてきたにも関わらず(この時点で、生命倫理として大きな問題だが)、その目的を何も成し得ることなく奪われる。
まだ成育途中の少年のクローン候補生たちという視点を取り入れることで、クローン・トルーパーとしての価値観での活躍をすることなく、その存在や生命が無価値なものとされてしまう悲しさが際立つ。
それぞれの「未知の道」
それでも生きていれば、人生を変えることは出来る。
すでに新しい生き方を模索する旅に出ていたハンターが、クローン候補生たちの少年を安息の地であるパブーへと救い出し、自分で道を切り拓くよう導く。
これはクローンたちに限らず、生きていくことは「未知の道」を歩むことだ。
ハンターとレッカーは、もう道が決まっており、迷うことはない。
しかし、ドクター・ヘムロックの居場所があるセクターまでは判明したものの、その範囲は広大だ。どのような道を辿っていくか、それもまた「未知の道」だろう。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」トリビアチェックポイント
ローランド・デュランドとイサ・デュランド
ハンターとレッカーがパイクを連行してきたのは、デヴァロンのギャングであるイサ・デュランドの要塞だ。イサ・デュランドの玉座の傍らには、息子のローランド・デュランドがいる。
ローランド・デュランドは、「バッド・バッチ」シーズン1 第13話「群れ」に登場。
シドのパーラーを突然乗っ取ったローランド・デュランドだったが、シドとバッド・バッチによってバイヤーに売る予定のスパイスを持ち出され、パイク・シンジケートへの支払いが出来ない状態となり、一転して窮地に立たされた。
スパイスはバッド・バッチによってパイク・シンジケートへと返還。パイク・シンジケートも、ローランド・デュランドに手を出せば母のイサ・デュランドが黙っていないため、命を取ることはせず右の角を斬り落とすにとどめた。
イサ・デュランドは、「バッド・バッチ」シーズン1 第13話「群れ」でセリフにて言及されていたが、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」で初登場となった。
ハンターとレッカーが連行してきたパイクは、ローランド・デュランドの取引相手であり、デュランド家は「バッド・バッチ」シーズン1 第13話「群れ」での雪辱を果たした(ローランド・デュランドがシドのパーラーに手を出さなければ良かった話なのだが)。
ハンターがローランド・デュランドに投げて渡したのは、パイクが斬り落としたローランドの角だ。
アンジェリカ・ヒューストン
イサ・デュランドを演じているのは、『アダムス・ファミリー』シリーズなどで知られるアンジェリカ・ヒューストンだ。
アンジェリカ・ヒューストンは、ジョージ・ルーカス関連作品ではディズニーランドのアトラクション「キャプテンEO」にて、暗黒の女王も演じていた。
また「スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume 2」の「スクリーチャーズ・リーチ」ではシス・マザーを演じており、「バッド・バッチ」が『スター・ウォーズ』2作目の出演となる。
基本的にダークサイドの女王のようなキャラクターがハマり役のようだ。
ジョタス
セトロンに降り立ったレッカーは、ジョタスみたいな悪臭だと言う。
ジョタスは、ゲーム「Star Wars ジェダイ:フォールン・オーダー」に登場したゼフォに生息するクリーチャーのことだ。
ベース・デルタ・ゼロ
動く蔓について、帝国軍が作った実験兵器の一種で制御不能になったとハンターとレッカーに説明するクローン候補生は、おそらくこのことが帝国軍が自身の施設にベース・デルタ・ゼロを指令した理由だろうと推測する。
このベース・デルタ・ゼロは、惑星表面を完全に破壊する軌道爆撃を指示するコードのこと。共和国軍は地下深くの敵に対して最後の手段としてのみ使用し、帝国軍は惑星規模の絶滅を図る手段として用いられていた。
ベース・デルタ・ゼロは、ウェスト・エンド・ゲームスから発売されたレジェンズである「スター・ウォーズ ロールプレイングゲーム」の「Imperial Sourcebook」にて言及され、「スター・ウォーズ 反乱者たち」シーズン1 第5話「マスター救出作戦」でホロネット・ニュースにて触れられており、正史(カノン)にも登場した。
ダニエル・ローガン
クローン候補生のモックス役は、『エピソード2/クローンの攻撃』、「クローン・ウォーズ」にてボバ・フェットを演じたダニエル・ローガン!
ボバ・フェットとクローン候補生はともにジャンゴ・フェットのクローンであるため、同じような年齢であれば同じ声をしているというわけだ。
他のクローン候補生であるディークとスタックは、タイカ・ワイティティ監督の「ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル」で主役を務め、『デッドプール2』でラッセル・コリンズを演じたジュリアン・デニソンが演じている。
ジュリアン・デニソンは、テムエラ・モリソン、ダニエル・ローガン、また『エピソード2/クローンの攻撃』で青年期のクローン・トルーパー役のボディー・テイラーと同じく、ニュージーランドの俳優である。
オメガを演じているミシェル・アンもニュージーランドの俳優で、ジャンゴ・フェットのクローンたちはオリジナルを演じた俳優と同じくニュージーランド人俳優で合わせているのだ。
DC-17
スタックは、マローダーの船内でDC-17を見つける。
DC-17ハンド・ブラスターは、キャプテン・レックスが2挺で使用している、ブラステック・インダストリーズ社によるブラスター・ピストル。
DC-17はクローン・キャプテンやクローン・コマンダーといった階級が高い兵員に使用されており、スタックらの反応からもクローン候補生にとっては憧れのブラスターだったのだろう。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。