Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「マンダロリアン」シーズン2 第4話「チャプター12:包囲」のエピソードガイドです。
このエピソードガイドは、「チャプター12:包囲」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストをまとめています。
この記事は「マンダロリアン」シーズン2「チャプター12:包囲」までのネタバレを含んでいます。「チャプター12:包囲」に至るまでの本編鑑賞後にご覧ください。
「マンダロリアン」シーズン1のエピソードガイドは、以下のエントリーをご参照ください。
目次
「チャプター12:包囲」ストーリー
ディン・ジャリンは、レイザー・クレストの小さなスペースで修理作業をするザ・チャイルドに、赤と青の配線のつなぎ方について指示をしていた。しかし、誤った接続により機器がスパーク。
この状態ではボ=カターン・クライズが教えてくれたジェダイ、アソーカ・タノがいるというコルヴァスまで直接向かえないため、なじみのグリーフ・カルガとキャラ・デューンがいるネヴァロへ行き、レイザー・クレストの修理をすることに。
ネヴァロにある、マンダロリアンたちのかつての隠れ家のアーマラーが使っていた作業場は、アクアリッシュの一団の根城になっていた。盗品を奪還しに現れたのは、キャラ・デューン。ネヴァロの街の保安官となったキャラ・デューンは、アクアリッシュの盗賊たちをあっという間に制圧する。
ネヴァロに到着したディン・ジャリンとザ・チャイルドを出迎えるグリーフ・カルガとキャラ・デューン。グリーフ・カルガは、作業員にレイザー・クレストの修理を依頼する。
グリーフ・カルガと、ネヴァロに残ったキャラ・デューンの活躍により、ネヴァロの街には秩序がもたらされ、商人たちで活気にあふれていた。キャラ・デューンからひどい状態のレイザー・クレストについて問われて、新共和国と少し揉めたことを明かす。
モフ・ギデオンとの戦いで包囲されたカンティーナに入ると、中は学校となっており、子どもたちがプロトコル・ドロイドの教師から銀河系の主要な通商ルートについて学んでおり、すっかり様変わりしていた。
仕事についてディン・ジャリンと話したいグリーフ・カルガは、ザ・チャイルドをこの教室に預ける。教室の席に座ったザ・チャイルドは、隣の席の子どもが菓子を食べているのを見て手を差し出すが、断られる。しかし、ザ・チャイルドは子どもが見ていないスキにフォースで菓子を引き寄せて食べてしまう。
グリーフ・カルガに連れられて訪れた建物で、ディン・ジャリンは以前に自身が捕らえたミスロルと再会する。ミスロルは、グリーフ・カルガの帳簿係だったが「粉飾決算」により金を持ち逃げしていたという。その分を返すため、グリーフ・カルガの元で働いているのだ。
グリーフ・カルガとキャラ・デューンの依頼とは、ネヴァロに最後に残された旧帝国軍の基地の掃討だった。今はほぼ無人であるが、なぜか見捨てられておらず、モフ・ギデオンの兵の供給元であり、ここから旧帝国軍の拠点をなくすことで、ネヴァロはより安全な貿易拠点となることが出来る。
ミスロルが運転するランドスピーダーで旧帝国軍の基地へ向かう一行。基地の動力源である反応炉を破壊して逃げるという作戦だ。
基地の入口までやってくるが、ターボリフトの制御盤は溶岩により溶けて動かない。ジェットパックで施設の上部へ飛んだディン・ジャリンは、無人と聞いていたはずなのに警備していたストームトルーパーたちを倒し、ほかの一行を基地内に入れた。
司令部に侵入し、旧帝国軍の士官からコードシリンダーを奪い、反応炉の縦坑の位置を特定。ミスロルが反応炉の冷却水を抜き、一行は逃走する。爆発までの時間は10分ほどだ。
脱出の途中、データを破壊しようとする研究者たちに遭遇し、彼らを倒す。周囲には、研究対象が入っているのであろうタンクが無数にあった。
ここは軍事施設というより、研究施設だったと思い至るキャラ・デューン。ミスロルの操作により現れたホログラムメッセージは、ドクター・パーシングからモフ・ギデオンに宛てたものだ。
その内容は、これ以上のM値を持つ者はいないというドナーからの輸血により、2週間は効果が続いたが、被験者の体が輸血された血を拒絶して失敗に終わったため、実験の一時中止を進言するものだった。
このまま実験を続けても被験者は同様の結果となるだけであり、ザ・チャイルドの小さな体から死に至らない程度に採取した血液も使い果たしたため、続行するにはドナーを再度確保する必要があるという。ギデオンは死んでいるから、古い通信だろうと推測するディン・ジャリンだが、ミスロルによると3日前のものだという。
そこにストームトルーパーらがやって来て銃撃戦に。ディン・ジャリンはジェットパックで先に街に戻ることにして、二手に別れる。
キャラ・デューンは、帝国軍兵員輸送機であるトレクスラー・マローダーを奪取してグリーフ・カルガ、ミスロルを乗せて街を目指す。
スピーダー・バイクに乗ったスカウト・トルーパーの追跡に対して、グリーフ・カルガはトレクスラー・マローダーのレーザー砲塔で応戦するが、スピーダー・バイクに続いてタイ・ファイターが砲撃してくる。
グリーフ・カルガ、キャラ・デューン、ミスロルは帝国軍の残党の猛攻を振り切れるのか?
