『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』日本公開20周年を記念して、先日募集させて頂いた「『エピソード1』との出会い」についてお寄せ頂いたエピソードをご紹介します。
今回は、『エピソード1』公開当時に私設ファンクラブ「リトルファルコン」のメンバーだったデススターのオチャクミさんから、『エピソード1』公開初日に至るまでに行われたイベントの様子を語って頂きます。
前作『ジェダイの復讐』から16年ぶりの公開となる待望の新作であった『エピソード1』。その公式ファンイベント「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」や試写会、先々行上映、そして公開初日といったイベントの場での、当時の日本のファンの熱狂ぶりを、デススターのオチャクミさんがお持ちの写真やメディアの記事もお見せ頂きながら、振り返ってみましょう。
この他の『エピソード1/ファントム・メナス』との最初の出会いのエピソードは、以下からご覧ください。
目次
スター・ウォーズ ファン・フェスティバル
『エピソード1」との出会いのエピソードで一番思い出に残っていることといえば、1999年4月24日に有楽町の東京国際フォーラムにおいて行われた「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」。これは、『エピソード1/ファントム・メナス』の世界初のファン向けのイベントでした。この1週間後、『スター・ウォーズ』ファンが集結する世界的なイベント「スター・ウォーズ セレブレーション」の第1回目が行われています。
それまでは単独のイベントでファンが集まることなど皆無で、前年の1998年12月にファン仲間に声を掛けあって、『エピソード1/ファントム・メナス』の予告編を劇場で観るために『X-ファイル ザ・ムービー』に集まったことがせいぜいでした。
それが、映画公開の数ヶ月も前に『スター・ウォーズ』イベントをやるなんて。期待に胸を膨らませて、ファン仲間と出かけました。
2005年の『エピソード3/シスの復讐』までプレミア試写会で通うことになる東京国際フォーラム。確か初披露となるサントラ音楽に包み込まれる会場の階段を上がった先のロビーには、レゴやトミー(ハズブロ)の新作グッズが飾られていました。
当時はスマホのない時代。カメラも持って来なかったので、じっくり目に焼き付けようと眺めるファンたち、お互いに喜びを共有する一体感に包まれた暖かい空間でした。
席に着き、配られたグッズを確認すると、映画チラシ、書籍関連のパンフレット、トミーのグッズPR下敷きが。
さらにグッズバッグに入っていたのは、ダース・ベーダーのグリーンカードのベーシックフィギュア。裏面には今回のイベント「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」のシールが貼られている特別版でした(のちにコレクターが探しまくるアイテムの一つになりました)。
そんなおまけに見とれているうちに開幕です。
来日を淡く期待していたジョージ・ルーカスはやはり現われず、代わりにビデオレターが流れました。その内容は、「イベントに参加したかったのですが、映画の編集の最終段階で忙しくて行けなくてごめんなさい」というもの。
落胆している私たちに、プロデューサーのリック・マッカラムが「今朝ジョージと電話で話して、最後の3カットが完成した。今日は『エピソード1』が完成した日になったんだよ!」と会場内に伝えると、とたんに会場中から割れんばかりの拍手が上がり大盛り上がりです。
次にダース・モール役のレイ・パークが登場し、中国刀の演舞(殺陣)を披露。そのキレとスピードに圧倒されまくり!『ジェダイの復讐(当時の表記)』までの映画でのライトセーバーの戦いにはスピード感のあるアクションシーンはなかったですから、大歓声が上がりました。
初披露された第2弾の予告編は、第1弾以上に見たこともないキャラクターとシーンが追加されていて、『ジェダイの復讐』までの旧三部作とは異なる作品感に興奮しまくりです。
当日上映されたもので最も心に残っているのは、トーン・ポエム(TONE POEMS)。キャラクター自身が一つのテーマをポエムのように語り、映像と音楽で構成されるTVコマーシャルフィルムでした。今まで『スター・ウォーズ』のCFでは見たこともありません。
シミ・スカイウォーカーの“ONE LOVE”、アナキンの“ONE DREAM”、クワイ=ガン・ジンの“ONE DESTINY”、クイーン・アミダラの“ONE WILL”、そしてダース・モールの“ONE TRUTH”。
『スター・ウォーズ』のストーリーに、こんなに感動するテーマが複数あったのかと心震える作品で、涙が止まりませんでした。
イベントの最後には、一週間後にアメリカで開催される「スターウォーズセレブレーション」に向けて日本からエールを送る映像を撮りました。
あとひと月後の全米公開、あと70日後の日本公開が待ちきれなくてたまらなくなった、一生忘れないイベントとなりました。
『エピソード1』試写会、先々行上映、公開初日の模様
この「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」の後、試写会、先々行上映、そして日本公開初日と、公開日まで多くのイベントがありました。その興奮の日々も振り返っていきます。
6/13『エピソード1/ファントム・メナス』スーパープレミア試写会
「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」と同じ、東京国際フォーラムで『エピソード1/ファントム・メナス』スーパープレミア試写会が6月13日に開催されました。
