Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第7話「チャプター7:名誉のために」のエピソードガイドです。
このエピソードガイドは、「チャプター7:名誉のために」のストーリー、レビュー(感想・考察)、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストをまとめています。
この記事はネタバレがございますので、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第7話「チャプター7:名誉のために」の本編鑑賞後にご覧ください。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」の他のチャプターのエピソードガイドは、以下をご参照ください。
目次
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第7話「チャプター7:名誉のために」ストーリー
ボバ・フェットとフェネック・シャンドが、パイク・シンジゲートの爆弾によって廃墟と化したサンクチュアリの店内を見ていると、そこにディン・ジャリンがやって来た。
歩兵は雇えることになったのかフェネック・シャンドが聞くと、ディン・ジャリンはコヴ・ヴァンスが守備隊を用意してくれると答える。コヴ・ヴァンスは1人でスパイスの取引を取り締まっているから、ディン・ジャリンたちがパイク・シンジゲートのスパイスの流通を止めることで、無償で受けてくれるというのだ。
フェネックは、スパイスの流通はジャバ・ザ・ハットのビジネスのほとんどであり、それでは無償ではないと指摘するが、ボバ・フェットはスパイス流通を止めるという条件に合意することにする。
そのオレンジの粉からは、相当クレジットが稼げるとフェネックは反対するが、ボバ・フェットは長い目で見ればスパイスは民を滅ぼすから、ない方が良いという見解だ。
コヴ・ヴァンスが率いる応援がやって来るとディン・ジャリンは確信しているが、もし来なかったらパイク・シンジゲートの人数にはかなわない。
ボバ・フェットは、応援が到着するまでの時間を稼ぐため宮殿に立てこもろうとするが、ストリートギャングのモッズのドラッシュとスカッドから、モス・エスパの人々を見捨てることになると反対され、町に残ることに。
キャド・ベインは、パイク・シンジゲートのリーダーと、モク・シェイーズ市長がいるモス・アイズリーのパイク・シンジゲートの拠点に戻ってきた。
キャド・ベインは、フリータウンのことは心配しなくて良いとして、保安官は中立を保つと報告。
モク・シェイーズ市長が、他にボバ・フェットが頼りそうなところとしてタスケン・レイダーの部族に言及すると、パイク・シンジゲートのリーダーは自分たちが皆殺しにしたからもう存在しないと明かす。
ニクト・スピード・バイカーの犯行に見せかける証拠を残したので、ボバ・フェット自身もパイク・シンジゲートの犯行だと気付いておらず、ニクト・スピード・バイカーたちに復讐したため、ボバにとって解決済みだというのだ。
その動機は、ボバ・フェットからタスケン・レイダーへのみかじめ料を要求され、利益を守るため。
モク・シェイーズ市長は、サンクチュアリを爆破して良いと言っておらず、攻撃は合意したが、戦争やモス・エスパの破壊はしないよう告げる。
パイク・シンジゲートのリーダーは、戦争の一線はもう超えており、サンクチュアリの廃墟に逃げ込んだボバ・フェットたちを始末するにあたって思い切った手が必要だと言う。
キャド・ベインには、ボバ・フェットをおびき寄せる案があるという。
モス・アイズリーの夜空を飛んで来たXウィングが、モス・アイズリー宇宙港のハンガー3-5に着陸する。
新共和国の士官だと思って出迎えたペリ・モットーは、新共和国の営業許可申請はたった今したと言うが、コックピットに乗っていたのはグローグーのみ。アストロメク・ドロイドのR2-D2が操縦して来たのだ。
グローグーを抱き上げたペリ・モットーは、R2-D2からグローグーという名前を聞いてひどい名前だと口にする。そして、グローグーにダング・ワームを食べさせてやるのだった。
日が変わり、サンクチュアリの廃墟ではフェネック・シャンドが、フリータウンからのコヴ・ヴァンスの援軍が来るまでの間に、モス・エスパの旧市街を目立たないようパトロールし、パイク・シンジゲートの兵力が揃った時に先に奇襲出来るようにするという作戦を立てた。
クラトゥイニアンの宇宙港の縄張りはガモーリアン・ガードが、トランドーシャンの縄張りの市庁舎のある役所が並ぶ通りはブラック・クルルサンタンが、アクアリッシュの縄張りの労働者地区はモッズたちが、それぞれ中立を保つと言った3つのファミリーの領域を見張ることに。
これで隙なく応戦出来るとフェネックは言うが、8D8が何者かがボバ・フェットを尋ねて来たと告げる。
誰も忍び寄れないんじゃなかったのかとこぼしながら、サンクチュアリの外にボバ・フェットが出てみると、やって来たのはキャド・ベインだった。
パイク・シンジゲートの代理で交渉しに来たというキャド・ベインは、フリータウンの援軍は数に入れていないこと、コヴ・ヴァンス保安官と会ったこと、そして彼からアーマーを取るべきではなかったと、ボバ・フェットにほのめかす。
そして改めて、モス・エスパのスパイス流通を認めれば争いは回避出来ると主張するが、ボバ・フェットはこれを断り、交渉に応じるのはパイク・シンジゲートのボスのみだと言う。
