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「マンダロリアン」シーズン3「チャプター21:海賊」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2023 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「マンダロリアン」シーズン3 第5話「チャプター21:海賊」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「マンダロリアン」シーズン3 第5話「チャプター21:海賊」のレビュー(感想・考察・批評)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「マンダロリアン」シーズン3 第5話「チャプター21:海賊」本編鑑賞後にご覧ください。

 「マンダロリアン」シーズン3の他のチャプターのエピソード、シーズン1、シーズン2のエピソードガイドは、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「マンダロリアン」シーズン3 第5話「チャプター21:海賊」レビュー

映画のクライマックスかのような海賊との戦い

© 2023 Lucasfilm Ltd.

 まるで、映画終盤のクライマックスシーンの前後を抜き出したかのようなエピソード!

 「マンダロリアン」シーズン3 第5話「チャプター21:海賊」では、そのエピソードタイトルの通り「チャプター17:背教者」に登場した海賊王ゴリアン・シャードがネヴァロに逆襲。

 「チャプター19:改心」で描かれたように組織として硬直化し、身動きが取れない新共和国に代わって、窮地に陥ったグリーフ・カルガのため、ディン・ジャリンがマンダロリアンたちと共に立ち上がる。

 エピソードの大きな見せ場となるのは、ディン・ジャリンとボ=カターン・クライズらから成るマンダロリアンの部隊による、ゴリアン・シャードが率いる海賊たちからのネヴァロ奪回作戦だ。

 ネヴァロを奪回するため、ゴリアン・シャードのキュミラス級コルセアが占拠する上空での空戦と、配下の海賊たちが徘徊する地上の市街戦の2面で展開される戦闘は、『スター・ウォーズ』映画のクライマックスかのようなスケール感のあるシーンとなっている。

 「チャプター19:改心」のオープニングのドッグファイトでも、これが毎週更新されるドラマシリーズで見られるとは!と思ったが、さらに迫力があって長尺のシーンだ。

 「チャプター19:改心」と異なる点としては、ゴリアン・シャードのキュミラス級コルセアという大型艦も交えた空中戦となっていることで、より戦略性のある戦いとなっている。

 もちろん、峡谷の間を飛び抜けるチェイスや、翼から発せられる線状の航跡、機体脇のアングルによるスピード感や臨場感のあるドッグファイトシーンも健在。

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 ナブー・N1スターファイター、コムルク級ファイターのたった2機で、大型艦とその戦闘機群を沈めていくのは爽快感があり、数や物量で勝る敵に対して、陽動をかけて劣勢を覆すという展開は『スター・ウォーズ』らしい王道を歩んでいるといえる(戦闘の真っ只中へと大切なグローグーを同乗させたディン・ジャリンの考えは、ちょっと理解し難いが)。

 コムルク級ファイターから降下されたマンダロリアンたちによる地上戦も、砂ぼこりが立つ市街地での遮蔽物を使いながらのミリタリーテイストのある銃撃戦が展開(前話である「チャプター20:孤児」で、棒立ちで銃撃戦をしていたナブー王室保安軍のアクション演出がますますもったいなく感じてしまう)。

 ジェットパックやワイヤーなどのアーマーの装備も活用した、マンダロリアンの戦闘民族たる所以が見られる戦闘シーンとなっている。

 パズ・ヴィズラのヘビー・ブラスター・キャノンや、海賊側のトランドーシャンによる高所からのブラスター・キャノンといった局面を変える兵装の登場による変化の付け方もあって飽きさせない。

マンダロリアンの大きな転機

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 そして、興奮のバトルだけではなく「マンダロリアン」の物語も大きな転機を迎える。

 ディン・ジャリンらがグリーフ・カルガへの恩義に報いてネヴァロの人々を救い出した英雄となったことで、チルドレン・オブ・ザ・ウォッチはネヴァロの土地を得て、新天地を築くことが出来るように。もう隠れ家に潜む必要がなくなったのだ。

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 さらにアーマラーは、チルドレン・オブ・ザ・ウォッチと他のマンダロリアンが手を取って共に立ち上がる時だと判断したのか、ボ=カターン・クライズをチルドレン・オブ・ザ・ウォッチと他のマンダロリアン勢力をつなぐ役割に任命。

 ミソソー(ミソサウルス)を見たボ=カターン・クライズが、いよいよマンダロリアンの新時代を拓くことになるのか。より大勢のマンダロリアンがネヴァロに集まり、いよいよマンダロリアンの勢力が復興に向かっていくことになりそうだ。もしかしたら、その中にはなつかしい顔ぶれもいるのかも知れない。

 一方で帝国軍の残党であるモフ・ギデオンの消息は、何者かが新共和国の護送から連れ去ったことがより明確になった。そして、現場に残されたベスカーの破片の謎…

 単純に考えれば、モフ・ギデオンが率いていた帝国軍の残党はディン・ジャリン、ボ=カターン・クライズといったマンダロリアンが中心となって壊滅させられたので、これに恨みを持つ残党がマンダロリアンらの仕業に見せかけたということになりそうだ。