「マンダロリアン」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中
「チャプター12:包囲」レビュー
「チャプター12:包囲」は、カール・ウェザース演じるグリーフ・カルガ、ジーナ・カラーノが演じるキャラ・デューンといったシーズン1でのメインキャラクターと、記念すべき第1話「チャプター1:マンダロリアン」の冒頭に登場したミスロル、そしてシーズン1で主な舞台となったネヴァロが登場。まだシーズン2なので少し気が早いかも知れないが、原点に帰って来たかのようなエピソードだ。
このおなじみの面々で、ネヴァロの帝国軍の残党の施設を破壊するというミッションを展開。帝国軍の施設内でストームトルーパーと銃撃戦や、スピーダー・バイクとタイ・ファイターとのチェイスが繰り広げられ、まさに『スター・ウォーズ』ならではのアクションシーンを詰め込んだような形だ。
そんな娯楽作を監督したのは、グリーフ・カルガ役のカール・ウェザース。自身とジーナ・カラーノが演じたキャラクターに愛着があるのか、ファンが気になる「マンダロリアン」シーズン1の後の2人の変化も描かれているのも興味深い。
シーズン1の「チャプター8:贖罪」にてモフ・ギデオン率いる帝国軍の残党と戦った後、グリーフ・カルガとキャラ・デューンがともに残ったネヴァロの街は活気があり、より住みやすくなった様子が伺える。
帰ってきたのは、グリーフ・カルガやキャラ・デューンだけではない。視聴者には生存が知らされており、前のエピソードにもホログラム通信をしている姿が描かれたが、満を持してモフ・ギデオンが登場。ザ・チャイルドの研究に携わっていたドクター・パーシングも、思わぬ形で健在であることがわかる。
「チャプター12:包囲」で、帝国軍の残党がザ・チャイルドを狙う理由の一端がわずかに明らかとなり、「チャプター3」でドクター・パーシングがザ・チャイルドにどのようなことをしていたのかもわかった。どうやらザ・チャイルドの血液を、他の者に輸血していたようだ。
その一方で、新たな謎も生まれる。帝国軍の残党は、フォースの力を持つ者を戦力にしようと研究していたのか?そもそも、フォース感知者の血を輸血したところでフォース感知者になれるのか?
モフ・ギデオンとの直接対決はないものの、「マンダロリアン」シーズン1からのザ・チャイルドと帝国軍の残党をめぐる大きなストーリーラインに連なるエピソードだ。
「チャプター12:包囲」トリビアチェックポイント
カール・ウェザース
「チャプター12:包囲」のエピソード監督は、グリーフ・カルガ役のカール・ウェザース。カール・ウェザースは「マンダロリアン」のほかにも、「HAWAII FIVE-0」などでテレビドラマのエピソード監督も務めている。
アクアリッシュ
ネヴァロのマンダロリアンたちの隠れ家に残された物を盗もうとしていた集団の種族は、アクアリッシュ。『新たなる希望』のカンティーナのシーンで、ルーク・スカイウォーカーに絡んできたポンダ・バーバと同じ種族だ。
ミンバニーズ
ネヴァロでグリーフ・カルガがレイザー・クレストを修理するよう依頼したうちのひとりは、ミンバン出身の種族であるミンバニーズだ。
ミンバンとミンバニーズは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にて帝国軍時代のハンが戦場に送られた惑星と、そこに住む種族。ミンバンは、もともと最初のスピンオフ小説である「侵略の惑星」に登場した惑星だった(現在はレジェンズ)。
IG-11の像
ディン・ジャリンとグリーフ・カルガ、キャラ・デューンがネヴァロのカンティーナの建物の前にやって来るシーンで、街の広場の方にIG-11の像のようなものが見える。
ザ・チャイルドを救うため、この地で戦ったIG-11を讃えるためのものなのだろうか…
ハイパースペース・ルート
ネヴァロのカンティーナが改装された学校では、プロトコル・ドロイドの教師が銀河系の主要なハイパースペース・ルートについての授業をしていた。社会科や地理のような授業なのだろう。
ここで挙げられるのは、コレリアン・ラン、ハイディアン・ウェイ。
銀河の領域
さらに、授業は銀河系の領域についても教える。
アウターリム、ミッドリム、拡張領域、インナーリム、コロニーズ、コアワールド、ディープコアといった領域の名前が登場するが、これらの領域についてはスピンオフや設定が好きな方々ならば、これまでに見聞きしたことがあるだろう。
学生の方なら、「学校の授業も銀河系の地理が出題してくれれば、100点満点なのに…」と思うはず!