キャド・ベインは、パイク・シンジゲートがタスケン・レイダーの部族を殺してニクト・スピード・バイカーたちに罪を着せたことを告げ、決着を付けようとホルスターに手を伸ばす。
ボバ・フェットもキャド・ベインを倒すと意気込むが、フェネック・シャンドに仕切り直すよう説得され、戦闘態勢を解いてクライアントに交渉の余地はなくなったと伝えるようキャド・ベインに告げる。
キャド・ベインが去った後、ボバ・フェットの元にドラッシュから何か妙な雰囲気を察知したと報告が入る。
すると突如として、アクアリッシュたちがドラッシュたちを攻撃し始めた。さらにトランドーシャンたちがブラック・クルルサンタンを襲撃。ガモーリアン・ガードたちはクラトゥイニアンの攻撃を受け、崖から転落してしまった。
数では勝ち目がないため、指揮官を排除しようと考えたフェネック・シャンドは、市長の執事長からパイク・シンジゲートの本拠地がモス・アイズリーの砂漠の測量事務所であると聞き出し、スピーダーバイクを飛ばす。
大勢のトランドーシャンを相手に奮戦するブラック・クルルサンタンだったが、ついに抑え込まれてしまう。
モス・アイズリーに向かう途中のフェネック・シャンドは、アクアリッシュたちと銃撃戦を展開するモッズたちを助け出し、サンクチュアリに戻るよう指示。
そのサンクチュアリの正面を、パイク・シンジゲートの軍勢が取り囲む。
モス・エスパの3つのゴートラは、中立するという協定を無視してボバ・フェットを裏切った。
ボバ・フェットは、ディン・ジャリンに逃げるべきだと言うが、ディン・ジャリンは約束した以上はともに死ぬまで戦うと、教義に反することを理由に残る。
ともに名誉のために死のうと決意を固めるディン・ジャリンだったが、市長の執事長はコルサントの最高学府で市民評議会における交渉術を専攻したので、交渉を任せて欲しいと申し出る。
ボバ・フェットは声明文といくらを出すかの額面を書いたタブレットを渡し、市長の執事長をサンクチュアリの外に送り出す。
市長の執事長は、パイク・シンジゲートの面々にボバ・フェットの降伏に際しての条件を読み上げようとするが、途中で言いよどんでしまう。
そこには降伏の条件は書かれておらず、パイク・シンジゲートへタトゥイーンから出て行き、スパイス流通を止めることを突き付け、これが拒否されるようであればタトゥイーンの砂漠はパイク・シンジゲートの死体を肥やしとして、花々の咲き乱れる野原となるだろうと、執事は告げるのだった。
パイク・シンジゲートのメンバーがブラスターを構えた時、上空からジェットパックを使ったボバ・フェットとディン・ジャリンのブラスターが放たれ、戦いが始まった。
ボバ・フェットとディン・ジャリンは、お互いのアーマーにある武器を駆使して次々にパイク・シンジゲートのメンバーを倒していく。ベスカーのアーマーは、ブラスターも弾いてしまう。
それでも、次第に大勢の敵の前に劣勢になっていく2人。その時、V-35 クーリエ ランドスピーダーに乗ってフリータウンからの援軍が到着して戦況は変わる。
ウィークウェイのバーテンダー、タンティによると、コヴ・ヴァンスは容赦なく撃たれたという。ターンティは、この惑星をもっと良くしたいという思いで駆けつけたのだ。
ドラッシュやスカッドらモッズ、さらに満身創痍のブラック・クルルサンタンもサンクチュアリで合流。パイク・シンジゲートは、ボバ・フェットたちの前から退却した。
しかし、代わりに2機のスコーペネク・ドロイドが現れた。シールドを持つスコーペネク・ドロイドには、ブラスターもミサイルも通用しない。スコーペネク・ドロイドの攻撃によりV-35 ランドスピーダーは破壊され、ボバ・フェットの勢力は散り散りになっていく。
ディン・ジャリンは、スコーペネク・ドロイドに接近して火炎放射器、ダークセーバーと様々な攻撃を行うがシールドは破れない。
ボバ・フェットはディン・ジャリンにみんなを守るように頼み、援軍を呼ぶとジェットパックで飛び去っていく。
スコーペネク・ドロイドの追撃を受けるディン・ジャリンの前に、リクショー・ドロイドに乗ったペリ・モットーがサプライズがあると姿を現す。が、ディン・ジャリンとともにスコーペネク・ドロイドに追われることになってしまう。
チェイスの最中、ディン・ジャリンはペリ・モットーが連れて来たグローグーと再会。グローグーはディン・ジャリンからのベスカーの鎖帷子を着ている。2人は、また会えたことを喜び合うのだった。
しかし、リクショー・ドロイドが壊れて車両が吹き飛んでしまう。グローグーをキャッチしたディン・ジャリンは、ペリ・モットーとピット・ドロイドたちとともにスコーペネク・ドロイドから離れる。
その時、あたりに咆哮が鳴り響いた。ボバ・フェットが騎乗するランコアだ。
ランコアはスコーペネク・ドロイドを転倒させ、シールドを弱体化することに成功。
ディン・ジャリンはシールドの弱くなった箇所をダークセーバーで斬り付けてシールドの内側に入り込み、機体上部に斬撃を加える。
それでも動き続けるスコーペネク・ドロイドに追い詰められたディン・ジャリンを見たグローグーが手をかざすと、スコーペネク・ドロイドはフォースで上部に引っ張られて壊される。
さらにランコアに引きちぎられ、そのスコーペネク・ドロイドは完全に破壊された。
建物の中に隠れたモッズとフリータウンの勢力は、もう1体のスコーペネク・ドロイド、パイク・シンジゲートと激しい銃撃戦を展開。ドラッシュはタンティにサイクラー・ライフルを借り、フリータウンのジョーとともに屋上から狙撃。
そこにボバ・フェットが乗ったランコアが現れ、スコーペネク・ドロイドと戦う。ブラスターや足のツメの攻撃を受けつつも、ランコアはスコーペネク・ドロイドに掴みかかり、こちらも破壊した。