3回の上映でのべ1万2千名が参加したこの試写会は、『エピソード1/ファントム・メナス』が初の規格採用作品となったドルビーデジタルサラウンドEXのシステムで鑑賞でき、座席にも巨大なスピーカー並んでいたが印象的でした。
調整を当日の朝までやっていたおかげか最高の状態。ポッドレースのシーンで体感したあの振動と音響はその後14回行ったどの映画館の上映でも味わえませんでした。
3回目の上映回では、100名ものキャラクターがロビーに集結。ダース・ベイダーやルーク以外の『エピソード1』の新キャラクターであるジェダイ騎士やダース・モールなどは、ファンが数少ない画像や資料を収集して自作したものがほとんどでした。
今思えばその後のコスプレが集結するイベントの先駆けとなった試写会だったのではないでしょうか。
6/26『エピソード1/ファントム・メナス』先々行上映
先々行上映は、今は亡き日本劇場へ。有楽町マリオンでは大雨の中、前日から徹夜で傘をさして歩道に並び、その後並んだ階段の熱気と蒸し暑さで映画を観る前にダウン寸前になった人も出ました。
毎日新聞の記事では広末涼子が早稲田大学に初登校したニュースと並んで「見たい!」というくくりで記事になり、紙面を賑わせていたのが印象に残っています。
7/10『エピソード1/ファントム・メナス』日本公開初日
今は亡き新宿スカラ座で、初日初回のカウントダウン上映が行われました。お昼前から劇場前に集合し、夕刻には劇場階段に移動して映画上映までを待ちました。
ロビーにカンティーナバンドの片割れが現れて(ファン有志の突発的なパフォーマンスでした)演奏し始める中で、1983年の『ジェダイの復讐』終了から今日に至るまで、待ち望み続けた最新作のカウントダウンまでワクワクして過ごします。そして劇場内に入場し、カウントダウン。
20世紀フォックスファンファーレとルーカスフィルムのロゴの後のおきまりのフレーズ。テーマ曲が流れ出す。
上映終了後、一刻も早く仲間と感想を語り合いたい。あるものは開いている飲み屋になだれ込み、またあるものは仲間の家にタクシーで向かい、話が尽きないまま日の出を迎えました。
そして朝の回を再び観るために今度は有楽町マリオンへ向かったのでした。
きっと今年12月20日も同じようにワクワクしながらその時を迎えるのでしょう。あと5ヶ月、20年前のように公開までの胸おどる時間をじっくりと楽しみたいと思います。
20年前から変わったもの、そして変わらないもの
公式ファンイベント「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」を中心に、試写会、先々行上映、そして公開初日の様子を、デススターのオチャクミさんから語って頂きました。当時を語るファンサイトは確認出来ず、今のインターネットではなかなか見られないお話かと思います。
私は当時、インターネット環境のない中学生だったこともあって、「スター・ウォーズ ファン・フェスティバル」の存在は事後に知ったので、当時の熱狂に包まれた東京国際フォーラムに行ってみたかったものです。
レイ・パークの生演舞は拍手喝采モノでしょうし、今日この日に『エピソード1』が完成したなんて言われたら大盛り上がりだったのは想像に難くないですね…!
このイベントに2億円をかけたというのも、宣伝費の景気が良い話です…インターネットメディアがない中で、TV、新聞、雑誌といったパブリシティ獲得の価値は高かったのでしょう(大規模なイベントを開催し、その模様を各メディアで取り上げてもらうことで映画の宣伝につながり、広告換算するとイベント費よりも多くの露出の獲得を狙う手法)。
そして、『フォースの覚醒』以降の『スター・ウォーズ』映画のほとんどが全世界同時公開となり、一般に開かれた試写会を行うことはなくなってしまいましたが(マスコミ向け試写は実施)、『エピソード1/ファントム・メナス』スーパープレミア試写会のようにプリクエル・トリロジーの時は一般向けにも試写会が行われていました。
これ以降も、2008年の「クローン・ウォーズ」と2012年の『エピソード1/ファントム・メナス 3D』まで試写会が行われています。
『エピソード1/ファントム・メナス』スーパープレミア試写会には、当時の試写会史上最高の150人の芸能人も来場。最近、芸能人が大勢集まるプレミア試写ってなくなりましたね…
16年ぶりの新作を日本でいち早く見られるということで、会場のファンの高いボルテージは1万2000人の来場(応募は120万通で倍率100倍!)、100名ものコスプレファンが集まったというスケール感からも感じられます!
指定席なのに、約700人が徹夜したというのもお祭り感がすごい…
試写会と同様に、最近では行われなくなったのが先行上映。公開日の1週間前(先々行上映は2週間前)の日に劇場で上映される興行で、ハリウッド大作のブロックバスター映画はこの手法を取ることが多かったです。
新聞の記事で、広末涼子が早稲田入学!というのが時代を感じさせますね…そんな時期か…
ここで紹介されている劇場が今はないというのも、20年の時の流れを感じます。
余談ですが、デススターのオチャクミさんを初めて知ったのは、リトルファルコンが団体の結成時から振り返った2005年の書籍「ぼくたちのスター・ウォーズ」の座談会インタビューを当時読んだ時でした。
それから数年後にお会い出来たもすごいと思いますし、20年前もお互いに『スター・ウォーズ』の新作映画を楽しみにしていて、デススターのオチャクミさんに至っては1作目公開時から『スカイウォーカーの夜明け』まで40年以上もファンでい続けているわけです。
時が流れて変わるものもあれば、変わらないものもある。1999年の記憶たちを前に、そう実感させられます。
この他の『エピソード1/ファントム・メナス』との最初の出会いのエピソードは、以下からご覧ください。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。