首都惑星コルサント、シャンドリラ
プロトコル・ドロイドの教師は、銀河の領域に続いて銀河の歴代の政府の首都惑星について教える。
まず、旧共和国の首都があったのはコルサント。『エピソード1/ファントム・メナス』から『エピソード3/シスの復讐』にて銀河元老院やジェダイ・テンプルが置かれており、プリクエル・トリロジーの主な舞台だ。
続いて、新共和国の首都があるのはシャンドリラ。新共和国は、旧共和国や帝国と異なり首都を輪番制としており、新共和国初代議長となったモン・モスマの出身惑星であるシャンドリラが最初の首都となった。
これは「マンダロリアン」の時代である9ABY(『ジェダイの帰還』から5年後)であり、34 ABYである『フォースの覚醒』の頃には、新共和国の首都はホズニアン・プライムだった。
アガディーズ・メイルストロム
プロトコル・ドロイドの教師が教えているアガディーズ・メイルストロムは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にてハン・ソロがコアキシウムを積んでミレニアム・ファルコンを飛んだケッセル・ランで通った宙域。
ドロイドの教師によると、アガディーズ・メイルストロムはケッセルと衛星3つを囲んでいるという。このアガディーズ・メイルストロムはモーなどの重力井戸があり、危険な宙域であることは『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で描かれた通り。
ミスロル
グリーフ・カルガの元にいるのは「チャプター1:マンダロリアン」の冒頭でディン・ジャリンに捕らえられ、カーボナイト凍結されてネヴァロまで運ばれた青い肌の種族のミスロルだ。「チャプター12:包囲」では、グリーフ・カルガの帳簿係だったものの金を持ち逃げした過去が明らかになる。
帝国軍コード・シリンダー
グリーフ・カルガが帝国軍の士官から抜き取り、ミスロルが帝国軍施設内の扉を開錠する際に使用したのは帝国軍コード・シリンダー。
帝国軍の将校はアクセス・リンクを使用するためのコード・シリンダーが給付されており、軍服のポケットに挿している。帝国軍の衣装ではおなじみのアイテムだが、「チャプター12:包囲」では実際にどのように使用するかが描かれた。
手すりがない高所の施設
ミスロルが反応炉を止める操作盤へ向かう時、周囲に手すりがないことに言及する。
『スター・ウォーズ』に登場する高所の屋内の施設には、なぜか手すりがないことが多い。これまで帝国軍の施設をはじめとした、様々な場所に手すりがないことが描かれており、実際に使用することを考えると危険極まりないのだが、ミスロルはこの『スター・ウォーズ』特有の建築デザインにツッコミを入れたかのようだ。
制作スタッフらしき人物の映り込み
「チャプター12:包囲」 の18分55秒のショットで、グリーフ・カルガの後方の通路の影から、Tシャツとジーンズを着て腕時計をした制作スタッフらしき姿が確認出来る!
これはその作品に写ってはいけないもの、いわゆるブルーパー(映画の撮影時のミス)だと思われる。
たとえルーカスフィルムやディズニーなどの大勢の人たちが関わる作品だったとしても、見逃されちゃう時もあるのだなぁと思うし、製作サイドからすると背筋が凍るような出来事だ…
M値
ドクター・パーシングがザ・チャイルドと思われるドナーの血液について説明する際に、これ以上のM値を持つ者はいないと言っている。フォース感知者の血液、そして「M」というアルファベットから思い浮かぶのはフォースの感知能力と関係する共生微生物である、ミディ=クロリアンだ。
帝国軍の残党は、ミディ=クロリアン値の高い血液によって何を研究しているのか。モフ・ギデオンの野望は、「マンダロリアン」の今後のシリーズによって明らかになるのだろう。
修理の際に装置を工作
グリーフ・カルガが依頼したミンバニーズの修理技師は、帝国軍の残党の手先であり、レイザー・クレストの修理の際に追跡装置を仕込んでいた。
宇宙船の修理を依頼したにも関わらず、破壊工作を施されたというのは、『帝国の逆襲』でクラウド・シティのランド・カルリジアンにミレニアム・ファルコンの修理を頼んだが、ハイパードライブが起動しない工作をされていたのと同様のシチュエーションだ。
アークワイテンズ級司令クルーザー
モフ・ギデオンが乗る戦艦は、アークワイテンズ級司令クルーザー。「スター・ウォーズ 反乱者たち」にて帝国軍が用いる艦として多く登場している。
「スター・ウォーズ クローン・ウォーズ」で共和国軍が用いていたアークワイテンズ級軽クルーザーを、帝国軍が使用するにあたって細部を調整しているという設定だ。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。