一転して劣勢となり、逃走するパイク・シンジゲートをボバ・フェットの勢力は追撃。圧倒するランコアだったが、そこに現れたキャド・ベインの火炎放射を受けて逃走してしまう。
振り落とされたボバ・フェットは、キャド・ベインと対峙。キャド・ベインに狙いは何かと問われたボバ・フェットは、俺の町と民を見捨てることはしないと答える。
2人は、素早い動きで同時にブラスターを構えた…
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第7話「チャプター7:名誉のために」レビュー
名誉のために嵐に立ち向かう、2人のマンダロリアン
全7話の「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」もついに最終章、これまでのチャプターで予告されていた「嵐」がモス・エスパに吹き荒れた。
かつての銀河一の賞金稼ぎであり、それまで自分のすべてを捨ててタスケン・レイダーの部族の中で生まれ変わり、新たに大名となったボバ・フェットが率いる仲間たちと、スパイス取引によってタトゥイーンの治安を脅かすだけではなく、ボバがともに暮らしたタスケン・レイダーの部族を亡き者にしたパイク・シンジゲートが、ついに激突。
フェネック・シャンド、ガモーリアン・ガード、ストリートギャングのモッズ、ランコア、ブラック・クルルサンタンといったこれまでにボバ・フェットが集めた仲間たちに、ディン・ジャリンと彼が呼び寄せた援軍も加わり、これまでのエピソードに登場したキャラクターたちがモス・エスパに集結した総力戦といったところだ。
「チャプター7:名誉のために」では、エピソードの中盤に差し掛かる頃から終盤まで、この両陣営の見ごたえある市街戦が展開される。
これだけ長時間に渡って、市街地での銃撃戦が描かれるのは『スター・ウォーズ』実写作品ではめずらしく、大ボリュームのアクションシーンが楽しめる。
特に、マンダロリアン・アーマーを着たボバ・フェットとディン・ジャリンの「マンダロリアン」シーズン2以来の共闘は、このシーンを描きたいがために、あたかも主人公が交代したかのような「チャプター5:マンダロリアンの帰還」と「チャプター6:砂漠から来た流れ者」があったのではないかと思わせるほど!
共にジェットパックで空を舞い、背中を預けてブラスターを放ち、それぞれのマンダロリアン・アーマーの全身に隠されたあらゆる武装で敵に立ち向かう姿は、最終話にして「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」というシリーズからイメージされてきた、実にらしいシーンではないだろうか。
戦闘シーンの直前、サンクチュアリの廃墟でボバ・フェットとディン・ジャリンが絶望的な状況の中、逃げないで名誉のために死ぬ覚悟を決める会話シーンは、この後のアクションシーンの前のバネの役割を持ちつつ、『明日に向って撃て!』の終盤を思い起こさせもする(ボバ・フェットとディン・ジャリンはブッチ・キャシディとサンダンス・キッドではないので、突撃して静止画になったりはせず、市長の執事長を陽動に出す)。
さらに、パイク・シンジゲートが投入したシールドを備えた大型のドロイデカのようなスコーペネク・ドロイドと、対するボバ・フェットが期待通り騎乗する「チャプター3:モス・エスパの町」でなついたランコアの大暴れにより、映画と遜色ない爆発と瓦礫の量に!まさに戦争。
日中の市街地で縦横無尽に暴れ回り、『キング・コング』かのように建造物へよじ登っては町を破壊し、敵を叩きのめすランコアの姿は、これが見たかったと思わせてくれるものだ。
キャド・ベインとの幻の決闘が実現
そして、ボバ・フェットがかつて賞金稼ぎ稼業について教わっていた、キャド・ベインとの決闘。
前話の「チャプター6:砂漠から来た流れ者」での期待通り、「砂漠から来た流れ者(From the Desert Comes a Stranger)」であるキャド・ベインと、同じく「チャプター1」のエピソードタイトルで「異星のはぐれ者(Stranger in a Strange Land)」とされたボバ・フェットの、真昼の決闘が実現した。
約30年の付き合いはあり、キャド・ベインはキャリアの初期にジャンゴ・フェットに手ほどきを受けるなど、その関係は敵味方で簡単に分けられるものではない。
キャド・ベインにとっては仕事でしかないだろうが、賞金稼ぎという稼業は仕事だからこそ、引き下がることは出来ない。
そんな人気の賞金稼ぎ同士の2人の決着がついたのは、『スター・ウォーズ』サーガの中でも大きな出来事だろう(改造屋にサイバネティクス手術でもしてもらわない限り、キャド・ベインはここから未来の話には登場出来ない。が、倒れたキャド・ベインの胸のランプの点滅は意味深だ…)。
「チャプター6:砂漠から来た流れ者」エピソードガイドに書いたように、このボバ・フェットとキャド・ベインの対決は、「スター・ウォーズ セレブレーション オーランド 2017」で公開された「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」の未完成エピソードでの幻となった決闘シーンを、実現させたものと思われる。
「チャプター7:名誉のために」の決闘シーンは「クローン・ウォーズ」未完成エピソードと似た印象もあるが、かつての自分を体現するようなキャド・ベインを、タスケン・レイダーの精神を象徴するガダッフィの杖(ガッフィの杖)でボバ・フェットが打ち負かすという、異なる結末となった。
