「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

スター・ウォーズ:バッド・バッチ シーズン2 レビュー/トリビア
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 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」のレビュー(感想・考察・批評)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2の他のチャプターのエピソード、またシーズン1のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

スター・ウォーズ:バッド・バッチ シーズン2 レビュー/トリビア

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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」レビュー

寒々とした雪と氷の中で、クロスヘアーに変化が訪れる

 「バッド・バッチ」シーズン2 第3話「孤独なクローン」に続いて、元クローン・フォース99であるクロスヘアーを主人公とした二つ目のエピソードだ。

 デシックスの戦いの後に、共に戦ったコマンダー・コーディは帝国軍に疑問を抱いて姿を消してしまった。コーディとは対照的にクロスヘアーは帝国軍の命令に従う生き方を続けてきたが、この「バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」では、ついに転換点を迎える。

 主な舞台は、雪と氷の世界にポツンと残る前哨基地。ほぼ全編が寒々とした色調で、登場するクローン・トルーパーたちの心情風景のようだ。凍てつく環境の中での陰鬱な雰囲気は『遊星からの物体X』を思わせもする。

 クロスヘアーはノーラン大尉の元で、氷の惑星であるバートン4の補給基地での貨物の警護任務に就く。バートン4の補給基地では、貴重な貨物が盗賊に狙われているといい、それらが週末に輸送されるまで警護するというものだ。

 前哨基地には、クローン・コマンダーのメーデーと2人のクローン・トルーパーが残るのみだった。メーデーによると、36日前には帝国の援軍は到着していたはずで、他の部下は全員死んだという。

 1年以上前から貨物を見張る任務に就いているというメーデーは、アーマーを着ていても凍死するほどの過酷な環境で、センサーが劣化しても交換してもらえない乏しい資源の中、貨物の内容も知らされずにそれを死守するよう命令されている。

 そんな中、前哨基地が盗賊の襲撃に遭う。クロスヘアーは手負いの襲撃者の後を追って、盗賊たちが基地へ出入りする際に用いていたトンネルを発見。

 襲撃により、貨物を2個盗まれたことでノーラン大尉は激怒し、クロスヘアーとメーデーの2名だけで奪還作戦を行うよう命じる。トンネルを通って盗賊を追跡する2人は、1人の盗賊の死体を発見。

 部下のアーマーを盗んでいること、そして仲間を置き去りにして逃げた盗賊に苦言するメーデーに、死体を運んでも意味ないと言うクロスヘアー。

 そんな中、クロスヘアーは埋設されていた地雷を踏んでしまう。無効化するべく、地雷除去作業をしている際にメーデーは気晴らしとしてお互いの話をする。戦争が終わることなど、実際に終わるまでは考えていなかったというメーデーに、クロスヘアーは自分はクローン・フォース99の所属であったが、仲間は「全員死んだ」と言う。

 無事に地雷を解除し、盗賊の拠点を発見したメーデーとクロスヘアーは盗賊たちを一掃。

 盗賊が盗んでいた貨物を調べると、その中身はTKストームトルーパーのアーマーだった…

「消耗品」扱いされるクローン・トルーパー

 「バッド・バッチ」シーズン2 第3話「孤独なクローン」の時との大きな違いは、シーズン2 第8話「真実と結末」にてパルパティーン皇帝によってストームトルーパーという帝国軍の徴兵制度が成立していることにある。

 まだ働けるクローン・トルーパーたちも強制退役させられ、部隊の中でも邪魔者扱いされており、クローン・トルーパーの地位が異様に低くなっていることが実感出来る描写が度々登場している。

 まともな物資・人的なリソースも与えられずに、過酷な環境にある前哨基地を守り抜け、貨物を奪われたら援軍なしで奪還しろと言われているメーデーの部隊は、まさにデスマーチ(死の行軍)をさせられている状況だ。貨物を死守させたいと帝国軍が本気で思っているかどうかも疑わしい。

 そんなクローン・トルーパーは、戦争のためだけに「生産」された「消耗品」であることが、いよいよ明白に描かれている。

 クローン・トルーパーの当初の目的は、ジェダイ・マスターのサイフォ=ディアスが予期した銀河系規模での戦争において共和国を守ることだったが、ダース・シディアスによって引き継がれてしまい、ジェダイを殲滅するオーダー66を発動させる行動抑制チップを組み込まれ、創設された共和国軍の兵員となった。