 ここにツイストを加えてくるのか、シーズン3終盤の展開に期待したいところ。

これまでのエピソードを収斂し、新たな展開へ

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 ネヴァロでのバトルシーンに向けて、キャプテン・カーソン・テヴァが新共和国軍内でネヴァロでの海賊退治への出動許可と援軍を求めるべく動く序盤も良い前振りになっている。

 1話の中で起承転結がしっかりと組み立てられており、続きが気になるラストへと導かれる構成は連続シリーズの理想形だ。

 すでに硬直化した組織となっている新共和国は、ネヴァロが新共和国に未加盟であることや、対処の余裕がないことを理由にして身動きが取れず、困っている人々を助けるという正義を成すことが出来ない。

 この時代の新共和国がいかに硬直しているか、ということは「チャプター19:改心」で描かれた通りだ。

 また明らかに改心しておらず、いまだに帝国軍の残党の息がかかっているであろうモフ・ギデオンの元部下であるイライア・ケインが、その後、新共和国軍のタトル大佐のそばで働いていることも明らかに。

 いずれも突然、コルサントでのドクター・パーシングの視点から新共和国の実情を描き出して意表を突いた「チャプター19:改心」の存在が効いている。

 こうしたドラマシリーズは、シリーズを通して描きたいことを、どのように語っていけば最も面白く、また効果的なのかを考えた上で送り出されているわけなので、毎週更新されるエピソード単位で一喜一憂したところで点しか見えておらず、点の連続が作り出す線は見えてこない。

 とかく結論や結果を急ぎがちな昨今において、時に意表を付いたエピソードを用意して驚かせながら、多くの時間を使い一貫して物語を語っていく姿勢は、改めて好感が持てる。

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 またカーソン・テヴァとディン・ジャリン、またグリーフ・カルガとのつながりは「マンダロリアン」シーズン2 「チャプター10:乗客」、「チャプター12:包囲」、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」「チャプター5:マンダロリアンの帰還」から続くものだ。

 ディン・ジャリンが出会った人々のつながりが、ストーリーに大きなうねりを作り出すのは、ディン・ジャリンとグローグーの旅を描いた連続シリーズである「マンダロリアン」ならではの面白さがある。

 このように「チャプター21:海賊」はこれまでのエピソードを収斂し、新たな展開へと推し進める重要なエピソードだといえる。

 カーソン・テヴァは、これからも良心を持った新共和国の軍人としてモフ・ギデオンの消息に迫っていくことになるだろう。

 それにしても、モフ・ギデオンの影や硬直化した組織といった、目に見えない脅威によって新共和国が内部から徐々に蝕まれていく様子は、まさに「ファントム・メナス」だ。理想を掲げて戦った反乱軍だったが、新共和国は早くも共和国の末期の頃に逆戻りしてしまっているのかも知れない。

「マンダロリアン」シーズン3 第5話「チャプター21:海賊」トリビアチェックポイント

アデルファイ

 カーソン・テヴァは、グリーフ・カルガからネヴァロが海賊に襲撃されているというホログラム・メッセージをアデルファイの基地のカンティーナで受け取る。

 アデルファイは、「マンダロリアン」シーズン2 第2話「チャプター10:乗客」にてディン・ジャリンがフロッグ・レディを乗せたレイザー・クレストを、カーソン・テヴァとトラッパー・ウルフがビーコンとシグナルの発信を求める際のセリフにて言及されている(日本語版では、アデルファイの名前を確認出来るのは吹き替え版のみ)。

「マンダロリアン」シーズン2 第2話「チャプター10:乗客」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアを、ネタバレありで解説します。

ゼブ(ガラゼブ・オレリオス)

「スター・ウォーズ 反乱者たち」

© 2019 & TM Lucasfilm Ltd.

 アデルファイの基地のカンティーナでグリーフ・カルガからのホログラム・メッセージを受け取った直後、カーソン・テヴァと会話しているのは、「スター・ウォーズ 反乱者たち」に登場したゼブことガラゼブ・オレリオスだ!

 劇中では名前を言及されることはないのだが、エンドクレジットにてゼブの役名と演じたスティーヴ・ブルーム(スティーヴン・ブルーム)の名前を確認することが出来るので、他のラサットではないことがわかる。ゼブが実写作品初登場となったのだ!

 日本語吹き替え版声優は、「スター・ウォーズ 反乱者たち」と同じ稲葉実。

 「スター・ウォーズ 反乱者たち」シーズン4 第15話「家族の再会 – そして別れ」では、エンドアの戦いの後にゼブはアレクザンダー・カラスとともに惑星リラ・サンへ向かったと語られている。

 ゼブは、かつて帝国軍でゼブの種族であるラサットを虐殺したカラスと激しく戦ってきたが、やがてお互いを理解し、カラスも帝国軍にいながらも反乱軍に協力するスパイとなった。

 ゼブはカラスに、ラサットは滅んでおらず、リラ・サンで栄えていることを教えて仲間として迎えたとのだという。

 エンドアの戦いは4ABYであり、「マンダロリアン」の出来事は9ABYを起点としているということで、大体5年以上の間隔はあることになるが、カラスとリラ・サンへ向かったのは戦後としか表現されていないので、前後関係は断定は出来ないものの、おそらくはリラ・サンへ行った後に新共和国軍の所属になったのだろう。