かつての自分のような賞金稼ぎを、ガダッフィの杖で倒す。これをもって、カークーンの大穴から続くボバ・フェットの生まれ変わりの旅は、完遂したのかも知れない。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」シリーズ構成を振り返って
ボバ・フェットはパイク・シンジゲートを追い払い、モス・エスパの住民からも尊敬を得ることが出来たというエンディングを迎えることになったわけだが、最終話によってシリーズの全貌が明らかになったので、ここで「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」のシリーズ全体も振り返っておきたい。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」は、シリーズ中盤までボバ・フェットの夢という形で解き明かされていく過去と、現在を行き来しながら『エピソード6/ジェダイの帰還』の後のボバ・フェットの心の旅路を積み重ねて描いていくという構成だった。
ところが後半の「チャプター5:マンダロリアンの帰還」、「チャプター6:砂漠から来た流れ者」は、主人公が交代したかのように視点がディン・ジャリンに切り替わり、「マンダロリアン」シーズン2の後日譚とともにボバ・フェットと合流するまでが描かれ、その間はまるでボバ・フェットの方がカメオ出演かのような出番の少なさとなり、それまでのボバのストーリーの流れが寸断されたような印象を受ける。
この「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」のシリーズ構成は、いびつな構造だ。
本来、盛り上げるべき主人公の心の動きが、サブストーリーの方にフォーカスが入ったことにより散漫になってしまったと感じる。
銀河一の賞金稼ぎと呼ばれたボバ・フェットだったが、倫理観がなく頭の悪いクライアントに命懸けで仕えることに嫌気が差し、仕事に疲れ果て足を洗いたがっていたところを、ハン・ソロのスイングがまぐれで当たったことで、それまでの自分を構成するすべてをマンダロリアン・アーマーごと捨て去り、タスケン・レイダーとして通過儀礼を経て、より自分らしいと感じるような新たな自分に生まれ変わった。
そんなボバ・フェットが、自らの知恵と力でやれば、雇われ仕事をしなくてもギャングファミリーを率いることが出来るはずだと考えるところまでは、それまでの回想シーンの積み重ねで充分に理解が出来るところだ。
しかし、恩人であり仲間であったタスケン・レイダーを襲撃した真犯人がパイク・シンジゲートだとわかったことによって、ボバ・フェットの戦う動機に変化があったかどうか、戦闘シーンでのアクションに反映されていないように感じ、シリーズを通した感情の盛り上がりがここは必要だったのではと思われる。
これはキャド・ベインから、タスケン・レイダーの部族を襲撃したのはパイク・シンジゲートであることを聞いたボバ・フェットがヘルメットをしていて表情が読み取れないことだけではなく、その憤りがアクションシーンに結実していないことが影響している。
タスケン・レイダーの仇であるパイク・シンジゲートへの怒り、またもう仲間を失いたくないという気持ちが、なかなか伝わりにくい。
パイク・シンジゲートのリーダーや、裏切り者の3つのファミリー、モク・シェイーズ市長に手を下したのがフェネック・シャンドであったことは、彼女が暗殺の達人であることから適切な役割だったと思う。
ただニクトのキンタン・ストライダーズに罪を着せるミスリードをしたことが、ボバ・フェットのパイク・シンジゲートに対する行動に影響しておらず、前話で突然現れたキャド・ベインはその怒りをぶつける相手としてはふさわしくない。
もちろん、ディン・ジャリンとグローグーの後日譚は存分に楽しめるものだったし、終盤でのボバへの加勢に向けた必然性は感じるのだが、せっかくの2人の再会シーンも埋もれてしまった感がある。詰め込み過ぎはもったいない。
また、物語の起点であったビブ・フォーチュナから王座を奪ったことについて、ボバ・フェットがビブ・フォーチュナに裏切られた思いを抱いていた理由も不明なところだ。『スター・ウォーズ』は映像作品だけではなく、様々な媒体でストーリーが展開されるとはいえ、重要な点はシリーズ内に収めてもらいたい。
ファンそれぞれの中にある「ボバ・フェット観」(あるいは、ボバ・フェット論)
さて、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」は、視聴者それぞれが持っている「ボバ・フェット観」が鑑賞に影響してくると思う。
クールなヘルメットと装甲服で全身を武装した、凄腕の賞金稼ぎ。西部劇のガンマンのようにポンチョを思わせるケープと、斜に構えたポージング。その装甲服には無数の傷がついており、歴戦を生き延びてきたことがわかる。
あのダース・ベイダーとも対等に話が出来るが、『エピソード5/帝国の逆襲』と『エピソード6/ジェダイの帰還』を合わせて発したセリフは4行のみで、寡黙な男。
ハン・ソロのスター・デストロイヤーを使ったトリックも見抜き、見事に賞金首を追い詰め、カーボン凍結されたハンを輸送する冷徹な仕事ぶり。
でも、わずか6分32秒しか登場しない脇役だし、目が見えないハン・ソロの攻撃がまぐれで当たって、なんか情けない絶叫とともにあっさりやられてしまうという、憎めないヤツ。
多くの方々のベースになっている「ボバ・フェット観」は、まずはこんな感じだろう。