 分離主義勢力との戦いによって混乱を起こし、疲弊したところで側で戦っていたクローン・トルーパーがジェダイを突然裏切り、一掃する…ジェダイはクローン・トルーパーを信頼していたからこそ、防ぎきれなかった。

 クローン・トルーパーは、共和国に軍備を持たせ、ジェダイを殲滅するというために「生産」されたのだ。その役目は「バッド・バッチ」の時点ではもう終わっており、「消耗品」は使い切れば補充されることはない。

地獄巡りをしたクロスヘアーの怒り

 「バッド・バッチ」シーズン1、そしてシーズン2 第3話「孤独なクローン」に続き、クロスヘアーが選んだ道はまさに地獄巡りの様相となってきた。

 優秀な兵士として命令に従ってきたにも関わらず、貧弱なリソースで死地に送られ、生還しても罵倒される…この仕打ちは一体なんだ?

 クロスヘアーに対して、ノーラン大尉は「I don’t like used equipment(使い古しは嫌いでね)」と答えているが、この言葉の通りノーラン大尉はクローン・トルーパーを装備(equipment)としてしか見ていない。

 かつてジェダイはクローン・トルーパーを仲間として扱い、互いに敬意を払って接していたが、帝国軍にはそんな信頼関係はないのだ。

 優秀な兵士としての生き方を選んだクロスヘアー。しかし、その主が変わったことで兵士の扱いは大きく変わり、帝国軍の兵士は「消耗品」として全うすることが果たすべき目的となった。

 死体を運んでも意味ないと言っていたクロスヘアーが、瀕死のメーデーを前哨基地まで運び込んだ。このことだけでも、クロスヘアーはメーデーとの出会いによって大きな変化を遂げたことが感じられるが、ついにノーラン大尉に怒りの銃口を向ける。

 その直前にクロスヘアーが見つめていたのは、バートン4の上空を飛ぶアイス・ヴァルチャー(英語字幕でその名称が確認出来る)。メーデーによれば狂暴な生き物だが、生き延びる術を知っており、見習う部分もあるという。

 このまま帝国軍にいては、いずれ生き延びられなくなると悟ったのか。それとも自由に飛ぶその姿に、軍に縛られた自分を重ね合わせたのか。

 ともかくクロスヘアーはノーラン大尉を射殺したことで、ウェイランドのタンティスの帝国軍施設へ送られることに。ラマ・スーの助言により、ドクター・ヘムロックはナラ・セを動かすためにオメガが必要であると認識しており、彼女と近しいクローン・フォース99のメンバーは、おびき寄せる材料になると思っているのではないだろうか。

 いよいよシーズン2も終盤となる「バッド・バッチ」、クローン・フォース99とオメガ、クロスヘアーの道が重なる時も近い。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第12話「前哨基地」トリビアチェックポイント

帝国情報局

 「バッド・バッチ」シーズン1 第10話「対等な仲間」に登場したキャプテン・ブラッグが、強制退役だと抗議しているクローン・トルーパーに質問や不明点があればすべて帝国情報局に、と言っている。

 この帝国情報局(Imperial Information Bureau)は、ISB(帝国保安局、Imperial Security Bureau)とは異なる組織で、このエピソードで初めて言及されている。帝国情報部(Imperial Intelligence)とも異なっており、今後組織の全容が現れることを期待したい。

エメリー・カーの声の出演はケイシャ・キャッスル=ヒューズ

 ノーラン大尉を射殺したクロスヘアーが目を覚ますと、そこにはウェイランドのタンティスの帝国軍施設にてドクター・ヘムロックとともに働くエメリー・カーがいた。

 エメリー・カーの声を演じているのは、ケイシャ・キャッスル=ヒューズ。

 『クジラの島の少女』にてアカデミー主演女優賞に史上最年少ノミネートを果たしたケイシャ・キャッスル=ヒューズは、『エピソード3/シスの復讐』でクイーン・アパイラナを演じており、これで『スター・ウォーズ』シリーズに2役で出演することに。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。

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