 新共和国ではパイロットとなっているようだが、ゼブもまた新共和国の体制には思うところがあり、やや諦めの雰囲気も漂う。

 今回の実写ドラマシリーズへのゼブの登場は、一時ともに戦っていたアソーカ・タノが主役となるドラマシリーズ「アソーカ」へのティーザーという意味合いもあるだろう。

 エズラ・ブリッジャーらゴーストの面々とともに帝国軍と戦っていた反乱軍から、新共和国に移行するまでの間にどのようなことがゼブに起きたのか、語られることを期待したい。

「マンダロリアン」エピソード監督が演じたトラッパー・ウルフ、サシュ・ケッター、ジブ・ドジャーの登場

 アデルファイの基地のカンティーナで、カーソン・テヴァとゼブの向かい側のカウンターに並んでいる3人は、「マンダロリアン」シーズン1「チャプター6:囚人」に登場したデイブ・フィローニが演じるトラッパー・ウルフ、デボラ・チョウのサシュ・ケッター、リック・ファミュイワのジブ・ドジャーだ!

「マンダロリアン」シーズン1 第6話「チャプター6:囚人」のストーリー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアを、ネタバレありで解説します。

 彼らのカメオ出演は、エンドクレジットで確認出来る。

 アデルファイの基地のカンティーナでの登場でわかったことは、トラッパー・ウルフはオフの時にはデイブ・フィローニのトレードマークであるカウボーイハットを被っているということだ…

カーソン・テヴァのジャケットのパッチ

 カーソン・テヴァが着ている茶色のジャケットのパッチ(ワッペン)は、ランコアの顔を表したデザインと、赤と青の鳥を模したものがある。

 赤と青の鳥のデザインのパッチは韓国の国旗からインスパイアされたもの(カーソン・テヴァを演じたポール・サン・ヒョンジュ・リーは、韓国系カナダ人の俳優)で、上部にあるオーラベッシュはアルファベットのEとYを表しているが、これはポール・サン・ヒョンジュ・リーが住んでいたカナダのトロント、イーストヨーク(East York)を表したもの。

R5-D4の反乱軍時代

 「マンダロリアン」シーズン3 第2話「チャプター18:マンダロアの鉱山」でペリ・モットーが言及しているようにR5-D4は反乱軍に所属していたのだが、カーソン・テヴァとともに働いていたことが明らかに!

「マンダロリアン」シーズン3 第2話「チャプター18:マンダロアの鉱山」のレビューやトリビアを、ネタバレありで解説します。

レジスタンスのマーチ

 カーソン・テヴァがマンダロリアンらの元を離れるため、Xウィングに乗り込むシーンにて「レジスタンスのマーチ」が使用されている。

 シーズン2「チャプター10:乗客」でもカーソン・テヴァとトラッパー・ウルフの登場シーンにて「レジスタンスのマーチ」が用いられており、新共和国のテーマでもあるようだ。

パファー・ピッグ

 残り1機となった海賊のスナブ・ファイターも搭乗するヴェインが逃亡したためいなくなり、部下たちが退却を進言するも、ゴリアン・シャードは「In a puffer pig’s eye」と言って地表に砲撃を始める。

 このパファー・ピッグは、「反乱者たち」シーズン1 第11話「ギャンブラー」に登場したずんぐりしたブタのような生物で、鉱物を嗅ぎ分けて探し出すことが出来る。また、おびえると体が膨張することも特徴だ。

ブロック渓谷

 ネヴァロの英雄となったマンダロリアンたちに対して、グリーフ・カルガは西部の溶岩平原からブロック渓谷までの土地を与えた。

スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン ジェレミー・ブロック

「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン」にて、筆者撮影

 このブロック渓谷は、英語字幕で「Bulloch Canyon」と表記されており『エピソード5/帝国の逆襲』、『エピソード6/ジェダイの帰還』でボバ・フェットを演じたジェレミー・ブロック(Jeremy Bulloch)へのオマージュだと感じられる。

リード中尉の再登場

 ラストシーンで、ラムダ級シャトルの残骸に近付いて調査するカーソン・テヴァが交信している相手は、新共和国のパイロットであるリード中尉だ。

 リード中尉は、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」「チャプター5:マンダロリアンの帰還」でカーソン・テヴァとともにタトゥイーン軌道上にて、旅客機の近くを高速で、またビーコンなしで航行していたことからディン・ジャリンのナブーN1・スターファイターに警告していたパイロット。

「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第5話「チャプター5:マンダロリアンの帰還」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュ、カメオ出演などのトリビアを、ネタバレありで解説します。

 演じているマックス・ロイド=ジョーンズは、「マンダロリアン」シーズン2「チャプター16:救出」にてルーク・スカイウォーカーの代役(ダブル)を演じた俳優だ(クレジットでは「ジェダイの代役」となっている)。

 「マンダロリアン」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。

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