根源的なボバ・フェットの魅力は、ラルフ・マクウォーリーとジョー・ジョンストンによる上記のようにかっこいいキャラクター造形がありつつ、視覚的な要素以外は一切その素性を語らず、説明せず、ミステリアスな存在にすることで、見ている者に想像させる余地を残していたことにあったと思う。
賞金稼ぎだから金次第で、どんな勢力にも就ける可能性があるのもいいところだ。
ファンそれぞれの中に、宇宙を股に掛けたボバ・フェットの活躍があり、キャラクター観を持つことが出来る。想像力を刺激するキャラクターだったと思う。
例えば、1999年刊行の「スター・ウォーズ エンサイクロペディア」では、ボバ・フェットについて、経歴には諸説あるが信頼できるものはわずかとした上で、その本名はジャスター・メリールという惑星コンコード・ドーンの護民官であったが、堕落した護民官を殺害して追放されたという過去が書かれている。
真偽のほどはわからないとしながらも、自分の中に正義を持っていそうな、高潔な人物像がほのめかされている。
しかも、ボバ・フェットの装甲服はかつてジェダイと戦いを繰り広げたマンダロア戦士団のものであると、この時点で設定されていたのだ。
『エピソード1/ファントム・メナス』の公開時も、アナキン・スカイウォーカーの友達のキットスターが後にボバ・フェットになるとか(ダース・ベイダーと対等に話していたことから)、オーラ・シングが実はボバ・フェットなのだとか、ボバ・フェットが劇中に登場しなくてもその正体についての噂は絶えずファンの間で存在していた。
今やレジェンズとなったスピンオフ小説やコミックでは、『エピソード6/ジェダイの帰還』直前の知られざる戦いだけではなく(「シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア[帝国の影]」)、カークーンの大穴から脱出した後の未来に至るまでのボバ・フェットのストーリーも展開されており、様々な活躍を楽しめたのだ。
本編ではわずかな登場であったがゆえに、スピンオフ作品でフィーチャーされたボバ・フェットの印象が強いファンも多いだろう。これは2014年までに発表されたレジェンズ作品だけではなく、正史(カノン)の作品も同様にだ。
そんなボバ・フェットの正体は、『エピソード2/クローンの攻撃』でボバ・フェットとは賞金稼ぎジャンゴ・フェットのクローンであると明かされる。
ミステリアスなあのヘルメットの中はつまり、テムエラ・モリソンの顔をしているということだ。
ボバ・フェットの正体は明らかなものとなったが、謎と引き換えに想像の余地はなくなった。『エピソード2/クローンの攻撃』の時点で、これまでのボバ・フェット像は一新され、新たな「ボバ・フェット観」が出来たのだ。
「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」では、少年のボバ・フェットの活躍も描かれ、そのキャラクター性は掘り下げられていき、ジャンゴ亡き後の孤児がならず者たちの地下世界で、どのように生きてきたも明らかになっていく。
「クローン・ウォーズ」で描かれた、ボバ・フェットの「兄弟」であるクローン・トルーパーたちも、ボバ・フェットから派生したキャラクター性として見逃せないところだ。
このように『スター・ウォーズ』作品史を辿って考えてみると、「ボバ・フェットとは何者か?」について、変遷があったことがわかる。
そして、人は最初に触れた時の印象が心に残りやすいものだ。また、最初に触れた時の年齢の影響も大きいだろう。多感な時に触れた方が、好きなものを素直に好きになってのめり込みやすいし、成長した後のスタンダードが出来やすい。
つまり、いつ頃に、いくつの時に『スター・ウォーズ』、そしてボバ・フェットに出会い、ボバ・フェットが登場するどのような作品を鑑賞してきたかによって、ファンの中の「ボバ・フェット観」は異なっているのではないだろうか。
素性がわからない孤高の賞金稼ぎか、ジャンゴ・フェットの純粋なクローンなのか、最初に触れたボバ・フェットがいずれなのかによっても印象は大きく変わる。
また、映画作品でのわずかな登場シーンのみを鑑賞しているのか、その他のスピンオフ作品も鑑賞しているのかという違いは、ボバ・フェットというキャラクターへのインプット量に極端な差があるはずだ。
さらに、前述のように想像の余地がある点が魅力のひとつであるキャラクターだと考えると、ファンそれぞれの中に自分だけの「ボバ・フェット観」があってもおかしくない。
この「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」は、ミステリアスな「ボバ・フェット観」とは対極にあり、彼の心の中を、過去を解き明かしていく上に、銀河一の賞金稼ぎである自分を捨てて生まれ変わった新しいボバ・フェット像を描くストーリーだから、自分の中の「ボバ・フェット観」が強固だと、受け入れられない可能性があるのではと思う。
「ボバ・フェットの単独ドラマシリーズ」と聞いて、多くのファンが想像した内容とは異なるストーリーだろうし、銀河一の賞金稼ぎであったボバ・フェットは後遺症を負っており、アクションシーンでも傷つき、劣勢となることが多い。それに心にも傷を負っていて回復途中だ。
ディン・ジャリンへのボバ・フェットのキャラクター要素の引き継ぎ式
「チャプター5:マンダロリアンの帰還」エピソードガイドでも書いたのだが、マンダロリアン・アーマーを纏った孤高の賞金稼ぎというキャラクター性は、今やディン・ジャリンの方に移行している。
「マンダロリアン」のディン・ジャリンは、その外見からわかるようにボバ・フェットの要素を抽出したキャラクターだ。
「マンダロリアン」が『エピソード6/ジェダイの帰還』の後の時代を舞台にしたシリーズであることは、ボバ・フェットがカークーンの大穴に消えた後の「マンダロリアン・アーマーを着た賞金稼ぎ」という役柄は、ディン・ジャリンにバトンタッチしたということに思える。
オリジナル・トリロジーと同じ時代を舞台にしては、ディン・ジャリンはニセボバ・フェットのようになってしまう(レジェンズのジョドー・カストのように)。もちろんディン・ジャリンには、オリジナル・トリロジーの頃の活躍もあるはずだが、実写ドラマとして描くにはボバ・フェットがいない時代が良い。
銀河一の賞金稼ぎであるボバ・フェットは、文字通りカークーンの大穴に消えて「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」で、それまでとは異なる新たなキャラクター性を得た。
ディン・ジャリンも単なるボバ・フェットのコピーとならず、マンダロリアンとしてのバックグラウンドと、グローグーとの関係を描き、シーズン1の時点でそのキャラクター性を確固たるものにしている。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」によって、ボバ・フェットとディン・ジャリンのキャラクター性はある意味でこうした逆転現象を起こし、「チャプター7:名誉のために」はこれまでのボバ・フェットのキャラクター要素をディン・ジャリンへと手渡し終えた、引き継ぎ式のようにも思える。
偶像ではなく、アーマーの下のボバ・フェットの素顔に触れるシリーズ
こうして「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」を振り返ると、ボバ・フェットというキャラクターにフォーカスして内面が明かされていく「チャプター4:迫り来る嵐」までは、マンダロリアン・アーマーの偶像ではなく、人間であるボバ・フェットが何を考えていたのかを知れ、そして新たな自分へと変わるドラマを楽しむことが出来た。
ヘルメットを着用していないボバ・フェットが多く映されているのも、文字通りその素顔を描くためだ。
カミーノでクローンという特殊な出生のもと、「父」ジャンゴ(父としているが、遺伝上は他ならぬ自分自身だ)亡き後、孤児として必死に賞金稼ぎとして生きて名声を手にしたが思わぬところから文字通り、落とし穴に落とされた。
それでも新たにやり直すことは出来るし、失ったものがあるからこそ、本当はやってみたかったことを実現させることも出来る。それに、マンダロリアン・アーマーやスレーブⅠも取り戻したし、何もかもを失ったわけじゃない。
周囲が期待する自分と、自らがなりたい自分は違う。そんなことも思わされた。
そして、ボバ・フェットとディン・ジャリンのキャラクター性の類似性と、マンダロリアン・アーマーを着た賞金稼ぎという要素の引き継ぎを考えると、「チャプター5:マンダロリアンの帰還」、「チャプター6:砂漠から来た流れ者」での視点の切り替えも理解出来る。
ボバ・フェットとディン・ジャリンが再び合流し、キャラクター要素の引き継ぎを完了して、またそれぞれの道を行くにはディン・ジャリンの描写もある程度は必要だ。
シリーズ途中でカメオ出演のようになってしまうあたりも、「最高の脇役」であるボバ・フェットらしい気もする。
気が付けば「ボバ・フェット論」のような内容となってしまったが、作品を見て感じて考えたことをこのように長文で伝えたくなるほど、自分はボバ・フェットというキャラクターが好きなのだと改めて感じた。
名実ともに、モス・エスパの大名となったボバ・フェット。タトゥイーンは設定上は辺境の地であるが、『スター・ウォーズ』の中でもあらゆるストーリーが交差する中心地のため、この地を治めるボバ・フェットも登場の機会があることだろう。ボバ・フェットとパイク・シンジゲートの戦闘を、双子のハットもおそらく虎視眈々と見つめていたはずだ。
大名であるボバ・フェットの今後の治世に、そしてマンダロリアン・アーマーの賞金稼ぎであるディン・ジャリンとグローグーの2人が往く道に、期待したい。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第7話「チャプター7:名誉のために」トリビアチェックポイント
レッド5
ペリ・モットーとドロイドたちがいる、モス・アイズリー宇宙港のハンガー3-5に着陸したXウィングは、ルーク・スカイウォーカーのレッド5だ。
レッド5は、『エピソード4/新たなる希望』でのレッド中隊のルーク・スカイウォーカーのコールサインで、その後もルークが乗るXウィングの呼び名として定着している。
「マンダロリアン」の「チャプター16:救出」では、レッド5はモフ・ギデオンの軽クルーザーに着艦し、降り立ったルーク・スカイウォーカーがダーク・トルーパーたちを破壊し、R2-D2とともにグローグーを迎えに来た。
『最後のジェダイ』では、ルークが隠遁生活を送る時にレッド5はオク=トーの海中に沈められていたが、『スカイウォーカーの夜明け』にてルーク自身により引き上げられ、レイが搭乗してエクセゴルまで向かった。
エクセゴルの戦いの後、レイはレッド5に乗ってレジスタンスの基地があるエイジャン・クロスに帰還。
「チャプター7:名誉のために」でレッド5は、R2-D2が操縦してきた。
グローグーをディン・ジャリンの元に返すのならば、「チャプター6:砂漠から来た流れ者」で銀河は危険な場所だと自身で言っているのだから、預かると願い出たルーク・スカイウォーカー本人が責任をもってグローグーを安全に送り届けるべきだと思うが…
ディン・ジャリンとの暮らしを選んだ時点で、ルークはグローグーへお互いに執着を持たないようにしたためなのだろうか。
R2-D2とR5-D4
R2-D2がレッド5を着陸させたモス・アイズリー宇宙港のハンガー3-5には、ペリ・モットーの元でアストロメク・ドロイドのR5-D4が働いている。
R5-D4は、『エピソード4/新たなる希望』でR2-D2が捕らえられたサンドクローラーに乗せられており、ジャワの手でラーズ家に売られる寸前に故障したことで、代わりにR2-D2がルーク・スカイウォーカーの元にやってくるきっかけとなったドロイド。
まさかR2-D2とR5-D4が、接近遭遇することになるとは!運命の巡り合わせである…
ダング・ワーム
ペリ・モットーはXウィングから降り立ったグローグーに、ダング・ワームを与える。
ダング・ワームは、プレイステーションとパソコンでリリースされたゲーム版『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』に登場し、タトゥイーンのモス・エスパで売られていた食用動物だ。
「Quacta calling the Stifling slimy」
ボバ・フェットに腑抜けの殺し屋とは交渉しないと言われたキャド・ベインのセリフ「If that’s not the Quacta calling the Stifling slimy」は、「鍋がやかんを黒いと言う(The pot calling the kettle black)」という、自分を棚に上げて他人を批判することを指す英語のことわざの『スター・ウォーズ』ギャラクシーバージョンだと思われる。
この「Quacta calling the Stifling slimy(クアクタが息苦しいヌメヌメと言う)」は、「マンダロリアン」の「チャプター16:救出」で「脇役なのに態度でかい」と言ったコスカ・リーヴスに対し、ボバ・フェットが言ったことわざだ。
いずれの使用シーンでも、日本語吹き替えでは「それはあんたもお互い様/人のこと言えないだろう」という意味で訳されている。
コルサント
市長の執事長は、コルサントの最高学府で市民評議会における交渉術を専攻したという。
コルサントといえば、共和国、そして帝国の首都惑星であり銀河の中枢であるから、高度な教育を受けたことがわかる。
ちなみに「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」の頃は、コルサントは首都惑星ではなく、新共和国の首都惑星はシャンドリラになっている。
オーバ・ディアの黒曜石の崖
市長の執事長はパイク・シンジケートのメンバーに、いつかオーバ・ディアの黒曜石の崖を見てみたいものだと言う。
オーバ・ディアは、パイク・シンジケートの本拠地のある惑星で「クローン・ウォーズ」シーズン6 第10話「失われた者」、シーズン7 第6話「危険な取引」、第7話「取引の果て」、第8話「再結束」に登場。
オーバ・ディアの地形は黒曜石の岩山となっている。
アソーカ・タノはマルテス姉妹とともにパイクの宮殿に捕らえられ、ここから脱出したほか、オーバ・ディアの月でパイク・シンジゲートに殺されたサイフォ=ディアスの謎を調べていたオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーも、オーバ・ディアを訪れている。
『スター・ウォーズ』のスラング
「チャプター7:名誉のために」では、『スター・ウォーズ』でおなじみのスラングが複数登場している。
ボバ・フェットがディン・ジャリンの教義をバカにして言う「バンサのエサ(Bantha fodder)」は、『エピソード6/ジェダイの帰還』のジャバ・ザ・ハットや『エピソード1/ファントム・メナス』のセブルバが用いており、価値がないものを指す模様。
パイク・シンジゲートがドラッシュやブラック・クルルサンタンを追撃する際に言う「Sleemo」は、ハット語で侮辱の言葉で『エピソード2/クローンの攻撃』でザム・ウェセルがカミーノのセイバーダートが命中した際に言い残している。
ペリ・モットーがリクショー・ドロイドに言う「Bucket of bolts」というフレーズは、『エピソード5/帝国の逆襲』でレイアがエコー基地を脱出する際にミレニアム・ファルコンに対してガラクタだという意味で使っていた。
V-35 クーリエ ランドスピーダー
サンクチュアリの前で、たった2人でパイク・シンジゲートと戦うボバ・フェットとディン・ジャリンの前に駆けつけたフリータウンの住民たちが乗っていたのは、ソロスーブ社製のV-35 クーリエ ランドスピーダーだ。
V-35 ランドスピーダーは、『エピソード4/新たなる希望』のR2-D2が逃げ出したことをC-3POがルークに伝えるシーンにて、ラーズ家のガレージに駐機されている。
また、モス・アイズリーの町中でもV-35 ランドスピーダーが走っている。
V-35 ランドスピーダーはこのほか、『エピソード2/クローンの攻撃』のモス・エスパのシーンや、「スター・ウォーズ 反乱者たち」、また「マンダロリアン」「チャプター9:保安官」にも登場している。
フリータウンの住民たちが乗ってきたV-35 ランドスピーダーにはブラスターが搭載されており、発砲音はAT-ATキャノンと同じ効果音だ。
スコーペネク・ドロイド
パイク・シンジゲートがボバ・フェットとの戦いで投入したスコーペネク・ドロイドは、正史(カノン)では初登場だが、レジェンズとなった書籍「The New Essential Guide to Droids」ではスコーペネク・アニヒレイター・ドロイドというドロイデカ(デストロイヤー・ドロイド)を作ったコリコイドによる、ドロイデカの大型版が紹介されている。
「アート・オブ・スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」によると、このスコーペネク・アニヒレイター(破壊)・ドロイドは、もともと『エピソード2/クローンの攻撃』でコンセプトアートが描かれていたものだったが、分離主義者のドロイドの種類が多いということで、本編には登場することがなかった(もっとも、スコーペネク・アニヒレイター・ドロイドがボツとなった後に、新しいドロイドが追加されたのだが)。
ボバ・フェットとキャド・ベインの決闘
レビューで前述したように、「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」の未完成エピソードの中に、ボバ・フェットとキャド・ベインの決闘シーンは用意されていた。
「クローン・ウォーズ」は、ルーカスフィルムがディズニー傘下となった後の2013年にシリーズの終了が発表され、2014年に放送の「フィフス・シーズン」にて終了。
このシリーズ終了決定時点で完成していたエピソードは、シーズン6「ザ・ロスト・ミッション」として公開、制作をしていたものの未完成となってしまった作品は、「ファイナル・シーズン」で完成に至ったり、コミックや小説として展開されたほか、「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ<ザ・ロスト・ミッション>ブルーレイ コンプリート・セット」の特典映像として収録されたり、「スター・ウォーズ セレブレーション」のトークパネルでその存在を紹介されたりしている。
ボバ・フェットとキャド・ベインの未完成エピソードは、「スター・ウォーズ セレブレーション オーランド 2017」で制作途中のシークエンスが公開されている。
タトゥイーンにてタスケン・レイダーにさらわれた子どもをキャド・ベインとボバ・フェットが救出に向かう中で、キャド・ベインがボバ・フェットに真の賞金稼ぎになることを教えるという、ジョン・ウェイン主演の『捜索者』に影響を受けた4エピソードで構成される予定だったストーリーだったようだ。
ボバ・フェットとキャド・ベインの西部劇のような早撃ち決闘シーンも制作されており、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」はこの幻の「クローン・ウォーズ」のエピソードを発展させ、実写として実現させたものと思われる。
ウィルヘルムの叫び
ランコアに放り投げられるパイク・シンジゲートのメンバーは、『スター・ウォーズ』シリーズの他にも様々な映画に使用されている音響素材である「ウィルヘルムの叫び」を上げている。
「Kinect スター・ウォーズ」の「ランコア ランページ」
モス・エスパの町を破壊しながら、スコーペネク・ドロイドと死闘を展開するボバ・フェットのランコア。
ゲーム「Kinect スター・ウォーズ」では「ランコア ランページ」というランコアを操作して破壊の限りを尽くすモードがあり、タトゥイーンの町でランコアが暴れ回る様は、これを彷彿とさせる。
獣を飼いならすフォースの使い方
グローグーはモス・エスパで暴走するランコアをフォースで落ち着かせ、眠らせることに成功する。
『エピソード2/クローンの攻撃』にてアナキン・スカイウォーカーがジオノーシスのアリーナでリークを手懐けたほか、「スター・ウォーズ 反乱者たち」でエズラ・ブリッジャーが様々な動物たちとつながるなど、動物に対してフォースで交感しておとなしくさせたり、ともに行動出来るようにする使い方はこれまでのシリーズにも登場してきた。
LEPシリーズサービス・ドロイド
パイク・シンジゲートを撃退し、平和を取り戻したモス・エスパ。大名であるボバ・フェットを囲む仲間たちの中には、LEPシリーズサービス・ドロイド(LEPサーヴァント・ドロイド)の姿も!
「チャプター4:迫り来る嵐」では、スレーブⅠを取り戻すためにボバ・フェットとフェネック・シャンドがジャバ・ザ・ハットの宮殿に潜入した際に、厨房にネズミを駆除しにやって来たLEPシリーズサービス・ドロイドと遭遇。
厨房中を逃げる小さなドロイドに手こずったものの、ボバ・フェットがLEPシリーズサービス・ドロイドを捕えると、恐怖のあまりか自らボタンを押して機能停止した。
その後、ビブ・フォーチュナから宮殿を奪い取った際に、LEPシリーズサービス・ドロイドもそのままボバ・フェットに仕えることになったのだろうか…
エンドクレジット途中のシーン
「チャプター7:名誉のために」では、エンドクレジットの最中にボバの宮殿のバクタ・タンクに収容されたコヴ・ヴァンスと、「チャプター4:迫り来る嵐」に登場したサンダーキャット演じる改造屋が手術を開始しそうな様子のシーンが収められている。
コヴ・ヴァンスはサイバネティクス手術を受け、マンダロリアン・アーマーがなくてもより強い体となるのだろうか?
エンドクレジット途中のシーンもお見逃しなく!
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2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。